第2話 死神の決断
「よろしい。
お主は、正しい判断へ自身を導けるようになってきている。
だが、もう少しだ。
この死に寄せの魔力がある限り、どんなに過去に戻ったとしても、その人は必ず、事件に巻き込まれて死ぬ。
それは、殺人事件かもしれないし、自殺を選ぶかもしれないし、事故に巻き込まれるかもしれない。
ただ、確実なのは、何かしろの方法で生きることが終わってしまうということだ」
スクイアットロ、こっちだって傷つくんだ。
言葉を考えてから、発言してほしかった。
「そんなにはっきり言わなくても・・・・。
病死とかはない?」
「死に寄せは、死を呼び寄せる魔力であって、病気は発症させないからね。
ここは、実はおいらも気になっていたところなんだ。
事故死、殺人、自殺、死に寄せの魔力を持つ者の悲劇は嫌というほど、おいらが恐怖がわからなくなるくらいは見てきたけれど、なぜかいつも病死というものがない。
ここが不思議なところなのだ。
それだけ、多くの謎が残されているってこと」
「俺、救うことだけが正しい選択じゃない気がしてきたんだ」
俺は、誰かを救うことばかりが頭にあった。
だけど、冷静に考えれば、それが世のためになるのか?
「俺は、盲目的になりすぎて、まわりも、自分のことも、これからのことも見えていなかった。
だから、俺は相手が望んだことと違うことはするべきじゃない。
救わなきゃいけないのは、個人じゃない。
この世界だ」
「世界を?
この広大で、人口があふれているような世界を、どうやって救うんだい?」
「こうしている間にも、次々と人の命を奪っていく。
それって、見過ごせることではないはずなんだ。
だから、俺は・・・・、首謀者を見つけたい」
こんなに、事件が起こるなんて、普通はない。
だから、俺は裏に黒幕がいると考えた。
「首謀者?
おいらが見つけられなかった首謀者を?
会社の社長かもって疑って、裏で操られていたとわかっても、首謀者を見つけらなかったんだぞ。
簡単にできないことを、やりきるかのように言っていいのかい?」
「やっぱり、スクイアットロも、そんな存在がいると考えたたんだ。
首謀者がいる限り、この惨劇は終わらない。
何度でも、パラレルループをする。
だから、この根幹を切る。
これが、俺のやり方だ」
「これは、夢物語としか言いようがない。
まあ、いいだろう。
それがお主が望むことなら」
「俺は思うよ。
どんな戦闘美少女にも相性がある。
二人のうちのどちらにするかは、今の俺には決められない。
だけど、いつか決めようと思う。
今の俺が決断しないだけなんだ。
最初は、全てを救うことを選んだけれど、俺は気づいたんだ。
全員は救えないって。
死に寄せの魔力は、俺に悲しい出来事ばかり起こしたけれど、そればかりじゃない。
俺に気づかせてくれたんだ。
あれがなかったら、俺はいつまでたっても、実現不可能なことも頑張ればなんとかなるって思いこんだままだったかもしれない」
世界を救いたい。
だけど、全ての人は助けられない。
これは矛盾しているように感じるかもしれないけど、俺の本心なんだ。
それに、戦闘美少女だの、封印されているだの、いきなりそんな話をされても何の話なのかわからない。
「ポジティブすぎる。
この魔力のせいで、心を痛めたり、病んだりしないのかい?」
死に寄せは、どのくらい経験しても辛い。
自分の方が消えてしまいたくなるくらいだけど、これが解決にならないというなら・・・。
「痛んだり、病んだりもした。
だけど、どんなにあがいても、この俺で生まれた以上は、どう生きていくかで進むしかない。
だから、俺はいつか、誰かを救ってみせるよ。
後悔しない選択を見つけてみせる。
それまでに、待っててほしいんだ。
スクイアットロには、俺が答えを出せるまで、何秒でも、何分でも、何時間でも、何日でも、何週間でも、何か月でも、何年でも、何十年でもいい。
待っててほしいんだよ。
俺は、すぐに答えが出せないから」
「はあ、おいらは、今までに出会ったことのないパートナーを持ってしまったぞ。
だが、いいだろう。
それも含めて、責任持っての相棒だ。
最後まで付き合ってもらうぞ。
二人を助けられれば任務は完了だからな。
短い間かもしれないけど、よろしくな」
俺は、自分のことを嫌いになったりしない。
このままの俺で、今日と明日も生きていくんだ。
だけど、こうして話してみると、やはりスクイアットロとの会話は長く感じる。
具体的な結論が出るまで、続くのだから。
俺は、スクイアットロと一緒に中国に向かった、
治安は悪いけど、世界一人口が多い国。
そこに行けば、何か変わるわけではないけど、俺はここで自分の人生を歩むことにした。
もちろん、俺の近くにいる人は事件に巻き込まれて、中国の人口はどんどん減っていく。
気が付けば、人口が1億以下にもなっていた。
俺の死に寄せの能力は最強で、近くにいるだけで、その場所にいるだけで、死に関わる何かしらの事件は起こる。
ここで、中国では「歩く死神が通ると、事件が起こり、次々と亡くなっていく」という噂が広まり、中国は「死の王国」とか「死神の国」とも呼ばれるようになった。
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