第61話:聖剣の修復

材料はそろってるみたいなので、あとは手順通りに行うだけ。

ところで、リズの炎はこの工房で出して大丈夫なの?

火事にならない?

「炉が耐えられるかどうかってところなのじゃ」

ドズンさん大丈夫?

「ミスリルなんざ扱ったことないからなぁ・・・」

それもそうだね。


「錬金術師の工房にかまどはないのですか?」

この街にはディジィばあちゃんしかいなかったんだよ。

ばあちゃんは薬専門なんだけど、大丈夫かな?

「金属の錬成などを行う方なら大丈夫だったんですが・・・」

ばあちゃんの工房には私が使ったことがない道具もいっぱいあったけど、

私にはわからないんだよ。直接聞いてみる?


そう言うわけでやってきました。「ディジィ薬剤店」久しぶりだ。

ディジィばあちゃん、ただいまー!

「おやおや、久しぶりだねぇ。王都から帰ってきたんだね」

ばあちゃん、お土産もあるよ!

「おや?お客さんかい?」

そうそう、ばあちゃんの工房のかまどって、ミスリル使える?

「ミスリルは無理だね。火力が足りないよ」

火力はリズがどうにかできるんだけど、かまど壊れないかな?

「ごめんね、うちのかまどは薬用だから持たないと思うよ」

残念。まあ、そんな気はしてたんだよね。


ベリーさんの工房ならミスリル加工できる?

「できるとは思うのですが、さすがに試したことはありません」

どうする?どこかに心当たりのある人?

「そもそもこの聖剣はだれが作ったのじゃ?」

そうか、鑑定だ。

どれどれ?


名前:聖剣サラトガ・クーラー(破損)

品質:普通品質

説明:光の属性を纏った聖剣。作者不明。


あれ?作者不明だって。

ベリーさんの鑑定で分かる?

「申し訳ありません。私の鑑定スキルでは作者はわかりません」

困ったね。

「もしかして、もう作った人が死んじゃったんじゃない?結構古い剣でしょ?」

そうなのかな?他の古そうなもので試してみよう。


名前:聖剣ピニャ・コラーダ

品質:最高品質

説明:水の属性を纏った聖剣。作者不明。


うん、作者不明だね。

「って、ご主人様なんで聖剣持ってるんですの!?」

リズに一杯もらいました。内緒だよ?

「妾に山ほど刺さっていたのを、我が主に献上したのじゃ」


名前:魔剣ブラッディ・メアリー

品質:最高品質

説明:血の属性を纏った魔剣。ザガン作。


あれ?作者がわかるのもあった。

魔剣ブラッディ・メアリーがザガンって人が作ったみたい。

「ご主人様、人ではありませんですの。悪魔ですの」

なるほど、まだ生きてるってことね。

数百年前の剣だから作者は死んでると思いました。

じゃあ、やっぱり作者が死んでると作者不明になるのかな?


そう言うわけで、聖剣サラトガ・クーラーの作者はわかりませんでした。

どうやら、ご存命ではないようです。

困ったね。せっかく直す方法が分かったのに。


「リーゼちゃんが持ってる聖剣を使わせてもらうのはダメかな?」

そうか、いっぱいあるんだし、一つくらい良いかな?

じゃあ、さっきの聖剣ピニャ・コラーダをどうぞ。

「ありがとう。って、重いよこれ?持てなくはないけど、振り回せないな」

あれ?勇者でもダメなの?

「昔の勇者が使ってた聖剣でしょ?簀巻きのレベルが足りないのかしら?」

相変わらずニニアさんはシオンさんに厳しい。

「うーん、レベルっていうよりも相性かな?嫌われてるみたい」

ククリさんどう思う?そんなことあるの?

「高品質の武器には魂が宿ることもある」


シオンさんがもう一度サラトガ・クーラーを手にする。

「うん、こっちの方が良いみたい」

サラトガ・クーラーを直してあげたいな。

でも、使える炉がないんだよね。

そもそも、ミスリルってどこで作ってるの?

妖精銀って言うくらいだから、エルフの里とか?

「他は知らないけど、少なくともあたしの生まれた里では作ってなかったわ」

そう言えば、上位妖精の血っていってたね。

上位妖精かぁ。私が自分の種族すらわかんないから探しようがないよね。


「ドワーフはどうなのじゃ?」

そうそう、鍛冶と言えばドワーフも有名だよね。

ドワーフならミスリル加工できないかな?

コモンズの街にはいないのかな?

「鍛冶屋街では見かけませんでした」

なるほど、ドワーフがいても鍛冶をしてないと意味ないしね。

王都に行く?帰ってきたばかりだけど・・・

ベリーさんのかまどが使えるかもって言う話だよね?

「正確には弟子に渡しちゃったので私の工房ではないのですが・・・」

まあ、仕事も何もかも押しつけてきちゃったんだから仕方ないか。


どうしよう?手詰まり?

困ったときはグレイスさんに聞いてみよう!


再びギルドに戻ってカウンターのグレイスさんを探す。

あれ?グレイスさん居ないよ?

「グレイスなら仕事上がったから、おまえさんに会いに行ったぜ?」

あれ?まさかの入れ違い?

タイミングが悪いなぁ。って、どうせ呪いのせいだよね。知ってた。

まあ、グランツさんでも良いか。

ミスリル加工できる人って知らない?

高火力の炉が必要なんだって。

「心当たりはないな。この街じゃ無理だと思うぜ?」

うーん、そうすると別の街に行くしかないのかな?

「火山の麓にドワーフたちの鍛冶の街があるが、遠いぞ?」

王都よりも遠いの?

「方向がまるで違うが、馬車で20日ほどかかる」

王都の3倍くらい遠いじゃん!無理かな?


またグレイスさんと入れ替わりにならないように宿に戻ろう。

少し早足で「肉と安らぎ亭」に戻った。

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