第6話 6
「あー! さっきのファーストキスだったんですよ!」
あまりのショックに、記憶から抹消してしまう寸前で思い出し、思わず声を上げてしまった。
「静かにしてないと、人が来るぞ」
そう言いながら、私の頬に綺麗で長い指が触れる。
「それとも、見られてる方がいいとか?」
それは絶対に嫌ですー! って言うよりも先に、二度目のキスをされてしまった。
今度は軽く触れるだけで、すぐに唇が離れてしまった。なんで? なんで私、キスさちゃうの?
「あの……。なんで、こんなことするんですか?」
半分泣きながら、西園寺くんに尋ねる。どうして? なんでこんなことされるのか、まったく分かんないんだけど……。
西園寺くんの顔がまた近づき、身構えた私に向かって、意地悪そうな、楽しそうな笑みを浮かべた。
「だって鈴、面白いじゃん」
はい? 面白いとキスするんですか? 普通は、好きな人としませんか?
「それに鈴は、俺の顔が好きだろ?
そりゃあねぇ、こんだけきれいな顔を嫌いな人はいないと思う。
「ずっと、俺に見惚れていたもんな」
ば、ばれてるよ! って、あれだけ見てたんだもn。バレて当然だとね……。って、何? 私もしかして、キスして欲しそうな顔してたとか? そりゃ、こんな王子さまみたいな人とキス出来たら良いなーなんて、ちょっと思ったりしちゃったりなんかしちゃったけど……。それはほら! 憧れとか夢とか、そんなものであって現実になんて思ってなかったよ!
あー! そんなことよりも、なんで私、ばれないようにこっそりと覗くとかしなかったのよ! って今更遅いけど……。
ガックリと肩と視線を落としたせいか、西園寺くんの行動に気が付かず、なんか耳になま暖かーい感触がして、思わず飛び上がってしまった。顔のすぐ横に西園寺くんの顔があり、耳に感じた生暖かい正体はどうやら唇のようです。いや……ハッキリ分かんないんだけど、たぶんそんな感じ……。
「なに? キスだけじゃ足りなかったって顔してるけど?」
へ? そんな顔してないよ! というか、なんで西園寺君は制服の上着を脱ぎ始めてるんですか? 一体、何をする気なんですか? 不思議に思い、ジッと西園寺くんを見つめていると、なにやら意地悪そうな笑みを返してきた。
「何? 俺の身体が見たい?」
一瞬、西園寺くんの言っている意味が分からず、更にほけーって見つめてしまった。
「俺、顔だけじゃなくて身体も凄いけど、試してみる?」
か、身体? 試す? 一体何をするつもりなんですか?
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