第62話:今後の方針
「お帰りなさい、リーゼちゃん」
マーシャさんが出迎えてくれる。
ただいま、マーシャさん。
「リーゼちゃん、どこ行ってたの?」
よかった。グレイスさんが居た。
マーシャさんが引き留めてくれてたのかな?
グレイスさんもいらっしゃい。
「私の剣を直すために鍛冶屋に行ってたんだよ」
サラトガ・クーラーをテーブルの上にのせる。
「真っ二つじゃない、どうやったらこうなるのよ?」
リズがへし折りました。
「すまんな、妾が少し力を入れて切りつけたらこうなったのじゃ」
そしてリズの剣には刃こぼれ一つありませんでした。
聖剣を真っ二つに切っちゃったのに無傷ってすごいよね?
「その剣が聖剣で良いんじゃない?」
でも、ただの鋼の剣なんだよ?
「初めて打った剣なので父様の何倍も時間がかかりました」
すごいと思うよ。最高品質だったし。
「仕上げの研ぎも父様の剣よりも時間をかけました」
私は最初にお薬作ったときにはなんの感動もなかったけどね。
薬草をかき混ぜてただけだし。
でも、その後に色々と工夫して品質が上がるとうれしかった。
だから、ククリさんの気持ちもわかる。
頑張って良い物が出来るとうれしいんだよ。
「この剣は妾が使い続けて、いずれ有名にしてやるのじゃ」
リズが使ってればそのうち伝説の剣になると思う。
そうだ!お土産があったんだよ!
マーシャさん、これみんなに配りたいんだけど・・・
「あら、美味しそうね。器を持ってくるわ」
お鍋に入った黄色いスープ。甘くて美味しかったんだよ。
それと、これも切り分けてみんなで食べよう!
よくわからないけどあげたパンなんだって。
「これ美味しい!」
グレイスさんも気に入ったようだ。
マーシャさん、これお店でにたようなの作れる?
「お父さんに聞いてみるわね」
これがここで食べられるとすごくうれしいんだけど。
わざわざ王都まで買いに行くのは大変だからね。
リズが疲れちゃうんだよ。
「妾が買いに行く事が確定なのかや?」
そうじゃないけど、リズに乗って飛ぶって事はそういうことでしょ?
「こいつぁ、トウモロコシを使ったスープだな」
おっちゃん知ってるの?
「コイツだよ」
細長い野菜を持ってきた。
毛が生えてる皮を剥くと中から黄色いつぶつぶが出てきた。
これがスープに入ってたの?
「コイツを焼いても旨いんだぜ!」
そう言って、ソースを塗って焼いたのも持ってきてくれた。
「旨いのじゃ!」
リズが一瞬で気に入ったみたい。
お芋よりも甘い感じがする。トウモロコシかー。
「パンの方は俺には無理だな、パン屋に頼め」
まあ、そりゃそうか。仕方ないよね。
「ちなみにスープは仕込みに時間がかかるからまた今度な」
おお!楽しみだ。
そうだ、忘れてた。
グレイスさん、炉がないんだよ!
「リーゼちゃん、何のことかわからないわよ?」
盗賊に襲われてリズが剣を真っ二つで直したいけど炉で龍の炎がミスリルなんだよ!
「誰か翻訳して・・・」
なんで伝わらないかな?
「ミスリルの加工をするのに高温の炉が必要らしいのよ」
そう言いたかったんだよ、ニニアさんありがとう。
「で、この街にはミスリルの加工に耐えられる炉がないと・・・」
遠くのドワーフの街に行かないとダメらしいんだよ。
「ドワーフならこの街にも居るわよ?」
鍛冶屋じゃないとダメなんだよ。
「でも、建築のプロよ?家でも炉でも作れるんじゃない?」
そうか、無いなら作れば良いんだよ!どこに?
「リーゼちゃんの工房に決まってるじゃない」
無いよ?そんなのまだ無いよ?
「だから作るのよ!リーゼちゃんの工房を」
私の工房・・・
「だって作るんでしょ?工房」
そりゃあ、将来的にはね。
でも、当分先の話だよ。お金無いし。
「大丈夫よ、薬の買い取り価格も上がったし」
でも、どこにおうち建てるの?そんな場所無いよ?
ダンジョンの中?
「そんなところに住んじゃダメよ!危ないじゃない」
えー?リズが居た部屋だから大丈夫だと思うよ?
「実は、この前引退して引っ越した鍛冶屋が居るのよ」
鍛冶屋の工房が空いたの?
設備的にも、鍛冶屋の工房なら薬の制作にも使えるかも?
炉の設備をミスリルでも大丈夫なように強化して貰えば良いのかな?
ベリーさんは必要な設備はある?
「道具や設備自体は一般的な錬金術のものを一式ですね」
うん、私はかまどとお鍋しか使ってなかったからね。
工房というよりも厨房という感じだ。
実は錬金術の工房に必要なものなんて知らない。
だから、設備に関してはベリーさんに任せるよ。
「風呂が欲しいのじゃ」
お風呂ね。のんびりお湯につかると気持ちいいよね。
「そうか、家にお風呂があればいつでも入れるんだ」
ニニアさんも期待のまなざしをしている。
お風呂は重要だよね。
後はご飯を食べる食堂があって・・・
誰か料理できる?
みんなが目をそらす。
「なんて言うか、冒険者的な料理しかできないよ。丸焼きとか・・・」
うん、そうだよね。冒険中なんてそんなもんだよね。
そしてここに居るのは冒険者。あ、ベリーさんは?
錬金術って料理と似てるよね?
「申し訳ありません、リーゼロッテ様のご期待に応えられずに・・・」
うん、料理はできないんだ。
やるべきことは、
・鱗から糸を作る
・鱗の糸で服を作る
・ミスリルの加工ができる炉を用意する
・聖剣を直す
・水飴の品質を上げる
・五つ星の薬の研究
・お魚を食べに行く
よし、まずは家と言うかお店と言うか工房の内装を決めよう。
そのためには現地を見てみないとね。
そのうえで必要な設備を整えよう。
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