第15話 ダンジョン『ガーバーバーガー&ザッツピザダンジョン支店』


 性描写(というか下ネタ)注意!

 不快に思われる方もいるかもしれないので、ご注意ください。

 変態紳士淑女の方々は大丈夫でしょう。


 ――――――――――



 虎の穴マコトは、性欲が強い男の娘である。

 日に何十発撃ってもえずにそそりつ、絶倫の精力を持っていた。

 セクシーな人を見れば、その熱く煮えたぎる性の情熱が、彼の股間を大きくする。


 欲望を発散するため、『初心者の洞窟』で出現するピンク色のスライムが持つ『一定のタンパク質と化合するとコンニャクのような硬さになる』という特性を活かし、オ〇ホ代わりにしたこともある。


 もっとも、この方法は探索者の間……いや、ネット上でも有名な話であり、実践する者も少なくない。

 ただし、使用して白濁したスライムの魔石を売ることは禁止されている。仮に持ってきたとして、買い取りで弾かれる。必ず。絶対に。


 幸か不幸か彼には、未だ純潔も守られているという、強固な理性があった。

 誰彼構わず関係を持ったり、学校の生徒を食い漁ったりなどはしていない……が、それも時間の問題であることは薄々と感じていた。

 大学に入ったらその手のヤリサーにでも入って身持ちを崩すのではないかとかなり危惧していた。


 そこで彼が目をつけたのが、ダンジョンである。モンスターと戦っている間は、溜まりに溜まった性欲が飛散しているようだった。

 元々、精神を鍛えるために始めた格闘技や剣道もあり、危なげなく初心者の洞窟を攻略することにも成功したのだ。


 「ちょっと早すぎたかなぁ……?」


 そうつぶやき、腕時計を確認するマコト。

 彼はので、興奮してしまうことや自慰行為を見られるのを避けるため、基本的にソロで探索していた。

 問題点は、彼が動物やモンスターもいけるタイプだったことだろうか。


 それはともかく、彼はC級から入れるとあるダンジョンに行きたかった。『ガーバーバーガー&ザッツピザダンジョン支店』を攻略すればC級への道はぐんと近づくのだが、どうしても1人では相性の悪い敵というのは存在する。

 さらに運の悪いことに、募集がなく他の探索者と組むことができなかった。


 だから彼は、苦肉の策として学校で組んでくれる探索者を探すことにしたのだ。それが諸星蛸羅である。

 色々と薄くて、クラスメイトというよりオカンな感じのするソラならば、興奮するとことも抑えられるかも知れないという考えもあった。


 「おー、虎の穴。待たせたか?」

 「諸星さん! ボクも今来た……と……こ……」


 ――だが、そんな考えは甘かった。


 「えぇぇぇぇーッッッ!?」


 コモドドラゴンと、頭部がブロワーになった男を引き連れた異様な光景だったが、彼女の格好はそれ以上だった。


 そのエロスのにじみ出る肉体を惜しげもなくさらす、水着のような薄着。

 シミや黒子ほくろが1つとして存在せず、しなやかに鍛え上げられた肉体が情欲を誘っている。

 もはや一片の恥じらいもなく練り歩くその姿は、まるでマコトを誘惑する淫魔(サキュバス・インキュバスどっちでも可)にも等しい存在だった。


 「も、も、も、諸星さん!? その格好は!?」

 「あー、せや。言うの忘れてたわ。ウチのスキルの関係上、こないな服しか着られへんねん」


 誓約があってな……などとのんきに話すソラは、普段の色気の欠片もない姿ではなかった。起伏は無に等しいものの、かえってそれが非常に怪しい魅力を放っている。

 マコトは、『そういう目で見れないから大丈夫』と信頼していた、ソラという存在に裏切られたのだ。


 「うぅ……」

 「何や前かがみになって。まさか興奮しとるんか?」


 今や、呆れるような視線すらも、欲情をかき立てるスパイスでしかなかった。


 「その欲望はモンスターにぶつけるんや!」

 「そ、それは……」


 モンスターにぶつけた上でこれだというのは、口が裂けても言えない。

 彼は、苦悶の表情を浮かべて耐えしのぐしかなかった。




 ◇




 「ほぉー、ここが『支店』か。結構普通やな」


 協会で分け前の相談を終えたウチらは『ガーバーバーガー&ザッツピザダンジョン支店』、通称『支店』に来ていた。

 『支店』の外装は、どこにでもありそうなチェーン店だ。人気ひとけは全くないが、今にも開店しそうである。


 「ハンバーガーもピザもタダで食べ放題や。こんな素晴らしいダンジョンは無いで」

 「でも魔石を全く落とさないから不人気なんだよね……」


 そうなのだ。虎の穴の言う通り、この『支店』では『健康ランド』と同じく……いやそれ以上に魔石を落とすモンスターが少ない。その種類はなんと……2種類のみ。

 しかも、どちらも人間にしか見えないので、あえて狩ろうとするのはサイコ野郎とかに限られる。その上、魔石の買い取り額も少ない。


 「んで、もっかい聞くけど、協会からの依頼が『バーガー、ピザ、調味料、具材、ドリンクをできるだけ多く集める』ってやつやな?」

 「うん。詳しくは教えられないらしいけど、必要なんだって」


 何に使うのだろうか。そういえば、協会の中の食堂にバーガーがあった気がするが……まあ考えても仕方ない。とにかく内部に入って、ハックアンドスラッシュして素材を奪い去るのだ。


 「バーガーとかひらったら、遠慮なくドンにくくりつけてあるマジックバッグに入れるんやで」

 「オッケー! 頑張るよ!」



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