第20話 寒夜

焔の家で夕飯をご馳走した千聖。

何故焔が学校に通わなくなったのかの説明をする所から

「4年前に両親が無くなって、路上にさまよってた私を拾ったのが、この家に住んでた婆さんと子供ら、2年に上がる時に婆さんが死んで、私が子守りするしか無くなった。金のない状態からするしかないから、働かないと金ねぇんだよ、けど、どこも落ちた。」

「それは災難だったな」

「だから、路地裏にはいって、ヤンキーども蹴散らして、カツアゲしてた」

「···昨日のはそれをしていたわけか」

「だから、学校も行けなくなった。」

「···真っ当な理由だな、やっていることは犯罪だが外見に関わらず優しい心を持っているんだな。如月は」

「ハァー!!!何言ってんだてめぇ」

「シー、子供達が起きてしまうだろう?」

「···だったら、むず痒いこと言って来んじゃねえ」

「···精進しよう・・・だが、困ったなこれ以上遅刻や欠席されると、進学が厳しくなる」

「最悪、学園を中退することも考えてるよ、あいつらを育てるには、私が身を削るしか無いからな」

「(未来ある子供達のために身を削る決心を持ち合わせているわけか)···そこまでする必要性はない、これ程の話を聞いてしまったら、俺のプライドが許さなくなってきた。」

「あ?どういう意味だよ」

「学園を中退しなくていい、経済的支援は俺がやろう、それと子供達と如月の生活保護もな」

「は?お前何言ってんだ?」

「俺が、一時的にではあるが、保護者の立ち位置になるということだ」

「お前、それでなんの得があるんだよ」

「···損得感情で言っているんじゃないんだ。俺は困っているなら助け舟を出したい、ただそれだけの事なんだ」

「お人好しにも、程があんだろ」

「これが俺なんだ。受け入れて欲しい」

「···ハァー、わかったよこれもなんかの縁だ。受け入れてやるし明日も学園に通ってやる。」

「!そうか、なら良かった。」

「そんなに安心なのかよ」

「まぁな、未来ある学生が、子育てのために身を削るのは間違っていると思っていたからな」

「お前、変わってんな」

「···よく言われる。···よし皿洗いも終わった事だし、俺はこれでお暇するよ」

「なんか、悪ぃな色々と」

「なに、これくらいの事、苦でもないから気にする心配は無い。···じゃ、また明日もよらせて貰う」

「···毎日じゃ無くていい。気が向いた時だけにしろ、子供らが騒がしくなるからな」

「···騒がしいのは嫌いか?」

「!···良いから帰れ!」

焔は照れたように千聖の背中を押し、星空が綺麗に照らす町外れの道に帰路に立った。家に着いてそうそう

「ただいま」

「···ちさ!!」

フランがいつも通りに抱きついてきたが泣き目になっていた。

「遅い!!」

「!すまない、1人の生徒の家でご馳走になって帰るのが遅くなってしまった。」

「···」

「フ、フラン?」

「ご馳走に?なったって、ちさ食べられないよね?」

「···言い直そう、本当だったらすぐ帰るつもりだったがご馳走してきたんだ、それで遅くなってしまった。···許してくれるか?」

「···一緒にお風呂に入ってくれれば許す」

「!本気で言ってるか?それにみんなと入ったんじゃないのか?」

「みんなは今入ってる所。私だけちさの帰り待つために入らなかった。」

「そ、そうか別に待たなくても良かったんだが」

「む、、いいからみんなが上がってきたら一緒に入る!」

フランの押しに負け、みんなが上がってきた後に2人で入ることになった。

その間、舞夜、愛美、恵那、凪紗、美希が、羨ましい感情あるいは、私も一緒に···と言った表情で2人を見送った。そうして風呂場にて、湯船に浸かるフラン

シャワーを浴びてイスに座る千聖の間には距離があった。

「ちさ、これじゃ一緒に入ってる意味ない!」

「そう、言われてもな、俺は湯船には浸からないし、それに身体の傷が幼い時より目立つんだぞ」

「···傷のことは知ってる、幼いちさをお風呂に入れたから裸は見た!···だから、大丈夫!!」

「何が大丈夫なのか分からないが、まぁそこまで念押しされては、入るしかないか」

そう言って椅子から立ち上がり、湯船に入る。

「···ちさ、それでも遠い、もっと近くに来て」

千聖は湯船に入ったが、

フランとは3mほど離れて浸かっている

「これで許してくれ、正直今入っただけで、意識が飛びそうになる」

「じゃ...」

「待て!何故近づく必要性がある。それ以上は流石に」

後ろに後退する千聖だが、後がない状況で焦りに焦っている様だった。そして、フランはと言うと止まった千聖の手を握って、

「ちさ、焦ってる所初めて見た」

「···風呂で気絶するのは嫌なだけだ」

「···私が抱きつくと思ってたの?」

「まぁ、そうだ」

「む...確かにちさをまじかで感じてたいとは思ってるけど、裸の状態で抱きついたりはしない。」

どこかフランは悲しい表情だった

「そ、そうか...ところでもう上がっていいか」

「ダメ...」

「…そろそろ意識が...飛ぶ」

そうして、千聖は気絶した。湯船に沈んで行った。直ぐにフランがみんなを呼んで裸のまま(バスタオルは巻いて)リビングに持って行って看病を始めた。

「何かしら、問題起こしそうとは思ってたけど、まさかこうなるとは思ってなかった」

「チサの弱点をあげるとすれば...暑さだからね、けどただの暑さじゃなくて心地よい暑さね」

「千聖様が浴槽に浸からなかったのはそれが原因なのですね」

「そうだよ」

「欲求の強いフランの事だから、本当に一緒に入って自滅したんでしょうね」

「それ、シアさんが言えた事ですか?」

「押しに弱いから、仕方なく入ったというのもありそうだがね」

「あの、それより服着させませんか?このままだと風邪引くと思うですけど、」

「それもそうだねって言いたいところだけど、」

「流石に羞恥心が勝つぅ~」

「...ですね」

みんなが躊躇していると千聖が起きた

「…無理に...着させ無くていい自分でやれるから」

身体を起こした千聖は能力を使って移動し普段着に着替えた。

「ちさ...ごめんなさい」

「そう落ち込む必要は無い。だが今回限りにしてもらいたい毎度これだと皆に迷惑をかけてしまう。」

「うん、わかった」

千聖が倒れたことに責任を感じつつ重い表情で了承した。

「別に、一緒に湯に浸かるくらい問題ないんじゃぞ、それより問題なのは...主!!あれほど念押しして能力を使うなと言ったじゃろ。それなのに、容易く使いおって、これでは回復するもんも回復せんぞ!」

「...すまない、どうも前と同じ感覚でやってしまって、」

「身体能力強化は常時発動してたからね、その感覚が抜けなくて、調整が難しいんだよ」

「とりあえず、能力の発動はほどほどにしてくれ、急な戦闘になったら、不利になるのでな」

「…了解した」

「それじゃ、千聖。マッサージお願い」

「あぁ、...とその前に一つ実験したいことがある」

「?」

「...姫宮」

「はい、何でしょう?」

「··········愛美」

千聖が下の名前を呼ぶと、愛美の心臓に尊愛の矢が突き刺さって、その場に倒れた。

「愛美がぶっ倒れた!!」

「でも、その表情嬉しそう」

「いきなりの名前呼びですから、嬉しすぎたんでしょうか?」

「でも、いきなりなんで?」

「どうやら、暴走していないみたいだな。」

「?···!って呪いが発動するか試したって事?」

「あぁ、そうだ、いつくか体質化しているから、試さないと行けなくてな」

「だから、苗字で呼んでいた愛美を呼んだというわけか」

「おぉー以外と厄介だった呪いが無くなったね、チサ」

「あぁ、そうだな」

閑話休題、

気絶した愛美が起きた、それ以外はいつも通りの日常と化した。30分のマッサージ。夜中は訓練朝食の用意と変わらぬ日々を送り朝を迎えた。学園に登校する支度を各々整えて家を出る。真白を能力で学校に送り、その間みんなは学園に向かう。教室にて、みんなの雰囲気が殺伐としていた。

「どうしたの?みんな、なんか空気重いんだけど?」

「···てめぇが、このクラスの委員長か!?」

違うクラスのはずの如月焔が何故かクラスにいた。

「そうだけど、何か用?」

「城ヶ崎千聖はどこにいる?」

「···千聖くんならもう職員室にいると思うけど」

「そっか、教えてくれてサンキュ」

威圧のある口調から少し軽くなった口調で教室を出ていった焔は職員室に向かった。

「···う、た、助かったぁー」

床に突っ伏したエマが顔を上げてそういうと、

「何があったのよ?」

「あの如月が城ヶ崎が居ないことに腹を立てて暴れやがった。その矛先が俺に向いたんだよ!!」

「それは災難だったね。とりあえず保健室行って処置してもらってきたら?」

「そうさせてもらうわ、稔海手伝ってくれぇ~」

「うん、いいよ。ほら」

倒れたエマを起こして、保健室につれて行った。

職員室にて、

「如月が朝から俺のところに来るとは何かあるのか?」

「特にこれといってねぇ。ただ顔を出しに来た。それだけだ」

「そう···か、来てくれたことに関しては良い事なんだが、すまない直ぐにミーティングがあるんだ。話は後で時間を作るから、今は退室してくれ」

「···わかった、じゃまた、後でな」

職員室を退室し廊下を歩く焔は唇を噛んで、

「(助けてなんて言えるわけねぇだろ)」

己自身で葛藤していた。

そして、いつも通りに時間が過ぎていきあっという間に放課後。

千聖はみんなと別行動で焔の家に子供達の面倒と夕飯の支度をする。

「わぁーい、今日も豪華だァ~!!!」

「美味しそう!」

千聖のきらびやかな料理たちに負けじと子供達の目もキラキラしていた。

「···おかわりもあるから沢山食べろ」

「やったァ~、食べるぞ!!」

子供達はうれしいそうに、箸を止めることなく完食した。子供達の食べっぷりに引く焔。無感情でただ眺める千聖。

まるで、家族の夕飯のような光景が広がっていた。食後、沢山食べた子供達は安心して眠りに付いた。

「なぁ、なんで?食べないんだ?」

「···自分の料理でも、如月の料理でも口に運ぶことは無い。何故なら、呪いのせいで、能力が暴走するからだ。」

「···難儀な呪いだな、よく死なないな」

「血相を悪くして、倒れる所までは行ったことはあるけどな」

「···何だそりゃ」

「それより、如月。今朝の職員室に来たのは何か心配事があるからじゃないか?如月はただ顔を出しに来たと言ったが、俺には表情が暗く見えた。」

「···別にただの気まぐれだ」

「···言いたくない、もしくは口に出せないのであれば、発言する時を待つだけだ。だが、言わなければ後々後悔を産む可能性もある。決心が付いた時如月の口で言葉で相談してくれればいい」

「どこまでお人好しだよ、」

「よく言われるよ、」

たわいの無い会話をしつつ、皿洗いを終え、帰宅する。

リビングには風呂上がりの全員がいて凪紗が

「話は聞いたが2日連続で、こうも帰りが遅いとみんな心配してしまうぞ」

「すまない。事態が思っていた以上に深刻でな、手助けするしか無いんだ」

「如月さんに言い寄られてるって噂になってたけど?」

「逆だな、むしろ俺が無理を承知で家に上がった」

「まさか、如月焔もこの家に住まわせる気かい?」

「いや、現状では無いな」

「如月にも守る人達がいる。こちらが深くまで干渉しては、悲しみを生むだけだ」

「ということは、しばらく様子みて大丈夫そうなら、身を引くってことですか」

「まぁ、そうなるな。間隔を開けて様子をみにいくていどになるだろうな。」

「何があったか、説明してみなさいよ

私のマッサージをしつつね」

「···いいだろう。···如月は4年前に住む家を無くし路頭に迷っていた所、当時1人で孤児院を経営していた老婆に拾われた。」

「ほ、本当にマッサージしながら語り出した!?」

「その老婆が去年亡くなり、今は子供達を養うために如月が身体を張っている。そのため不登校となり争い事も増えたということだ。」

「···そういうことなのね、朝教室に来ていたから何かと思ったけど、その如月?って人、本当に助けを求めているの?」

「どういう意味だ?」

「いやぁ、まぁ印象ってだけなのだけど、1人でもやっていけそうじゃないかしらって意味よ」

「···シア、あまり人を見かけで判断するのは良くないぞ、如月の生活力の無さには驚くほどだった。」

「それは、部屋が汚いとか?ですか?」

「いや、子供達から散々心抉られることばかり言われていた。」

「なに、それ」

「そう引いてやるな、今後は生活力を付けるように手助けするのだからな。」

「じゃ、しばらくは帰りも遅いってことでいいんだよね?」

「あぁ、悪いがしばらくは家の事を任せる」

「うん、任せて」

少し、時間を戻して。千聖の家にて。

「···」

フランが心配の眼差しでスマホの時間を見る。

「そう見ていても、千聖が帰ってくる訳では無いわよ」

「!···わかってるけど心配なんだもん」

「···まぁ、今の主は本調子では無いからの、気持ちはわかるのじゃが主は今行動を起こさないと行けない時なんじゃ、ゆっくり首を長くして待っておれ、さすれば主はフランに答えてくれよう。」

「···わかった。待つ」

「···素直になったものね」

「え!?それシアさんが言うんですね」

「な、何よ」

「最初に来た時、我儘言ってたじゃないですか、」

「い、いや、あのそれは、その、あれよ。照れ隠し的なやつよ」

「そんな風には見えなかった」

「だって、当時は男ってわかった瞬間身体から拒否反応が出てしまったのだもの仕方がないわ!」

「そんな、清々しく言われても···」

リビングのソファーの方で話しているとテーブルの方で恵那が

「あの・・・ソディーに聞いてもいいですか?」

「?何、なんでも聞いて」

「···この家って最初から私たちが住むようになってたんですか?」

「うん、そうだよ。0からチサが作った」

「え!!・・・」

その場にいた全員が驚いた

「ソディーお主本当なのかえ!?」

「うん、資格?ってやつを持ってるから頑丈な家を建てるくらい直ぐに出来たよ」

「本当に真相に迫る度千聖には驚かされるな」

「ちなみになんだけどこの家に最初に来たのって誰?」

「えっとぉ、一番最初は九条エマりの妹さん。時期は夏頃だったかな?」

「夏頃となると、前に話した爆破テロと同時期か...?だがこの家に来る理由がわからないな」

「...うーんと、確か勉強教えて欲しくてこの家で家庭教師してた。」

「ほへぇー、流石教師ですね」

「けど、夏頃だけ来ただけだよ。最初に家族になったのは、真白だから。」

「真白が最初なのかい!」

「は、、はい!秋頃だったと思います」

「上手くやって行けてたわけ?」

「うんん全然。チサも真白も当時は強調性無さすぎて、会話もろくに無かったよ」

「それを、約4ヶ月ここで過ごしていたわけ!?」

「しかし、真白の通っている学校はここから最寄り駅2つ先の駅の学校だ。どうやって真白を引き取ったんだ?」

「第3話で話しているけどぉー」

「メタイ!!メタイ!!メタイ!!」

「真白の通ってる学校でテロが起きて、真白の両親はテロリストの銃撃で命を落とした。一時だけ母親の方が意識を戻したんだけど、そこに居合わせたチサに真白のことを託したの」

「それでここに暮らすことになったって事か、真白ちゃんも私と同じ経験しているんだね。」

「...はい、、」

「雰囲気重くなったちゃった。えっとぉえっとぉ、」

「そう慌てるなソディー。ここにいるみな割り切っているよ」

皆の眼差しは落ちていない。

「...本当にお主ら強いのォー」

「1度愛人を無くし、皆で支えると決意を固めているからね。」

「亡くなったことにしないで下さいよ、千聖先輩は生きてますからね」

「わかっているさ、ところで愛美はいつになったらその先輩呼びを辞めるんだい?」

「へ!?」

「確かに、愛美さんだけですよね。先輩呼び。」

「それは恵那さんがしないのがおかしいのでは?それに、先輩呼びが定着してて、外すとなると恥ずかしいですけど」

「愛美。面白くないわよ」

「へ?突然なんですか、なんで私がここで笑いを取らないといけないんですか?」

「なんでって愛美ダジャレ言ったじゃない」

「?・・・(外すとなると恥ずかしい???)...!いや!笑いを取ろうとして言ったわけじゃないですけど!!」

「あら?そうなの?」

「そうですよ!」

「全然気づかなかった...むしろよく気づいたね。シア」

「話に上げない方が良かったかしら」 「いいや、楽しい会話で言いじゃないか」

「そう、ならいいわ」

と、楽しい会話をしているとガチャっと玄関扉が開いて、

「ただいま」

と、千聖が帰ってきて前の話になった。

1月が終わろうとして、寒さが増す頃。

雪の降る通学路にて

「千聖くん?」

「?どうした栞」

「いや、寒くないのかって」

そう女子たちはマフラーや手袋など防寒着を着ているが、千聖は何も来ておらず制服のみである。

「まぁ、大丈夫だ。軍にいた頃はこれより寒いところで、生活していたこともあったから、あの時と比べたら全然寒くない」

「それ、比べちゃいけないことだと思うんですけど。せめて、コートくらい来てくれた方が心配無くなるんですけど」

「ふーん、そうか」

そう言って白衣を来た

「来たことによって、辺りとの景色と同化したようになったのだけれど」

「だがまぁ、これで少しはマシになっただろう」

「あんまり変わらない気はしますが先輩が平気なら大丈夫です」

「···そうか、ならいいが」

そうして、教室に着き。いつも通りの日常を送った。

如月の家に通う3日目いつも通りに子供達と如月に夕飯をご馳走させ、皿洗い中

「なぁ、ここに来て3日目だけどよぉ、お前家の事とか家族のことは良いのかよ」

「···他人の心配とは、気にしなくていい家の事は任せてあるし、家族の皆は事情を理解して信頼を置いているから」

「あったけぇ家族だな、」

「この家だって、暖かいじゃないか」

「///騒がしいだけだそんなんじゃねえよ···俺らは捨てられて、拾われた身の集まりだ。血の繋がりが無い家は暖かいとは言わねぇよ」

「それなら、俺の家も暖かいとは言えないな」

「ハ?」

「この家と同じ、血の繋がりは一切ない家だ。身寄りのないまたは住む家が無くなった人が集まった家で暮らしている」

「お前も似た様な境遇なわけか」

「まぁ、そうだな」

「···なぁ、···」

「?どうした黙り込んで」

「命が狙われてるって言ったら信じるか?」

「···狙われているのは、如月だけか?」

「いや、俺に関わる人全員だな」

「どう言った経緯で?」

「名前は知らねぇけど、金持ちの坊ちゃんが僕の女になれとか言ってきたから歯向かったら、不良どもがたかりに集って来た。理由聞けば俺を差し出したやつに金をやると来たもんだ。」

「いつから始まってる」

「だいたい1年前だな···婆さんも不良達に殺された」

「···惨いな。」

「路地裏の時も狙われてたのか?」

「あぁ...返り討ちにして、金巻き上げてるけどな」

「...相手は如月にとってそれほど脅威では無いのは良いことなのだが、相手がテロリストだったらどうするつもりだ?そこらの不良とは訳が違うぞ」

「だから、今、助け求めてんだろ」

「なるほどな、そういうことなら手を貸そう」

「即答かよ、いいのか?」

「まぁ、手を穢すのは慣れている」

「やっぱ、おまえ変わってんな」

「褒め言葉として、受け取っておこう」

「別に褒めてねぇよ!!···ほら、終わったんだし、さっさと帰れよ。いつまでも俺らに構ってちゃダメだろ。」

「!まさか、如月からそんな言葉が、出るとはな」

「なめてんのかてめぇ!?」

「いいや、予想していなかっただけで少々驚いたんだ」

「···そう、じゃいいや、」

「では、俺はこれで退散するから、またあしたな。」

「おう、頼む」

いつも通りの夜道の帰路を歩いて翌日もいつも通りの日常を過ごしたが

「悪いな、家に帰る前に買い物に付き添いさせてしまって、重く無いか?」

「別に重くもないし、食材もなかったからな必要な事だし別にいいよ」

「そう言って貰えると助かる」

如月の家に着いて、違和感に気づく千聖

「なんだよ、入んないのかよ」

「あぁ、いや。行こう」

ガラガラと玄関扉を開ける。

「?あいつら、どっか外に行ってんのか?おーい、お前らの好きなやつ買ってきたぞ」

靴を脱いで、リビングに顔を出す。すると

「え、、、なんだよ、、これ!?」

驚きの表情と共に、恐怖に飲まれる焔。

あとから様子を見る千聖は冷静だった

「あ、あ、」

平常を保てなくなった焔は膝から崩れ落ちた

「!···」

千聖は現状を見て、行動し始めた。

能力を使い千聖は家に帰る。リビングでゆったりしている中、千聖は焦りを店

「愛美!」

「!!ひゃ、ひゃい!!!」

「今すぐ俺と来て欲しい」

「!!!わ、分かりました」

顔を赤らめる愛美を姫様抱っこして、その場からパッといなくなる。

「···愛美、あの子いつになったら慣れるのかしら」

「慣れないと思いますよ、あの感じだと」

「···そうよね」

シアと恵那によるこんな会話が繰り広げられた。

焔の家にて、廊下に下ろし。

「愛美、これから見る光景は悲惨なものだ。見てられないと思ったら目を反らせ···いいな」

「···分かりましたけど、一体何が?それにここはどこなんですか?」

「説明はまず、この現状を見たあとだ」

「!!!」

昨日まで見てきたリビングは跡形もなく荒らされている。壁や床、天井にまで血が飛び散っていた。そこには、血を流して倒れている。子供達の飛び血が広がったものだった。

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