第20話 戦争が無くなる日

「このベッドは200年間もその技術そのものを隠されてきました。

何故今になって明らかになったかというと、トランプ大統領が病気治療の際、一晩寝ただけで治癒した事に関して私財を投じてカミングアウトしました・・・。彼はそうしたんです!」語尾は強かった。

 「もうコロナウィルスを恐れる事も死ぬ事もない!救急医療機関に設置して必要な時に利用出来る様にします。」ベッドの営業マンではない篠山が、眼前の不安な面持ちをした人々に語りかけ、自ら治療欲を掻きたてる様に促す・・・。

 何故200年間も隠蔽されて来たか篠山教授は、このベッドがスタンダードになれば医療が儲からない、このベッドを公にしようとした資産家や政治家は失脚したり殺されたりした為、明らかにされなかったというのだ。

「このベッドはタキオン粒子とプラズマエネルギーで出来ています。」

「内臓疾患の人は一晩寝たら再生されます。腕が無い人は一晩寝たら腕が再生されるそうです。この病院で設置すれば日本で疾患の為に苦しむ人々を救える事が出来ます!」

 タキオン粒子なんてワープが出来るんじゃ無いの?と、野際が子供の頃観たテレビアニメの様な世界観を想像していた。

「このベッドの最先端技術は銀河連合から知らされた技術なんです・・・。」いち速く野際が反応した!

「ええっ!アメリカの最先端技術だと言ってたじゃないですか篠山教授?」訝しがる野際を尻目に篠山静夫の言葉は続いた。

「このベッドの最先端技術が解放されたら先ずは戦争が無くなるでしょう。」

フリーエネルギー装置や反重力装置などが特許無しで開放されるでしょう。」

 核保有、軍事予算増大など篠山が付け加えた言葉には一つのテクノロジーをグローバルで共有される予測が加えられていた。

 しかし、そうなると出し抜けにテクノロジーの頂を狙う者も出ないとも限らず、世界で監視機関を設ける話がグローバル学術会議にて論議を交わしているという。

「デモクラシーの世の中だもんな。

この世界は・・・、でも世界は連立でワンワールドなのか?」我々の存在理由は?リハビリテーションはどうなる?銀河連合なんてサイエンスフィクション紛いの情報をぶちまけるんじゃないよな!

 考えながら5歩歩いた。

「うん。うん。」野際は思考を巡らせている時には、無駄口を叩かず己の成すがまま、その思考とは・・・。

「うん分かった!篠山教授の言いたいことが分かった!」

納得しなければ実行に移せない厄介な性格だったが、ここぞというときにフルパワーのベクトルは岩をも崩壊させるパワーを持ち合わせる!

 ここが大魔王と呼ばれる由縁だ。

「10台必要です院長。お願い致します!」深々と頭を下げたその先に大原輝、荻野原、篠山口、篠山静夫らがメドベッド候補として構成されていた。

「全部で15億円掛かったよ野際くん?」それ相応の利益を出してもらわないと困る事になる。

 と、院長のお小言に付き合い神妙な顔付きをしていたが、「わかっテルオ。」赤い舌を出していた。

「日本の挨拶はお互い間合いを取りペコリとお辞儀をするだけだから自ずとソーシャルデァスタンスが出来てるんですよね?国の文化の違いだけど格差は有ります。」リハビリ病棟の西南西の角地に聳え立つ桜の大木は幹の途中から枝が四方八方に放射的に別れていて、青々とした枝葉には未だ蕾ではあるが、春の日射しに挙って綻んでいた。

「千個はありますね。」

慶びを隠せない篠山教授が野際に笑いかけていた。

「ときに

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