第4話 4
えーっと、ほら! やっぱりり食べ物とか持ち込んでるのを見つかったらヤバイじゃない? だからこっそりと侵入するのです。無事に辿り着いたお目当ての本棚のまえで、コロッケパンを包んでいるラップを剥がしながら、本を探す。お気に入りの本を見つけ、本棚から取ろうと手を伸ばしたんだけど、私の身長じゃ届かないよ。爪先立ちで頑張ってみたんだけど、全然無理。誰? こんなところに本を置いたの! 私、昨日はちゃんと手が届くところに置いたよ!
とりあえず手に持っていたコロッケパンが邪魔になり、口に咥えて左手も使ってみたけどやっぱり無理……。どうしても、あとちょっとが届かない。
仕方がないので、飛び跳ねたりして頑張っていると、いきなり横から手が出てきて私が取ろうとしていた本を取ってしまった。
あーっ!、愛しの大藪晴彦様の本がー! 誰よいったい。私が先に目をつけてたのにと怒りを顕わに、本を取っていった相手を見た。
お? おおおお王子様? そこには、逆光の中、優しく微笑みながら本を差し出している、王子様の姿があった。
思わず、あんぐりと口を開けてしまった為に、コロッケパンが口から落ちてしまった。
「あああああ、ありがとうございます」
素敵なほほえみを浮かべている王子様から、本を受け取る。
「ここ、飲食は禁止だよね?」
王子様スマイルに優しい口調なんだけど、逆光のせいか何かが違う……ような気がする。
「あ、そ、そうですよね。すいません、すぐ片付けます」
急いでコロッケパンを拾おうとしたら、いきなり王子様が近づいてきた。何? また髪にゴミとか?
王子様がどんどん近づいて来るので、釣られて私はどんどん後退っていく。すぐに壁にぶち当たり、これ以上は下がれないというところまで来てしまったんだけど。それでも王子様は止まらないんです。
王子様は目の前にクルと立ち止まり。手を伸ばすと私のみつあみのおさげを掴んできたんですけど……何がどうなってるの?
「やっぱ、お前おもしろいわ」
はい? 王子様、なんか言葉遣いが違いますよ? 逆光のせいか、雰囲気も違いますよ? 今の姿は、王子様というよりも、意地悪な魔王様って感じですよ? それはそれで美形だから素敵なんだけどね。でも、やっぱり私は王子様の方が好きですよ?
私の髪から手を放した王子様、もとい魔王様は、いきなり私のメガネを取っちゃった。
「あ!」
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