第69話:炉を作ろう

そう言うわけで無事コモンズに戻ってきました。

まずは建設中の工房に寄って親方とレンガを下ろします。

ちなみに街の中までリズで飛んで来ちゃいました。

少しざわついたけど、問題ないよね?


実はこのレンガ、1つでも通常のレンガの10倍以上重たいので、

炉の設計図通りに配置しながら一つずつアイテムボックスから出しています。

私がレンガを置いて、それを親方が微調整しながら接着。

テキパキと積んでいきます。普通はこの作業だけで3日はかかるそうです。

もっとも、レンガが固定されるまでには3日かかるそうなので、

まだ炉が完成したわけじゃありません。

とは言え、後は乾くのを待つだけなので、作業としては終了です。


「やっぱ、嬢ちゃんがいると捗るぜ!」

最近大工さん達の間で私の人気が急上昇中です。

主に荷物運搬係としてですが・・・

でも、役に立てるのはうれしいです。

「ご主人様大活躍ですの!」

出来ない事はなるべくしないで、出来る事は一生懸命がんばる。

そして、出来る事を少しずつ増やしていく。

レベルが上がらなくたって成長は出来る。

まあ、レベルが上げられればそれが一番なんだけどね。

そう言うわけなので、今はお薬を一生懸命作る!


建設現場のお手伝いが終わったので、お薬を作る研究をしようと思います。

まずは水飴の研究の続きかな?

祝福の泉の水は、まだ濁ってるので使えません。

なので、今できるのは水飴の研究。


現在、いつもの「肉と安らぎ亭」で作戦会議中です。

参加者は私とリリス。時間は夕食時。

他の人?

お土産の火酒を飲んだらみんな潰れて寝ちゃいました。

私とリリスはお酒が飲めない年齢なので無事です。

やっぱり火酒は危険なお酒だと思います。

ニニアさんも喉が焼けるような感じがたまらないと言ってたけど、

それって美味しいの?火傷してるんじゃないの?

火酒って言うくらいだし。


「やはり、普段作ってる人に聞くのが一番ですの!」

知ってる人に教わるのが良いよね。

誰が作ってるんだろう?水飴屋さん?見た事無いなぁ。

パンならパン屋さんなんだけど、水飴は?

「私も水飴屋さんは知らないですの・・・」

前に食べた事がある甘いパンは水飴使ってたのかな?

まずは、パン屋さんで聞いてみようか?

ダメなら他を探す感じで。


ちなみに、火酒はこの街では手に入らない模様。

リズがドワーフの酒職人の誘拐じゃない、勧誘を本気で考えてました。

そうでなくても数日おきに買いに行きそうな勢いです。

そんなに魅力的なのかな?


「これの味見を頼む、塩竃焼きってのを試してみたんだが、しょっぱすぎないか?」

そう言っておっちゃんが何種類かの肉を持ってきた。

うわっ、しょっぱすぎだよ。これ。全然ダメ。

そういえば、塩竃で焼いた後に串焼きにしてるって言ってた。

「なるほど、一度塩を洗い流してみるか」


おっちゃんには新しく行った街から持ち帰った色々な物の再現を頼んでいる。

材料が手に入らなくて、再現できない物もあるけど、

代用品を見つけて近い物を作ってくれる。

「今度はどうだ?塩加減は良さそうなんだが・・・」

うん、さっきのよりもだいぶ良いと思うよ。

「リリスは羊が気に入ったですの!」

羊の肉は良い塩加減で美味しい。

ドワーフが作ったのとは違う味だけど、これはこれでいいんじゃないかな?

「じゃあ、とりあえず羊の塩竃焼きはメニューに追加しよう」


そう言えば、前にパン屋でミルクを飲んだけど、

あれって牛乳ってヤツじゃないの?

「ああ、あれは豆乳と言って・・・そうか!牛乳がないんだから豆乳を使えば!」

ん?なんだかわからないけど、おっちゃんがやる気を出した。

大急ぎでどこかに行っちゃったよ。パン屋かな?

もう閉まってると思うけど。


パン屋で飲んだミルクって牛のお乳じゃないんだ。知らなかった。

そうだよね。蜂蜜が高いから代わりの物って事で水飴を作ったんだよ。

水飴以外のさらに代用品を探しても良いかも?

お砂糖ってどうやって作るんだろう?

蜂蜜は蜂の巣にあるんだよね。お砂糖もどこかでとれるのかな?

リリスは知ってる?

「砂糖は植物から作るんですの。でも、作り方は知らないですの・・・」

そうか、作れるのか。でも、値段が高いと言う事は、材料が高いのかな?


今日のところはそろそろ寝ようか?

明日も朝早くから親方の手伝いに行かないと。


おはようございます。

ぺちぺち

今、リリスのお尻をたたいて起こしてます。

本人がたたき起こしても大丈夫って言ったので実行中です。

「あーん、ご主人様ぁ、もう少し優しくして欲しいですの~」

おはよう。リリス。ご飯食べて親方のところ行くよ。


「よう、おまえら今朝も早いな」

おっちゃん、おはよう!

「ほらよ、今日の朝飯だ」

まだ頼んでないよ?

って、黄色いスープ!

いただきます。

まずはスプーンですくって一口。

美味しい!すごいよおっちゃん!本物みたい!

「だろ?豆乳で作ってみたんだ。なかなか良いできだと思うぜ!」

豆乳ってなんのお乳?羊?

「豆だよ。豆を煮て潰して濾して絞って・・・とにかく色々やって出来るんだ」

ふーん。豆から作れるんだ。

おっちゃんすごいな。黄色いスープも作れるようになっちゃった。

私もがんばんないと!


親方、おはよう!

「おう、嬢ちゃん。龍のばあさんはまたダンジョンか?」

リズに用があるの?また材料の仕入れ?

「違う、炉が一応出来たんで燃焼試験をしようと思ってな」

まあ、燃料がリズの炎になる予定だから、リズが居ないとダメだね。

ごめん、親方。昨日酔い潰れちゃってまだ寝てるんだよ。

「火酒か?嬢ちゃんの薬で治るだろう?」

寝てるとさすがにお薬を飲ませられないんだよ・・・

「そりゃそうか、じゃあ目が覚めたらここに来るように伝えてくれ」

今のところ手伝える事はないみたいだから、

宿に戻ってマーシャさんに伝言を頼んだ。


じゃあ、水飴の聞き込み調査をしよう!

「まずはどこに行くんですの?」

パン屋かな?おっちゃんもパン屋でヒントをもらって、

黄色いスープを完成させたんだし!

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