第64話:祝福の泉
グランツさんに連れられて不動産屋にやってきました。
不動産屋とグランツさんに言われるままにサインしていきます。
今までのパターンだと、偽の書類に騙されてサインするところですが、
今回は額が額だけに怖すぎるのでみんなも連れてきました。
不審な点があれば私の代わりに指摘してくれる寸法です。
たくさんの書類にサインしていよいよ受け渡しです。
今回購入したのは土地で、建物はおまけで付けてくれました。
その代わり、不要な場合の撤去代金は私持ちになるそうです。
そして、ようやく手に入れました。土地の権利書と建物の鍵です。
なくすと怖いので即座にアイテムボックスにしまいました。
かちゃ
ぎぃーーー
ドアを開けるとそこは・・・元鍛治屋の工房な訳だけどね。
新築って訳じゃないし、それなりに年季が入った建物だ。
まあ、さっきも下見で見に来ているから新鮮な感じはしないけどね。
今度は改築の見積もりのためにドワーフの大工さんも一緒です。
ベリーさんの指導によって工房内の配置などが決定されていきます。
超高熱に耐える炉と錬金術で使う設備などです。
「ミスリルの加工に耐える炉をお願いします」
肝心の炉が出来ないと困るんだよ。
「任せとけ!オリハルコンの加工にだって耐えられるヤツをこさえてやるぜ!」
さすがにオリハルコンまでは必要ないです。
「オリハルコンも!?楽しみです」
ククリさんもその気になってる・・・
そもそもオリハルコンなんて手に入りません。
「我が主はオリハルコン製の武器も多数持っているのじゃが?」
あれはコレクションです。私が使えないし。
むしろ、誰にも使えなさそうだし。
まあ、リリスはいくつかは装備は出来たんだけどね。
装備できるのと使いこなすのは別なわけで・・・
「ちょっと裏庭に来てくれ」
ドワーフの大工さんに呼ばれて裏庭を見に行くと・・・
「うわぁ、ぐしょぐしょですの」
水たまりというか?湿地帯というか・・・
何これ?どうすれば良いの?
「湧き水っぽいな」
湧き水?水が湧いてるの?庭から?
よく見ると澄んだきれいな水だ。
靴が濡れるから素足になって水が湧いている箇所を探す。
湿地帯のほぼ真ん中に湧き水の源泉があった。
その水が湧き出ている源泉に触れると・・・
ぴかーっと辺りが虹色の光に包まれた。
え?何?今の何?
誰か何かした?
「ご主人様が触れたら光ったんですの!」
光った?私が?湧き水が?
「私には水たまりが光ったように見えたよ」
良かった、私が光ったかと思ったよ。
シオンさんの言葉を信じる事にするよ。光ったのは水。よし。
「あたしが見た感じ、枢機卿の時と同じ感じがしたよ」
ニニアさん怖い事言わないで。
「リーゼロッテ様、水を鑑定してみてください」
名前:コップに入った水
品質:最高品質
説明:コップに入った祝福されたきれいな水。祝福の泉で採取。魔力が回復する。
なんかすごい水だ。
さっき光ったのが祝福なのかな?
魔力が回復するから、ダンジョン内の回復の泉と繋がってるのかも?
もしかするとダンジョンの瘴気とかで穢れた状態が回復の泉?
その水の穢れていない状態って事?
なんて言うか、勝利が約束された気がする。
きちんと整備して水を汲みやすくしよう。
早速、大工さんにお願いする。
「ここを水汲み場にすりゃあ良いのか?」
そうすると配置とかも変えないとダメ?
「ここから分岐して、炊事や風呂にも使えるようにしてやるよ」
このお水を使うのはもったいない気もするけど、
溢れて流れてっちゃうなら、使わないともったいないよね?
美味しいスープも出来そうだよ。私は作れないんだけど。
居住スペースの方には部屋を多めに作って貰う事にした。
なんとなくだけど、人数が増えそうな気がしたから。
その分も含めてみんなでご飯が食べられる食堂と、
料理をする厨房も。でも、誰が料理できるの?
「使用人部屋はこちらが良いかのう?」
ちょっとリズ何を注文してるの!?
「ご主人様、炊事や掃除をする人が必要ですの?」
リリスは出来る?
「命令する事しか出来ないですの・・・」
そうだろうね。
でも、料理人というか、家事の出来る人を雇う?
あちこちで仕入れてきた色々な食材で料理して貰う?
なんか夢溢れてきた!
大体の間取りとかは決まった。
とは言っても、1日やそこらで家が建つわけもなく、
当然、完成までには結構な時間がかかる。
それまでの間は宿屋にお世話になるしか無い。
ああ、水汲み場だけでも早くできないかな?
いやいや、工房もできあがらないとダメか?
結局は素直に完成を待つしか無いんだよね。
家ができあがるまでの間に水飴の研究をしていよう。
なんせ今はまだ低品質だからね。
ある意味一番伸びしろがある。
まずは、高品質の水飴を目指そう。
そのためには材料とか作り方をもう一度確認しよう。
正しいレシピに正しい手順、それが重要。
そして、わからない事は知っている人に聞く。
まあ、1人で試行錯誤するのも面白いんだけどね。
材料が無駄になっちゃうのがもったいないし。
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