第5話
「はい、これからこの間の定期テストの順位渡すから、一人ずつ来ーい」
間延びした担任の声だけが聞こえる教室。宿題を返すように軽々しく言うが、私にとっては大事。
みんなは平然として受け取っていく中、私だけが場違いなように緊張していた。
私の出席番号の一つ前の人が立ち上がり、いよいよ自分の番が近づいていると悟る。
「
のんびりとした口調で、私の名前が呼ばれる。スッと一呼吸してから、返事をして立ち上がった。このテスト期間だけで、一体何度、この動作をしてきたことだろう。
A4のプリントが手渡される。できるだけ見ないようにしながら席に戻る。そして、思いっきりひっくり返す。
印刷された数値。それは、今までのテストの点数。初めて目に映すのは、その合計得点。そして、順位。
一番右端に書かれた数字を見た瞬間、涙が込み上げてきた。思わず、顰めっ面をしそうになった。
私は、学年の下位の分類だった。
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