第14話 14

 あれ……? でも、さっきよりは痛くないかも? 響くんの動きが、少し優しくなった気がする。うん、これなら我慢できる。

 そう思うと、自然と身体から力も抜けた。そのせいなのか、なんだか気持ちよい気がする。

 

 なんだかボーっとするなぁ……、私、どうしたんだっけ? 重たい瞼を開くと、視界がぼんやりとしている。あれ? 朝? 私、いつ寝たんだっけ? まあいいや、お母さんが起こしに来るまで、もう少し寝てよう。

 そういえば、なんだろこれ? こんなに温かくて抱き心地が良いものなんてあったっけ? ま、いっか。あまりの心地よさに、そんなことはどうでも良くなって、それを強く抱きしめた。

「襲うぞ」

 ん? 何か聞こえたけど、私以外いるわけないし、夢だよね。再び、意識が遠くなっていく中、いきなり抱きついていたものが動いた。なになに? なんなの?一気に目が覚め、動いたものを確認しようとしたけど、ぼんやりとしか見えない。って、メガネがないじゃん、見えないわけだよ。慌てて起き上がり、いつもの置き場である、枕元の棚へと手を伸ばす。

 もう少しで手が届くというところで、いきなりその手を掴まれ引っ張られた。いったい何なの? お母さんなの? メガネがないから、何が起こってるのか分かんないよぉ。

 何が起きているのか分からず戸惑っていると、ぼんやりとした視界に、何かが迫ってきた。思わず目を細めて見てみるけど、やっぱり分かんない。

 影が大きくなったと思ったら、唇が何か柔らかいもので塞がれてしまった。えぇー? もしかしなくても、これってキスぅ? 驚きのあまり、そのまま固まっていると押し倒され、何かが身体の上に乗っかってきた。ちょっと! 重いじゃない! って文句を言いたいんだけど、口を塞がれていて言葉が出ない。 唇が解放され、身体にかかる重みが無くなると、急いで上半身を起こし、メガネを手に取った。動揺してるのか慌てているのか、上手くメガネが掛けられなくて、思わず落としてしまった。うー、メガネメガネ……。ないと困るんだよぉ。落とした辺りを手で探っていると、誰かが私の手にメガネを握らせてくれた。ありがとう! 誰だか分かんない人。

 メガネを掛けて、相手を確認してみる。あー、えっと……、なんで響くんがいるの? しかも、なんでベッドの上に一緒にいるの? 確か、なぜか一緒に帰ることになって、私の家に来たんだったよね。それからどうしたんだっけ?

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