第2章 ⑩


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 ーーあれから授業中、桜の花びらと宮本先生の事について考えていたらあっという間に5限の授業が終わり、宮本先生はいつもと変わらずに教室を出ていった。

 宮本先生に話を聞いてみたかったが、学校終わってからでもいいかと考え残りの6限の授業を受け帰りのホームルームも終える。



「翔太くん」



 ホームルームが終わり次々と生徒達が鞄を持って教室から出て行く中、自分も鞄の中に筆記具などを入れたりしていると授業を終えた陽貴が教室に入ってきて話しかけてきた。



「帰ろー、今日はバイトある?」


「今日はないよ」


「そっか」



 鞄に入れるのを終えスマホを手に取りLINEや電話等来ていないか確認した後ポケットに入れる。席を立ち鞄を肩に掛けふと教室にある時計を眺めた。



(宮本先生に聞こうと思ったけど)



もう16時前だし、陽貴居るからなあ…、とチラッと陽貴を見る。……陽貴が居る前じゃなんか聞きづらいなとじっと見つめていると視線に気付いた陽貴が「なに?」と不思議そうに聞いてきたのでなんでもないと言葉を返し、陽貴と共に教室を後にした。



***********



「亮と直哉明日は学校来れるみたいだなー」



 陽貴がグループLINEに返信しながら話すのを(亮、直哉、俺、陽貴の4人が参加しているグループLINE)頷きつつ俺もグループLINEに返信する。



「そんな大したことなくてよかったよな」


「ほんとにな…、今日これからどうする?今日翔太くん、バイトないならマックでも行っちゃう?」


「そうだな…最近行ってなかったからなあ。新作あるみたいだし行くか」


「うん!」



 陽貴が嬉しそうに微笑むのでこっちまで嬉しくなってしまう。そして他愛のない話をしながら住宅街を歩き大通り沿いの道へと抜けた。平日というのに大通りの道は沢山の人々で行き交えっていて俺達は歩く人にぶつからないように歩き進める。

 しかしいくら気をつけていてもぶつかる時はぶつかる為、案の定前から来た人物とすれ違う際に肩をぶつけてしまった。しかも俺はその時考えごとをしていた為全く気付かなかったのである。



 「あ、ごめんなさい…」



慌ててそう謝りそのぶつかった相手を改めて見て、俺は驚いた。それは真っ赤な赤髪短髪の人物でありすらっとしたモデル体型。顔はとても整っていて俺をじっと見ていた。



 (やばい、怒られるか…?)



いくら顔整っててイケメンでも髪色が赤なので若干怖い。もしかしてヤンキーか?と内心ドキドキしながらいると、赤髪の人物は口元に笑みをうかべ口を開いた。



「平気平気、気にしないで」


「あ、はい…」



 赤髪の人物は「じゃあ」と言い残し歩いていった。…よかった怒られなくって。俺と陽貴は歩くのを再開した。ふと、赤髪の人物が歩いていった方向を眺める。勿論その人物はもう居ないが



 (なんか、どこかで見たような気がするんだよなぁ)

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