お隣さんと温泉を楽しもう!!

//SE雑踏の音


「あ、見てみて、紅イモソフトクリームだって。おいしいのかな?」


「えっ? ちょっと待っててって……? あぁ、行っちゃった。食べたいとは言ってないんだけどなあ……」//だんだん声が遠くなって『とは』くらいから聞こえなくなる


「ありがと。んー、すごいっ!! びっくりするほど紅イモだっ!!」//目にシイタケが入っている感じで


「濃厚というか……、うーん……。なんていえばいいかな……、スイートポテトをそのままソフトクリームにしたみたいな感じかな。後はそうだなあ、紅イモ豆乳とかにも近いかも。……、あぁそうだ、食べてみればすぐに分かるんじゃない?」


//SE何かを差し出す音


「どうしたの? そんなに遠慮して……。元々はあなたのお金で買ったものなんだし、ほら、ぱくっといっちゃえ」//特に気にしていないですよーと露骨にアピールしているニュアンス


「どう? 私の言いたいこと分かった? ちなみにね、私は結構好きな味。濃厚な芋感はお酒に合うのよー?」//僅かな含み笑いを交えながら


「好き嫌いの基準がお酒に合うかどうかなのは、ちょっとどうかと思うって……? いいのよっ!! 私は酒飲みなんですもんっ!!」//ワザとらしく怒って見せているニュアンス


「あっ、あそこの硫黄湯の濁り温泉なんてどう? アイスで冷やした体を温めなおすにはいいんじゃない?」


「確か硫黄温泉って生活習慣病にも良いって話だったような気がするし、お仕事とお酒で生活習慣ボロボロの私たちにはぴったりでしょ、多分」


「えぇー? 一緒にしないでほしいって……、本気ー? 私よりあなたのほうがよっぽど社畜じゃない」


「ほらほら行きましょーよ。健康促進、健康促進」//手を引くというよりは背中をグイグイ押す感じで




「ふぅー、気持ちよかったぁー。あなたのほうはどうだった?」


「ふーん、今回はゆっくりできたみたいで良かったわ」//普通に安心した様子


「私もね、お肌すごいモチモチになった気がするのよ。どう? 違いわかる?」//自分でほっぺを持ち上げているようなニュアンス


「一見プルプルツルツルに見えるけど、言われたから錯覚してるだけかもしれないって……、素直なんだか疑り深いのか、片方にしてほしいんだけど……」//期待していた反応とは違う反応が返ってきてちょっと呆れている


「はぁ……、分かったわよ。ちょっと触ってみて、ほら」


//SE手を掴む音


「ど、どうかしら?」//平然としているようで内心はドキドキしている


//SEほっぺをむにむにする音


「……、そ、そうよね。あなた普段の私のお肌の感じ知らないモノね。触ってみたってわかるわけないんだわ……」//ちょっと大胆なことしたかなという気恥ずかしさを込めて


「ね、ねぇ……、なんでそんな顔で私のほっぺをムニムニし続けるの?」//純粋な疑問


「ずっと触っていたいくらい気持ちいいからついって……。ばっ!! ばかっ……!! なんかそんな言い方されたらなんだか無性に恥ずかしくなるじゃないのっ!! もうっ、本当にばかっ……!!」//しっかり照れた様子


「なっ……、なんでここまで言ったのに触るのやめないのよっ!! 普通今みたいな反応されたら手を離してごめんなさいって謝る場面でしょぉ!?」


「お、怒られてもいいから触っていたいって……。う、うぅぅ……、いいわよ。分かったわよ、思う存分私のほっぺを撫でまわせばいいわよ、バカぁ……」//自分で蒔いた種なので怒るに怒れなくって泣きが入ってるようなニュアンス




「お土産も買った!! おいしそうなお酒も買った!! 温泉も沢山楽しんだ!! じゃあ帰るわよ!!」


//BGS電車の音

//電車で隣り合って座っているため片側からのみ音声が入る


「あなたは今日どうだった? 楽しめた?」//探るような調子


「ここ最近のあなたは見るたびに青い顔して、声も掠れさせてたから、少し心配だったのよ。少しはリフレッシュできた?」


「そっか。それならよかったわ」//安堵した声色


「私? 私もちろん楽しかったわよ、こんな風に誰かと出かけるのなんて結構久しぶりだったし」


「自分でもびっくりするくらいには結構はしゃいじゃったし……」//少し反省の色を込める


「う、なんか自分で今日の自分のこと口に出すと、なんだかちょっと恥ずかしくなってくるわね」//ややはにかむ


「ふふ、まあそうね。楽しそうにしてる人を見ると元気出るっていうのはちょっと分かるわ。私たちって案外似たもの同士なのかもね」


「ねぇ、少し肩を貸してくれないかしら。少し眠くなってきちゃったの」//甘えるような声色


「ありがと、それじゃあ遠慮なく肩借りるわね」


//SE衣擦れ音


「すぅ……、すぅ……、すぅ……」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る