第13話 13

 へっ? なに? 続きって何ですか? っていうか、なんだかよく分からないけど、こっちに来ないでくださいよ! 思わず首を横に振るけど、響くんは構わずに私に向かって手を伸ばしてきた。

 もちろん、逃げ場所なんてないから、響くんの手に捕まると抱きかかえられてしまった。そして、勢いよく身体を持ち上げられ視界が反転した。

 えっと……、これはないよ……。いくらなんでも酷いですよ……。そりゃ、どうせ抱きかかえられるなら、お姫様みたいな抱っこをちょっぴり期待とかしてしまったけど、こんな獲物を担ぐようなのってあんまりだよ。

 響くんの肩に担がれブラブラと揺れる自分の手を見ていると、いきなり放り投げられてしまった。柔らかい物の上だったので特に衝撃は無かったけど、放り投げるなんて酷くないですか? 舌が柔らかかったとはいえ、衝撃が結構あるんだから、もっと優しくしてよー!

 抗議の視線を響くんに向けたけど、なんだか嬉しそうに私を見下ろしてる。すぐに、部度が軋む音と共に響くんが近づいて来た。……え? ベッド……? 私は慌てて今自分がいる場所を確認したんだけど、ベッドの上ってどういうこと?

 もう一度、響くんを見るとすっごく嬉しそうというか、楽しそうというか、そんな感じの意地悪そうな笑みを浮かべて、私を見下ろしてる。もしかしなくても、これって乙女のピンチってやつですか?

「あ、あの……」

 響くんの気を逸らして、その隙に逃げるとか……。あれ? でも、どうやって気を逸らせばいいんだろ? とりあえず、なんでもいいから話しかけてみるとか?

 なんてのん気に考えていたら、いつのまにか制服の上着を脱がされてる。というか、私の言葉は無視なんですか? あぁ、そんなことはどうでも良くて、響くんもベッドの上にいて、私の身体を押さえ込んでるんだけど、もう逃げるのは無理なんでしょうか?

 なんで、今日会ったばっかりの人とこんな事になっちゃうの? お母さん、ごめんなさい……って、お母さんに謝る必要ないじゃん! 

「いたっ!」

 突然、身体に痛みが走った。ものすごく痛いんだけど、どこが天国なの?

「痛いのは最初だけだ。すぐに良くなる」

 そんなこと言われたって、痛いものは痛いんだけど……。響くんが動くたびに、私の身体に体重がかかり、鈍い痛みがある。うー、どれだけ我慢すればいいの?

「やっぱり痛いよ!」

 私の言葉に、響くんの動きが止まった。

「身体の力を抜け」

 私の訴えは、見事に無視された……。力を抜けって言われても、無理だよ……。

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