第13話:初級ポーションしか作れない

せっかく錬金術師になったのに、初級ポーション以外作れないらしい。

こういった制限があるのはギルドでも初めてのことらしい。


なんか色々と初めてのことが多いなぁ。私がちょっと変なんだろうけど。

とは言え、初級ポーションは作れるんだよ。

でも、それならそれで初級ポーションを作り続けるのみ!

いっそのこと世界一の初級ポーション職人になるつもりで!

できることをやる!できないことを無理にやろうとしない!

まずは1日に初級ポーションを何個作れるか挑戦なんだよ!


試験の時はディジィばあちゃんが材料を用意してくれた。

これからは材料も自分で用意しないといけない。


それと道具!あの透明のヤツとか!

あとは作る場所かな?自分専用の工房とか無理だけど、

宿屋で作っててもいいのかな?

勝手にやって怒られる前に聞いてこよう。


ディジィばあちゃんに相談なんだよ!

と言うわけで、ディジィばあちゃんのお店にやってきました。

「錬金術は基本的に工房で行うんだよ」

なるほど。火であぶったりするからね。

宿屋でやって火事になったら大変なんだよ。

宿屋のかまどは料理に使うから借りるわけにもいかないし、

聞いておいてよかった。

そして、この街には錬金術の工房はここしかないんだよ。


「かまどは当分の間はばあちゃんの工房のを使っていいよ」

おお、ありがたい。

「それに道具は何でもいいんだよ」

ディジィばあちゃんは、すでに色々な道具を持ってるから、

ビーカーを使ってたけど、鍋で煮てもいいんだって。

薬草からポーションの効能を煮出して濾して瓶に詰めれば、

道具は何をどう使ってもいいんだって。

薬草だって手で千切ったっていいらしい。

ただ、磨り潰した方がよりたくさんの効能が煮出せて、

少ない量で多くのポーションが作れるんだって。

雑に作ると無駄になる部分が多くなるらしいんだよ。


全部ばあちゃんに借りるのも悪いから、道具は自分のを揃えよう。

次はカインズさんに相談に行こう。

この街で結構大きい商会って言ってたよね?

だったら色々な道具を扱っているはずなんだよ!


そういえばカインズさんのお店ってどこにあるんだろう。

前に街の中を冒険した時も見当たらなかったような?

この街も結構広いから適当に歩いてると迷子になるよね?

ばあちゃん場所知ってる?

「冒険者ギルドから西門に向かって少し行ったところだよ」

大きい店だからすぐにわかるらしい。


西門はいつも近くの森に行くときに通ってるんだけどな。

確かにすごく大きいお店があったような?

何度も前を通っているのに気づかなかったとは。


とりあえずはギルドに行って、それから西門の方に行けば良いと言うことはわかったんだよ。

言われたとおりに歩いて行くと、それっぽいお店が見えてきた。

看板にカインズ商会って書いてある。ここでいいみたい。

適当に店の中を覗いてみる。結構広い。ギルドよりも広いかも?


ビーカーって売ってるかな?

あった。値段が銀貨20枚。結構高いね。私には買えない。

これはやめておこう。お湯を沸かして煮出すだけだから、お鍋で良いよね?

お鍋はどこだろう。あっちだ。

片手で持てる小さいヤツ。値段も銅貨48枚。これなら買える。


後は薬草を細かくするには・・・

ばあちゃんが使ってた石臼?粉にする道具みたいだけど、値段が銀貨で30枚。無理。

ナイフで刻む?うーん。刃物は危ないかな?

乳鉢、これでゴリゴリやれば細かくなるかな?

値段も銅貨48枚だし、これにしよう。


かき混ぜる棒とか濾すための布とかコップとか必要そうなものを購入。

全部で銅貨240枚。不思議と全部銅貨48枚だった。

ばあちゃんの使ってる道具と比べるとショボいかも知れないけど、

今の私にはこれで十分なんだよ。

なんせ、初級ポーションしか作れないからね。

道具に銀貨何百枚、つまり金貨何枚かを使えるような貯えや収入はないもん。

まずは身の丈に合った道具でいいんだよ。


さて、ばあちゃんの工房に帰ろうかな?

その前に手順を確認しよう。


水は汲んできて樽に入っているとして、

薬草はアイテムボックスから取り出す。

乳鉢でゴリゴリして磨り潰して、水と一緒に鍋に入れる。

かまどはばあちゃんの工房のを使うから大丈夫。

鍋を火にかけて棒でかき混ぜながら薬の成分を煮出す。

鍋の中身が初級ポーションに変わったら布で濾して、

どこに入れるんだよ?濾したのを入れる器が足りない。

危ない危ない。

だいたい、布で濾すって、どうやって?鍋ごとドバー?

お玉とか?必要だよね。それともう一つの鍋かな?


店員さんを捕まえて、色々と説明してもらおう。

錬金術ではなく、料理的なものの手順として必要な道具を。

まあ、やってることはほとんどお料理なんだよね。

だから、こうやって調理器具で色々と代用が効くわけで。

で、必要そうで足りないものを見繕ってもらった。

今度こそ大丈夫なはずなんだよ!

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