32話 願わくは
しかし、血液の凝固反応は回避出来た筈!
「1000万人の国民に一人ひとり臨床実験をする訳には行かんのです篠山さん? だからアストラではしらたま(白血球)を製剤化にする事が出来てより安全なワクチンとして日本の全国民に接種できる事になっておる!スーパーシティ法案の始動はそれからです。国民全員が無頼となって、それがエビデンスなんですよ!スーパーシティ法案のね?」
ワーッ! と拍手が沸き起こった。殆ど関連メンバーばかりだったが、篠山はこの後に起こり得る最悪の事態を想像して鳥肌が立っていた。ま・け・た、負けた。
尚も食い下がる
「防空識別圏の侵害や領海侵犯など、コロナ国の犯行だと分かっているのに何故対策を講じないのですか?」
「嘗ては惑星コロナ星の方からわざわざ犯行声明を公開してますから、令和戦争が終わって、コロナ星人が国連未承認の国家を作り上げ、世界の覇権を狙う危険国となっています。」
「そんな国がコロナウイルスを撒き散らした事は事実であります!」
大きく頷いた勅使下向忠直内閣総理大臣は篠山の眼を見ず約45%俯き机上の書類に眼を通していた。
「それと総理、このコロナ禍に男性育児休暇を取得し難い社会通念になっておりますが・・・。コロナに乗じて男性の育児休暇取得を推奨しては如何かと存じますが、どうですかな総理?」改心のライナーだった!
刹那、顔を上げた総理がオオ!という表情を崩さず長々と篠山の顔面を見詰め、やがて切込泰一(きりこみたいいち)官房長官が代弁を取った。
「今会議のカテゴリーはご承知の筈ですが、学術会議のコンテンツを大きく逸脱致しておりここは国会でもないし国会議員でもないあなたが草案を提出するのは如何なものか?笹篠山氏在住の選挙区に衆院の事務所がありますからご意見・ご相談を受け付けてございますどうかご随意に・・・。」軽くあしらわれた。論外だった。
唇を噛んで垂直に議席へ腰を降ろした篠山は悔しさの余り作った握り拳を開いては掌の皺を見、拳を握っては開いたり、意味の無い所作を繰り返していた。
「願わくば花の下に春死なん如月の望月の頃・・・。」心の中で一句、読み上げた・・・。
篠
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