第17話 銀河連合

「分からんの?」クルリと椅子を回転させ野際へ向き直った部長の金田一は中学生の思いつきの様に思えたが、そこは管理職として威厳を成すべきとして「事業計画はね、お金が掛かるんです。」PCのモニターを観ながらレクチャーが始まった。

 「こいのぼりの形に生地を裁断する型紙・裁断してくれるスタッフ・そのスタッフの人件費・生地に粘着性を持たせる為の粘着財の費用・こいのぼりを揚げる土地・地代・ポールの設置費用・ポール作成代金・こいのぼりの縫製費用・こいのぼりで糸状の菌を包み込むのだから、その安全衛生面の保全代金。

 とかね、眼に見えない部分までお金が必要なんですよ野際先生?」

事細かく教授した。つもりだった。が、分かってくれたのかな?手放しで信頼出来る相手だから少々苦言も言えた。

 リハビリ会場のトレッドミルでは大原が歩容改善の為、歩いていた。

「未来のベッドですよ。メドベッドです。」

銀河連合によって癌が終るベッドが開発されてアメリカ大統領が、大統領令にサインをしました。

80歳になった人が30歳になれる。再成長のできる夢のベッドです。出処は分かりません。コロナ星人の置き土産とされていますが、銀河連合が開発したのでしょう・・・。」

 篠山教授は結構色々な未来思考の使える器具を理解を示して、それが実用化されようとしている事について大原輝は、舌を巻いていた。

 喜新嫌旧する若者のように新しい取り入れそれを鮮やかに捌く彼を崇めていた。

「右肩と左膝をラインで結んだとして、そのライン上に左膝を沿わして振り出せば外旋にならない!但し振り出し時に足間接を内転させる事を要する。」口に出して呟いたら脳に刺激が届き活性化させる事が出来、改善して行く。輝はそれを信じていた。

 己のケアに貪欲になって己に勝たなければ荒れ放題の自分の心が生産緑地のように四方八方、縦横無尽に生える雑草の楽園になり何の抑止力にもならなくなってしまう・・・。

「クソッ、」失恋だけなら自然治癒出来る。アホな事を言って笑っていれば知らぬ内に回復しているものだろうけど・・・。

 今回は違う!輝の着替えを持って汚れた下着を洗う為に持ち帰る礼子は来てくれない。

「これもって来たよ?一度に食べたらダメよ?チョコレートだから、でもアキラくん腹が出てきたんじゃないの?リハビリの為に入院して太ったらダメやん!恥ずかしい人やね!」

 苦言を言うが易しかった。今思えば、優しかったんだ・・・。隙間風が心の襞に纏わり着きお節介にも礼子の面影と声色をリピートさせていた。

 トレッドミルの数字が曇って来て大粒の涙が自然と流れた。

「どうしたのアキラくん。」礼子が白いハンカチで拭いてくれる・・・。もう居ないもんな!

「さん、・・・さん大原さん!当たってますよ外枠に、外旋してますよ?」現実は違った!

 シビアなものだ・・・。

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