ニュース速報

それから二十分後。

ようやく母さんを落ち着かせる事が出来た。


「ぐすっ、やっと元のリューちゃんに戻ったわ…」


俺はとりあえず母さんにハンカチとティッシュを渡し、涙と鼻水を拭かせた。


あと、落ち着かせている間に龍斗の記憶を少し思い出してみると、どうやら中学三年の頃までは普通だったらしいが、父親が他界してから変わってしまったらしい。


だが、何故リュートが母親を避けていたのか分からない


ま、そのうち思い出すからいっか。


とりあえず母さんが落として割ったティーカップの破片を拾い、零れた紅茶を雑巾で吹いた。


そしてとりあえず母さんを椅子に座らせ、俺も対面するように目の前に座る。


まだ、詳細な記憶は分からないが、取り敢えず判明した事がある。


この母親……とんでもねぇ親バカだ!!あと泣き虫。それと……


俺は目の前母さんの首から下に視線を逸らし視線を逸らし覗く。


デカい……!!ナニとは言わんが……


「デカすぎんだろ……」


思わずそんな事を口に出してしまった。


「ん?何か言ったかしら?リューちゃん」


「ふぇ!?い、いやなんでもないでしゅ……」


危ねぇぇ!!今の聞かれてなくてよかったぁぁぁ!!てか変な声出しちゃったし最後なんて噛んじゃったし、恥ずかし!!


まぁ本人は聞こえなかったようだし、とりあえず結果オーライという事で。


気を取り直し、母さんの顔を見た。

すると顎を両手で支え、微笑みながら俺の顔をじっと見ていた


「ん?ふふふ、どうしたのリューちゃん」


改めて見るとやっぱめっちゃ美人!!


俺が見蕩れていると母さんの口が開く


「それにしてもリューちゃんとこうして直接会話するのは一年ぶりかしら。」


「そ、そうだね……一年ぶりか……」


てか、超気まずい……とりあえずテレビでも付けるか……


「あ、ちょっとテレビ付けてもいい?」


「ええ、いいわよ。」


俺は母さんから許可を得て、机の隅に置いてあったリモコンを手に取り、テレビの電源を付ける。


すると画面が映し出され、ニュース番組が流れていた


てか、テレビデカイなぁ……


そんな事を思いながら見ていた時、突然画面が切り替わった


「ん?なんか切り替わった」


それはヘリからの中継画面で左上に女性アナウンサーの顔が映っていた


そして中継画面に映るそこは見覚えのある交差点だった。


『速報です。今日八時過ぎ頃。交差点にて交通事故が起きました』


「やーね。交差点で交通事故ですって」


母さんはテレビを見ながら不安そうな表情をしていた。


「なんか、見覚えある交差点だな」


俺は記憶を漁りながら母さんが淹れてくれた紅茶を飲む。


「この紅茶めっちゃ美味い……」


暖かくて、香りも良くて凄い癒される。

今日は色んな事が起きたからな……


そして俺はニュースを聞きながら紅茶を嗜む。

だが、このニュースの衝撃的な内容が俺を襲うとは知らずに……


『被害にあったのは高校生の名無野ななしの盆平ぼんべいくん十五歳です』


「ブッッ!!」


俺は聞き慣れた名前を聞いた瞬間、あまりにも

衝撃過ぎて紅茶を吐いてしまった。


「りゅ、リューくん!?大丈夫!?」


急に俺が紅茶を吐き、母さんが慌てて席を立ち、俺に駆け寄る


俺は衝撃的な内容すぎてむせてしまった


「ゴホッゴホッゴホッ!!」


それも当然だ。何せ、以前の俺の名前が読まれたのだから。


「だ、大丈夫…少しむせただけだから……」


俺は口を拭いながらテレビの画面を見る。


防犯カメラの映像には以前の俺が全速力で走っている所が映し出されていた。


「今日は入学式なのに……かわいそうね……」


母さんは以前の俺を思ってか目尻に涙を浮かべていた。


この母さんいい人すぎだろ!!

マジ尊敬しかない。あと母さんを泣かしてた

龍斗マジで許さん


俺は母さんから目を逸らし、テレビを見る。


左上に表示されている時間は「十時五十五分」


俺が死んでからまだ二時間しか経ってないのにもうニュースになっているとは……

マスコミ恐るべし。




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不良に転生した俺だが、必ず青春ラブコメを実現してみせる!! 柊周 @Elunino

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