第2章 11


「…?どうしたの」



赤髪の人物が歩いていった方を見ていると、陽貴が不思議そうに話しかけてきた。



(どっかで会ったことがある気がする…、なんて言えないしな)



俺は困ったように笑った後に口を開いた。



「いや、さっきの人イケメンだったよなーって」


「ああ、まあ確かになあ」


「はあー、俺もあれぐらいイケメンだったらなあ」



 心底羨ましそうに陽貴にそう話すと、陽貴は呆れたような表情をし「なにそれ嫌味?」と答えた。



「それ言う翔太くんだってかなりのイケメンだろ…、ま、イケメンというより可愛いの部類に入るかな」


「うわ、可愛い言うなよ。言われても嬉しくねえ…」


「はいはいイケメンイケメン」


「……」



適当にあしらわれたのでムッとし、陽貴をジトッと睨むとおかしそうに笑われた。笑った後に口を開く。



「…でもそれにしてもこの高校顔良いやつ多いよなー、生徒はもちろんだけど先生とかも。前の学校はあんまり見かけなかったけどさ」


「そうなんだー、確かに槙先生とかめちゃくちゃ可愛いよな。彼氏居るんだっけ?今年中に婚約予定とか噂が…」


「へー、よかったじゃん先生」


「だね。そういえば宮本先生もずっと付き合っている彼女居るらしいけど、結婚とかはどうなんだろうな」


「宮本先生が?」


「うん」




 他愛のない話をしながら俺と陽貴はゆっくりと歩きすすめる。変わらず話しかけてくる陽貴に言葉を返しつつも、先程会った赤髪の人物についていろいろと考えるばかりだった。



「そういえば、翔太くんにひとつ聞きたいことがあったんだけど」


「なに?」


「ーー翔太くんって宮本先生と仲良かったりする?」



 

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