第16話 寝ないのは個人の自由だがそのツケは必ず返ってくる
「じゃあ、寝ましょうか」
流石に瑠璃さんは一人暮らしなので布団を3つも持っておらず、けど、1つ貸してもらい、真珠と琥珀さんは寝れるようになった。
しかし僕が寝るには足りないので、仕方なくというか最初から決めてたのだが、椅子で寝ることになった。
「本当にいいの? 椅子で…」
「うん、大丈夫だよ」
「本当? 私と一緒に寝る?」
「い、いや、いいですよ」
「私は全然ウェルカムだよ♡」
「………本当にいいの? あなた」
「大丈夫だから早く寝な」
「なるほど、早く私たちを寝かせて夜這いするつもりね。分かったわ、すぐ寝るわ」
「なるほど! 早く寝るね♡」
「そんなことしませんから! 明日も学校なんですから! 早く寝てください!」
*
「………ん」
時計を見ると3時を指している、どうやらいつに間にか寝てしまったらしい。
あの後も少し真珠と琥珀さんと喋っていたのだが、その後の記憶がない。
色々と大変な1日だったから、寝ないと決めていたが、睡眠欲には勝てなかったらしい。
「ん?」
おかしい、僕が起きた場所がおかしい。
目を覚ました場所は椅子ではなく、布団の上だった。
「は?」
そして僕の両隣には真珠と琥珀さんがいて、僕を挟む形で川の字で寝ていた。
もしかして…僕は一夜の過ちを!?
急いで自分の服装を確認するが乱れているところはない。
「っ! 廉くん…そんなところ…」
「しょうがないでしょ、私だって処女なんだから、初めては緊張くらいするわよ。さぁ、早く…」
「えっ!? ふ、2人とも…お、起きてる?」
寝ていたら申し訳ないので、小さな声で2人に呼びかける。
が、2人から返事は返ってこない、どうやらやっぱり寝ているらしい。
「な、何だ…寝言か…」
2人がどんな夢を見ているかがとても気になるのだが、まず、ここにいたらまずいと思い、とりあえず、布団から出て本来いるべきはずの椅子に座る。
「本当におかしいんだよな…」
誰もが付き合いたいと思うであろう美少女2人が自分の家に泊まっているなんておかしい話だ。僕はこんな好かれる人間じゃないのに…いや、好かれてはいけない人間なんだ。瑠璃さんと初めて会った時も相手から手を出してきたからといって、自分もやり返してしまった。昔から自分は問題が起きたら何かしら理由をつけて自分が行なった行動を正当化してしまう。自分だって悪いのに…本当に悪い癖だ。
「はぁ、あの子…元気かな…」
「私は元気だよ、廉」
きっとまだ寝ぼけているんだろう。どこかでそんな声が聞こえた気がした。
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