第2章 13


(とはいったものの……)



翌日の6限の授業の時間、俺は黒板に書いてある日本史の文字をノートに書き写しながらうーんと考えていた。



(接点なんてどうやって作るんだ?)



しかも、俺じゃなくて陽貴と宮本先生との接点を…。



「よし、じゃあこの掲載されている写真の建物の名前を高瀬…」


「……」


「高瀬!」


「えっ?は、はい!」



宮本先生に呼ばれハッと我に返り返事をする。俯かせていた顔を上げ宮本先生の方を見ると先生は呆れたような表情をしていた。



「……高瀬今寝ていただろう」


「…いえ、そんなことは…」


「そうか、じゃあこの写真の建物分かるか?」


「えー…」



…なんだっけこの建物。先生に言われた問題の写真を眺めるが意味が分からず首を傾げる。

しばらく黙り込んでいると教室内からクスクスと笑い声が複数聞こえてきて、宮本先生がため息を吐く声が聞こえた。



「…この建物は高床倉庫といい収穫した稲を保管するようになっている。これから先何回も出てくるから覚えておくように」


「はい」



 へー、この建物そんな名前なのか。中学ん時習ったかもしれないけど忘れてたなあ。と、6限をの終わりを告げるチャイムがなり宮本先生が終わりの挨拶をする。チラッと宮本先生がこちらみ見て口を開いた。



「高瀬、帰りのホームルームが終わったら職員室へ来るように」

 


そう言い残し宮本先生は足早に教室を出て行った。えぇ…まさかの呼び出しかよ…。嫌だなと顔を顰めていると近くの席の河村と草沢が話しかけてきた。



「翔太なんで高床倉庫がわかんねえんだよ。前の授業ん時から出てたぜ」


「そうだっけ?」


「そうだよー。てか放課後の呼び出しお疲れ。まー宮本先生だからそんな長くなんないだろ」


「まあな。長くなったら困るわー」



 そう話しながら、あれ?もしかしてこれ宮本先生に陽貴のことを話すチャンス?と俺は考えた。



***********



「…大丈夫なのか?」


「え?」


「最近上の空なことが多い気がしたから。まあ、俺の勘違いかもしれないがな」



 人がまばらの放課後の職員室で宮本先生が自席で作業をしながら俺に話しかける。先生の問いに俺は暫し考えた。



 (まあ、いろいろ気になることはあるけれど。とにかく陽貴のこと話さないと)



 俺はゆっくり口を開く。



「実は、少し悩みごとがあって」


「悩み?」


「まあ俺が悩んでるんじゃなくて、速水が悩んでるんですけど」


「速水…?」


「はい。速水…宮本先生のこと気にしてて」


「え……」

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