第2章 14


 俺の問いに宮本先生は黙り込み、俺と先生の間に沈黙が流れた。チラッと宮本先生の様子を見ると相変わらずマスクをしていて表情がよく分からないが、眉間に皺が寄ったようにみえた。



(…うわ、なんか嫌そうな顔してる)



 陽貴は宮本先生に距離置かれてるって話してたけど、これ距離置いてるどころか嫌ってる感じじゃん…。



 「先生って…陽貴の事嫌いなんですか?」


「は?」


「今すごい嫌そうな顔してた」


「……」


「陽貴、先生の事気にしてるのに」



先生の態度が気に入らずムッとした顔で見ると先生はバツの悪そうな顔になり、ゆっくり口を開いた。



「俺、そんな顔に出てるか…?」


「出てる」


「そうか…」



 俺よく顔に出るほうなのかな、と困ったように口にした先生は頭をぽりぽり掻いた。そして言葉を続けた。



「…俺は速水のことは嫌いではない。ただ、強いて言えば関わりたくない…それだけだ」


「それ、嫌いなのと変わらないじゃないですか…」


「……とにかく俺から高瀬への用はそんだけだから、もう帰っていいぞ」


「おい、今はぐらかしただろ先生」


「水島達と一緒に帰るんじゃないのか?待ってると思うぞ」


「うう……」



確かに水島達が俺を昇降口で待っている。気になるがあんまり待たせては行けないと思いふう、とひと息ついたあと先生に一言挨拶をして職員室を後にしようとした。



「…そんなに気になるのか」


「え、」


「俺が速水と関わりたくない理由」



先生が無表情に俺を見つめてきたので、緊張しながらも頷くと先生はデスクの引き出しを開け、入ってあるメモ帳を取り出し何やらペンでサラサラ書き出した。書き終えメモ帳をビリっと一枚破り俺に渡してきてそれを受け取り眺めると携帯番号が書いてあった。



「…俺の携帯番号だ。どうしても気になるんだったら掛けてこい。ちなみに日付変わるまでだったら電話掛けてきてくれて大丈夫だから」

 


 じゃあ気をつけて帰れよー、と先生はいい残し手をひらひら振った後デスクで作業をし始めたので俺はこれ以上職員室にいる訳にも行かず、渋々職員室を後にした。

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