第2章 12


 「えっ…」



陽貴のその質問に俺は戸惑いを覚える。なんでいきなりそんな事を?疑問に思っていると、察したのか陽貴が苦笑しながら口を開いた。



 「いきなり変な事聞いてごめんな…」


「いや、まあ…」



陽貴が眉を下げ目線を下へ向け言葉を続ける。



「実は俺、宮本先生に何処となく距離を置かれてるように感じてて…。だから翔太くんは仲いいのかなとか気になっててさ。自分の勘違いかもしれないけど」



実際の所どうなの?と眉を下げたままチラッとこちらを見つめる陽貴に俺は言葉をつぐむ。



 (どうって言われても…、)



1年の時俺のクラス担任をしていた宮本先生は俺は勿論のこと、同じクラスの生徒達にも気さくに話し、分け隔てなく接していた。そりゃ教師なのもあり厳しい一面もあったが時には相談事にものってくれたりして、ーーだから生徒達からも人気があり、宮本先生とも話すし多分仲がいい…と思う。



 「まあ、普通に話すしな。向こうはどう思ってるか知らねえけど」


 「そっかー、やっぱりそうだよなあ」



俺の答えに陽貴ははあ、とため息を吐いた。



「俺さ、宮本先生と仲良くしてみてえんだよね。翔太くん宮本先生と仲良いんだったらその…協力してもらってもいい?」


「え」


「頼む!どうしても仲良くなってみてえんだよ」



俺に向かって両手を合わせ懇願する陽貴。その必死な様子に俺は思わず苦笑する。


(そんな必死に頼まれたら断りにくいよな。まあ断るつもりなんて最初からないけど)


 そう胸に秘めつつ陽貴にわかった、と返事をすると陽貴はとても喜んでいた。



「でもさ、協力って具体的に何すればいいんだよ」


「接点作って」


「接点って…、まあ作れたら作るわ。てか陽貴宮本先生担任なんだから接点くらい作れるんじゃ…」


「それが出来ないから翔太くんに頼んでるだろー」


「ああ、ごめんごめん」



口を尖らせムッとする陽貴に俺はまあまあ、と宥めつつマックへと足を進めた。



 

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