第15話 15
あーっ! そうだ! お母さんが買い物に行っちゃって、響くんが天国にいかせてやるとか言いだしたんだった。そういえば、私、何をされたんだろ? 制服は着てるし、あー、その……下着もちゃんと着けてる。響くんを見ると制服を着てるし、何かあったわけじゃないよね?
「鈴さ、すげー可愛い声で俺の名前を呼んでたよな」
はい? そんな記憶はないんだけど、いったい何があったんですか? 思わず、響くんを見つめる。あー、やっぱり綺麗な顔だな……って、見とれてる場合じゃないでしょ、私!
「続きするか?」
そう言いながら、響くんがまた近づいてきた。
「あ、あの……、さっきは何してたんでしょうか?」
私の質問に、響くんの表情が一瞬固まり、その後、意地悪そうな笑みを浮かべた。
「何って、決まってるだろ」
えぇ! 決まってるの? なんだろ……?
考え込んでいると、響くんの手が伸びてきて、腕を掴まれて再び押し倒されてしまった。ダメじゃん私、学習能力はどこへ置き忘れてきたんだ?
響くんの手から逃げようと頑張ってみるも、力で敵うはずもなく、簡単にうつ伏せにされてしまった。響くんの手が、背中に置かれる。 あぁ、何をしてたかなんて、聞かなきゃよかった。いまさら後悔しても遅いけど……。
「あ……」
何これ? すごく気持ち良い。ずっと右の肩のあたりが凝ってて辛かったのに、それが楽になってる。もしかして、さっきはマッサージをしてくれてたとか?
これは、確かに天国だ。やっぱりさ、ずっとメガネをしてると、なんか目が疲れて、それが首とか肩とかにくるんだよね。
「やばい声を出すな」
へっ? やばい声って何? ってか、響くんの手が止まっちゃったよ。
何か急に重いものが乗っかってきたんだけど、響くん何してるの? 向きを変えて確認しようとしたんだけど、ガッチリと抑えられていて動けない。
「響くん?」
返事がない……。なんとか顔の向きだけでもと頑張るけど、無理……。って、何か首筋に柔らかいものが当たってる。何なの?
頑張って動こうと努力していると、玄関の方で音がした。もしかして、お母さんが帰ってきた?
「お母さん!」
思いっきりお母さんを呼んだ。だって、ここで呼ばないと後で絶対に後悔しそうだったから。
部屋のドアが開いて、お母さんが顔を出した。その途端、身体にかかっていた重みがなくなった。
「何? お母さん、お邪魔虫になるのは嫌よ」
お邪魔虫ってなに?
「えっと……、お腹すいたかな……?」
そういえば私、お昼ご飯を食べ損なったんだった。
「えー、なんにもないわよ」
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