第25話 修羅場

「その女、誰よ!」


「Вау, я был удивлен!《わぁ、びっくりした!》」


「真珠! どうしてここが!?」


つい咄嗟に浮気がバレた男みたいな発言をしてしまった。

けど、実際は真珠が助けに来てくれたと思って、どうやってこの場所がわかったのだろうと思って出た言葉だ。決して浮気をしていたわけじゃない。というか、別に誰かと付き合ってるわけじゃないし、『その女、誰よ!』って言われる筋合いはないんだけどなぁ。

まぁ、真珠だし、しょうがないか…


「それで、あなた、この女は誰?」


「彼女は小学校の時のクラスメイトで…荻リシアって言うんだけど…」


「………」


真珠が部屋に入ってきてから、リシアさんは借りてきた猫の如く、喋らず、黙っていた。

けど、リシアさんは真珠をずっと見つめていた。まるで新しい獲物を見つけたように。


「それで2人してベットの上で何してたのかしら」


「………えっと」


「あら、もしかして言えないことでもしてたのかしら。あなた、初めては私とするって決めてたでしょ」


「ちょっ! ちょっと待ってくれ! 誤解だ!」


「何が誤解なのかしら?」


「まず、僕は初めては真珠とするなんて約束してないし、リシアさんとはヤってない!」


「それは本当なの? リシアさん?」


「………」


「沈黙は否定とみなすわよ」


あれ? 前に沈黙は了承とみなすんじゃなかったけ?

おかしいなー僕の聞き間違えか何かかな?


「真珠…さん…でしたっけ、私、ずっと前からあなたとお話をしたかったんです!」


急に喋り始めたと思いきや、目を輝かせて、真珠にそう言った。


「話を逸らさないでもらえるかしら、さっきの質問に答えてちょうだい。あなたの質問に答えるのはそれからよ」


ヤってません! 裸で迫りましたが、断られてしまいました」


それを聞くと真珠はホッとしたように小さな声で何かを言った。


「良かった…」


「それであなたの質問の答えだけれど、私は別にあなたと話したくないわ」


「いいんですか、そんなこと言っちゃって、知りたくないですか? 瑠璃さんのこととか」


「そ、そうだ! 真珠! 瑠璃さんがどこにいるか分からないんだ! 教えてくれ! リシアさん!」


「滝山くん、一対一で真珠さんと話させてください。その時に教えます。真珠さん、いいですよね?」


「………」


真珠はどうしようか迷ってるのか沈黙している。


「いいんですか? 沈黙は否定とみなしちゃいますよ、瑠璃さんがどうなってもいいんですか?」


「真珠、お願いだ。リシアさんから瑠璃さんの居場所を聞いてくれ」


「………あなたに言われちゃ、断れないわよね。分かったわ、あなたとお話ししてあげる」


「「それじゃあ」」


「えっ?」


「この部屋から少し出ていってもらえるかしら」


「ごめんね、滝山くん、少し外で待っててもらえる?」


「2人とも…僕の扱い雑じゃない?」


そうして僕は部屋から追い出された。




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