第63話:おうちを探そう
グレイスさんに案内されて、空き家になった鍛冶工房にやってきた。
人生経験の乏しい私じゃ判断できないので、
他の人の意見を聞いてみる。
ここは1階が工房で2階が住まいなのかな?
「工房のスペースとしては十分だと思います」
ディジィばあちゃんの工房とか、ベリーさんの工房とあまり広さは変わらない。
2階の居住スペースはどうだろう?
部屋は3つだね。ところで、私の家にみんな住むんだよね?
「妾とリリスは我が主の使い魔じゃから当然なのじゃ」
まあ、そうだよね。
ニニアさんは?
「パーティーだからね。一緒の方が良いね」
するとシオンさんとベリーさんもだよね。
ククリさんはドズン工房に住んでるんだよね?
「ですが、ミスリルの加工には時間がかかるので、工房が近い方が良いです」
あれ?7人?さすがに狭いかな?
「確かにこんな人数だと狭いですね」
工房と住む場所を分ける?
それはそれで不便だよね。
地下室?地下?ダンジョン?やっぱりダンジョン?
一応街の中だし、きれいな水はあるし。
あんまり問題ないんじゃないかな?
もうダンジョンで良いよね?
あの部屋広いし。家ぐらい建てるスペースあるし。
ダンジョンに家を建てるときは誰に許可を貰えば良いんだろう。
そもそもダンジョンの持ち主って誰?
一応コモンズの街の一部だから、領主様?
ちょっと領主様の家行ってくる!
「リーゼちゃん、無理よ。会ってくれないわ」
そうか、領主様だもんね。面会の予約とか必要?
領主様に会う予約ってどうすれば良いの?
「下っ端の冒険者には会ってくれないわ」
がーん、そうなのか。でも、ニニアさんなら?
「領主に会うならAランクは無いとダメじゃないかな?」
Aランク?そんな人ここの街のギルドに居ないよ?
偉い人に知り合いはいないから、無理か。
あ、シオンさんは?勇者だよ?
「まあ、ダメ元で頼んでみようか?」
お願い、シオンさん。
「ところで領主に何を頼むの?」
ダンジョンの部屋に家を建てる許可が欲しいんだよ。
「家って、うちらが住む?」
もちろんだよ。
「元々エリザベート様の住まいだったのでしょ?」
そうか、リズの家みたいなもんだよね?
もしかして領主様の許可要らない?
そうだ、グランツさんならその辺知らないかな?
ちょっとギルド行ってくる!
何度目かのギルド。
グランツさんを呼んでください。
受付のお姉さんにグランツさんを呼んで貰う。
グレイスさん以外の受付のお姉さんの名前を知らないんだよね・・・
「またおまえさんか・・・」
ダンジョンで家と炉が工房にお風呂の拠点なんだよ!
「よくわからんがダンジョンにパーティーの拠点としての工房を作りたいんだな?」
そうなんだよ!
「さすがギルドマスター、あれでも通じるのね。負けてられないわ!」
グランツさんは呆れた顔をしている。
「あのなあ、ダンジョンに住むのは止めとけ」
グランツさんはいつも最初に否定します。
でも、今までは大丈夫でした。
「一応、ダンジョンに住むのに許可は要らない」
やった!
「しかし、ダンジョンには上下水道がない」
え?そう言えばそうだね。
「飲み水なんかはダンジョンの泉もあるが、トイレがない」
そうか、考えても居なかったよ。
良い考えだと思ったのに・・・
「つまらない事考えないで素直に街に住め」
振り出しに戻りました。
どこか物件を紹介してください。
この人数で住める程度の広さで工房付きの。
「そんな物件はないから、どこかの土地に作るしかないな」
じゃあ、土地を紹介してください。
「普通の家2件分くらいか?それに工房って事は音が出るな?」
まあ、私が使うだけなら音は出ないけどね。
ベリーさんの研究やククリさんの作業はわからない。
鍛冶屋ってトンテンカンって音がするイメージです。
「すると工房街の中だな。グレイスには物件を見せて貰ったろ?」
あそこは工房としては十分だけど、住むのにちょっと狭かったんだよ。
「で、裏庭が結構広かったろ?そこに増築すれば良いんじゃないか?」
もう、いっそのこと全部建て直しちゃう?
必要な間取りを大工さんに伝えて建てて貰う?
「うむ、その方が良いのじゃ」
でも、お高いんでしょ?
「土地と建物で金貨450枚だ。現状渡しならな」
おや?もしかして買えちゃう?
「もっとも、その後の建て替え分は知らんぞ?大工に聞け」
リズ、どうしよう?
「なぜ妾に聞くのじゃ?」
だって、お金持ってるのはリズだもん。
するといきなりリズが慌てだした。
「妾は持っていないのじゃ。我が主が持っているであろう?」
ああ、そう言うことか。
うん、私が預かってるよ。
でも、リズのお金でしょ?リズのものを売った代金だから。
「びっくりしたのじゃ・・・脅かすでないぞ、我が主よ」
リズがため息をついて座り直した。
「誰の物でもなく、パーティーの金じゃ。ここで使わず、いつ使うのじゃ?」
じゃあ、買います。
手続きをお願いします。
「よし、じゃあ書類の作成は・・・字は書けるよな?」
だ、大丈夫だよ?たぶん・・・
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