通販で高級小槌を購入した結果は?安物ばかりだったのに人生変わった話。

ソコニ

第1話

ある日、同僚の延山が通販で小槌を購入し、素晴らしい結果を得た。


延山は頭が良くなるという商品を手に入れ、営業の成績を前月比プラス10点も上げることができた。


それだけでなく、女性に人気の声変わりグッズも購入し、女性たちからも注目を浴び人気者になった。


一方、オレは失敗だらけ。自分に自信が持てず、自己評価が低く何もやる気は起きない。

そんな自分だが、小槌を買えばいい思いができるのかもしれない。


ニートで希望のないオレは、いい思いをしたいと思った。これなら楽においしい思いができそうだ。


友人の成功を見て、オレも打ち出の小づちを通販で購入し、自分も良い結果を得たいと思った。


オレは欲が出てしまい、最高級の小槌を手に入れることにした。


「最高級の小槌なら、もっと驚くような結果が待っているはずだ!」


高価な小槌に期待して振ってみた。


しかし、小槌からは役に立たないものばかりが出てきた。


「高級な小槌を買ったのに、こんなものが出てくるなんて...」


でてくるものは、今のオレの現状には関係のないものばかり。

量子力学の世界トップの論文、船舶旅行の中古本、女性向けの高級化粧品など。


「なんだこれは...役に立たないものばかりじゃないか!」


高級化粧品以外は、値段の安いものばかり。


失望したオレは、小槌をゴミとして捨てようと思った。しかし、その瞬間、写真が出てきた。


一枚目はオレが知らない男性の写真。


男性の写真には、不思議な魅力が感じられた。笑顔は温かく、何か特別な力を持っているような気がした。


もう一枚は、家にあるタンスの引き出しの写真。

なぜその写真が一緒に出てきたのか不思議に思った。


写真を手に取り、もっと詳しく見てみると、写真の裏に文字が書かれていた。


「小槌の真の力を知りたければ、タンスの引き出しを開けよ」という一文が目に飛び込んできた。




中には小学校の時の通知表が入っていた。


再び写真を見て、男性の写真が当時の担任の先生だと思い出した。


担任からは怒られることが多く、あまりいい思い出のない担任だった。しかし、母親が彼を良い先生だと言っていたことを思い出した。


通知表を再び見てみると、そこにはオレがいたずらをして校長室に呼び出されたことが書かれていた。


「あのクソ担任め、何様だよ校長室に呼び出しやがって!」


しかし、通知表の後半を読んでいると、小学生のオレは、将来は物理化学で世界を変えたいと言っていたのだ。


船に乗って世界を巡ることも夢見ていた。最高の女性と出会うことも書かれていた。


そして、担任はオレに「君はできるはずだ。きっと実現させられる。」と書いてくれていたのだ。


オレには怒られた記憶しかなく、良い思い出がなかったが、担任は俺の可能性を見つけ、信じていたのかもしれない。


これから夢を追いかけるために大学へ進学し、物理化学や船舶の知識を学ぶ。そして、最高の女性との出会いも待っているのかもしれない。


オレは小槌を握りしめながら、大学のパンフレットを見つめた。


小槌はオレに最高級の大きな夢と目標を持たせ、それを達成するために困難な道を乗り越えさせようとしているのだ。


小学生の時に思い描いていたあの夢が再びよみがえってきた。

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通販で高級小槌を購入した結果は?安物ばかりだったのに人生変わった話。 ソコニ @mi33x

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