第5話
ある日、『制服に一枚羽織っただけの服装でアルコール度数の高い酒をビアホールで飲む』というリスクを犯していたところ、チェスをやっている人達がふと目に入った。それだけなら気にならなかったのだが、『負けたらここの飲み代奢り』というリスクのある対局であると後で知った。
それ以来ビアホールにちょくちょく通っては、チェスをしている人達を観察し続けていた。ちなみにドイツでは、アルコールの度数によって飲める年齢が変わる。高い酒は一八からだ。
またある時、ガラが悪く、不衛生な客同士がチェスで対決をしているときに、酒の勢いもあってか『負けたら一晩、自分を好きにしていい』ということをエサに対局をした。どちらも趣味程度のチェスだったので、見るに堪えない泥試合だったが、ギリギリのところでシシーが勝った。その時に脳に刻まれた緊張の美酒の味が、後に繋がっていく。
財力がなければ、自分に賭けられるものはひとつしかない。というところからスタートし、趣味の枠を超え始めたところで、『より強い相手と対局し、持ち合わせにない金額を賭ける』というところに落ち着いた。もし負けたら暴力か、警察に突き出されるか、はたまた自身の身体を好きにいじられるのか。もしくはそれ以上のなにかか。
学校の誰にも言えないし、もしバレた時のリスクを想像すると、まぁそれはそれで笑みが溢れる。
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