早くレベル上げてぇ

 眩しい……つか、なんで俺、寝てるんだ。……朝食まで食って、さっき、起きてたよな。


「起きたわね。リオ、大丈夫?」


 そんなことを回らない頭で考えていると、母さんが俺の顔を覗き込みながら、そう聞いてきた。

 ……ああぁあぁぁ、思い出してきた。また、負けたんだ。……落とし穴を用意して、あいつの影に細工までしたのに、負けた。

 クッソ。……最後の、なんなんだよ。影斬りやがったよな、あいつ……というか、もう、父さんって呼んどくか。心の中でずっとそう思ってると、咄嗟の時にあいつって言っちゃうかもしれないもんな。


「……うん、大丈夫。いつも治してくれて、ありがとう」

「大事な息子だもの。当然よ」

「……」


 その大事な息子のはずの俺をお母様の結婚した方はサンドバッグにしてきますけどね! 

 ……まぁ、それも俺が強くなればいいだけの話だ。いつか……いや、明日にでも、絶対ボコボコにしてやる。

 ……と言うか、今更だけど、父さんが最後にしたのも意味わかんないけど、そもそも、父さんって魔法の腕もあったのかよ……イケメンで剣術も出来て、魔法も出来る。……ハイスペックすぎるだろ。


 ……まぁ、でも、魔法なら、いつか必ず越せるさ。……と言うか、五歳になったら、必ず越してやる。

 五歳になったら森に行って、魔物狩って、レベルを上げて、魔力量を増やす。そしたら、ゲーム知識でどんな魔法があるかは大体覚えてるし、主人公が使える魔法は全部覚えてるから、その今は魔力量的に使えない魔法をぶっぱなしてやる。


「それじゃあ、リオも大丈夫みたいだし、私は行くわね。リオ、何か頼みたいことがあったら、アイナに頼んでね」

「分かった」


 そう言って、母さんは俺の返事を聞いてから、部屋から出ていった。アイナを置いて。

 魔力操作の練度、上げとくか。暇だし。


 そう思って、俺はいつも通り、周りに適当な魔法の玉を浮かばせた。

 アイナはもうその光景になれたのか、何も反応せずに、俺のそばに立ってくれている。……最初は驚いてくれてて、面白かったんだけどなぁ。

 別にアイナの驚いた反応が見たくて、これやってる訳じゃないからいいけどさ。


 ……こうやって、魔力操作の練度を上げてると、いつも思う。

 早く、レベル上げてぇ……

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