第10話緊張
夏
くじ引きの結果、甲子園出場経験もある。統価高校と初戦で当たった。
---え?ウチの学校、死のブロックじゃんかよ~何やってんだよ富樫~
---ごめん吉田。でも、道大三とは違うブロックだからさ。
---けど、順当にいけば毎回優勝経験のある学校と当たるじゃん。
---確かにそうだけど、そこに負けないために練習してきたんだよな!だったら、当たってラッキーぐらいに考えないと。
---そうだな。運だしな。負けねぇように練習でもすっか!
最後の大会初戦統価高校。
オーダーに特に変化なく、生田が投げた。
結果は2-0で勝った。次は総成学園。この試合は生田は投げず生田以外の投手で試合を進める作戦だった。結果は11-8で勝った。
---打線もあったまってきたし、そろそろコールドゲームをやっちゃう?
と、富樫がしたり顔で冗談交じりに言ってきた。すかさず、吉田は
---7回で7点差もつけられるわけないじゃん!次は晃実だぞ!
しかし、晃実は敗退した。ノーマークの学校に負けたのだ。
春にノーマークの学校に敗退してから油断なくやってきた。つもりだった。研究用に撮ったビデオはほとんど晃実の選手たちだった。時間もないし、あるなかで対策をたてないといけなかった。
何の対策も立てないまま試合を迎えてしまった。
春の記憶が蘇った。そのまま試合を迎えた。
先攻は自分たちだった。オーダーに変わりなく、先発は生田だった。
最初の3人が三振で打ち取られた。相手はエースかと思いきや、背番号6だった。アンダースローだった。
---相手は初登板なのに、スライダーエグくない?
次の打者として控えていた富樫が呟いた。急造の投手じゃないぞ。
当たり前だ。スライダーしか投げてこなかったからな。と、富樫のつぶやきが聞こえた相手捕手は思った。
スライダーかと思って振ったらストレートストレートかと思って振ったらスライダー富樫は相手バッテリーに完全に手玉に取られていた。しかし、6球目えぐいスライダーにバットを当てたが、ゴロに終わった。そのあと吉田が、ストレートを打って二塁打にしたが、6・7番がアウトになり交代になった。
3回2アウトで全員投手と対戦した後で、相手投手が変わった。
---せっかく、慣れてきた時だったのに!次の打席は絶対捉えるはずだったのに
次の投手は高身長で180は確実に超えてる体躯の持ち主だった。身長を活かして高い所から投げてきた。初球2球目と真っすぐが来てボール3球目フォークが外れてボール4球目が来た。フォーク?これは、捉えた!しかし、富樫は悔しがった。捉えたと思っていて打球は高く上がったが、右翼手に取られてしまった。背番号10だった。その投手も打者が一周したところで交代した。6回1アウト相手はエースを出してきた。その回の攻撃は抑えられ裏の守り3塁の内野安打をきっかけに1点を奪われた。
---くそっ!打ち崩せないコロコロ投手変えやがって!晃実が負けたのも頷ける。コイツら強い。何か攻略法はないか?最初の投手はストレートとスライダー2番目がストレートとフォークそしてエースがスライダーとフォークとストレートをコレまで使ってるのを考えるとこれ以上ないんじゃないか。先の投手より曲がりは小さいけど球が速い。しかも、3種類投げてるから、間違いなくエース。
と、吉田が分析した。
回は7回をまわった。富樫と初めての対戦だった。初球は低めのストレートを見逃して1ストライク2球目にフォークがストライクゾーンから外れた。そして、3球目彼は最も遠い位置に球が来ると読んだ。読み通りに球は来た。揺れてはいたが、落ちたのでフォークと確信した。とらえたと思った。しかし、感触はなくストライクを宣告された。もう一球、揺れたがこれはスライダーの曲がり…捉えた!次はミスらないぞ。しかし、バットは空を切った。空振り三振。屈辱だった。しかし、見破った。
---彼奴、ナックル使うぞ。だから、途中から出てきたんだ。ナックルは握力を使う。だから、1球でも多く奴にナックルを投げさせたい。ナックルは揺れて不規則に落ちる。それを平気な顔して取ってる。特徴の違う3人の投手を引っ張ってる。練習の時見た正確に2塁へ投げた球。打順は8番だけど、このチームのナンバー1は間違いなく、あの捕手だ。
続く吉田はスライダーをヒットで出塁したが、またも続かなかった。
8回はヒットが出ず、3者凡退で終わった。
最終回。この時点で1点差で負けていた。あっさりと、1アウトになった。しかし、その後の藤原が二塁打を放った。次は富樫2回目の対戦。ナックル来いナックル来い心の中で唱えた。しかし、なかなかナックルはこなかった。相手捕手にはナックル狙いなのがばれてた。でも、決してナックルは打てないとも思っていた。ストライクゾーンにきた球は時にはホームラン性の当たりがあったが、ファールになった。2ストライク3ボールここまでナックルは一切投げなかった。10球目。この揺れ間違いなくナックル。バットを思い切り振った。耳の良い打球音が響いた。相手捕手はすぐさまマスクを外し立上がり打球を見送った。打球はキレることなく、左方向のスタンドに入った。2対1逆転の2点本塁打だった。そのあとの2人はアウトになった。
9回裏、生田はヒットを打たれはしたが、無失点に抑え試合が終わった。
次は私立七王子。生田は出る予定ではなかったが、いつでも出れる準備はできていた。結果は10-6で勝った。この試合富樫が爆発的な打棒を見せつけた。4本安打をはなった。その内2本は長打で、あと本塁打が出ればサイクル達成だった。
---富樫ってすごいんだな!
---見たか!これが本来の実力よ!
---実力出すの遅すぎ!
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