第8話 契約

ライブの握手会襲撃事件翌日のこと。

バタン、と勢いよくリビング横の扉が開き。身体がヨレヨレになって、顔色も悪くなった千聖が出てきた。

「び、びっくりした。大丈夫!千聖くん」

「?平気だ。心配されることじゃない...ところで何しているんだ?」

栞の膝の上に眠華寝て、綿棒を耳の中に入れ耳掃除しているところだった

「え、耳掃除。眠華ちゃん耳気にしてたからやってあげようと思って」

「そうか、やはり栞は世話焼き上手だな、」

千聖がリビングを出ていこうとすると

「この際だし、千聖くんも耳掃除しようか?」

「いいのか、こちらからしたら願ったり叶ったりなんだが」

「私から、言い出したんだよ。それにこのくらい日頃の千聖くんの行いからしたら大したことじゃないから大丈夫だよ。」

「...なら、頼む」

眠華の位置が、千聖に変わり

「(あれ、今思ったけどこれって意外と恥ずかしい事してない)?ねぇ、千聖くんメガネ外さないの?」

「あぁ、さっきまで作業してて外すの忘れてた。」

「家にいる時くらい、外せば( ´・ω ก` )」

「確かに、千聖くんの素顔私たち見たからね、隠す必要ないじゃないかな」

「それもそうだな」

そう言ってかけてたメガネを外してテーブルに置いた。そこからは栞による耳掃除が始まった。

「じゃ、次反対だから向き変えて」

「あぁ、わかった」

顔が栞の方に向くと

「(あ、こっちやばい千聖くんの息がマジかにある。早く終わらせよ)はい、終わったよ。....?」

そう呼びかけても千聖からの反応がなかった

「( ˇωˇ ) zzZZZZ」

「え、ね、寝てる(もしかして起きるまでこのまま!」

千聖は寝息を立てて寝ていた。

すると、そこに

「え、寝ているんですか?」

「え、寝ているのですか?」

驚いた2人の息の揃った言葉はハモった。

「なんで、貴方とタイミングが合うですか!?」

「それはこちらのセリフです。」

2人がいがみ合っていると

「て、こんなことしている場合じゃない。さっき千聖先輩この部屋から出てきましたよね。」

「え、うん。けど、いいのかな。本人が寝ている時に勝手に部屋を確認されるってダメな気がするんだけど」

そう、引き気味で止めようとするが

「私が許しましょう、私もその扉の先は気になっていましたから。」

そうして、愛美が先程出てきた、扉を開くともう1枚の扉も出てきた。そのもう1枚も開けると、パソコンのあかりだけが狭い部屋を照らしている部屋だった。

収納を見ると私服1枚と執事の正装と学園の制服しか無かった。

「なんですか?これ」

愛美が引き気味にそう言うと、

千聖が起き上がり、

「そこは、作業部屋だ。」

「お仕事をなされている部屋ということですか?」

「....説明が難しいな。姫宮。スマホ貸してくれ」

作業部屋から出た愛美がスマホを貸すと

「え、あ、はい。どうぞ、でも何をするんですか。」

慣れた手付きでスライドしていく。

「ん」

画面を見せたまま、愛美にスマホを返すと。

「?これって去年から急上昇に乗ってる。今や有名作曲配信者のJTチャンネルですよね」

「あぁ、それ、俺」

「へ?」

今が驚きの表情と共にハモった

「じゃ、じゃ、毎日配信しているんですか?」

「あぁ、今は、週六で配信してる。」

「ほんとに、千聖先輩がJT様...感激です」

この時愛美の目がキラキラに輝いていた

「でも、気になったんですけど。もしかして、今来ている服とクローゼットに入ってるものしかないなんてことないですよね?」

「いや、それしかないが?」

「...千聖先輩。服買いにモール行きましょう。」

そう言った愛美は怖い顔をしていた

「...そうだな。行くか」

そう言って家にいる全員を連れて電車で隣町のショッピングモール前までついた

「とりあえず、最初は服みましょうか」

愛美先導の元、買い物が始まった。

服屋で、千聖の服選びを皆総出で選び千聖がそれらを試着していく。皆もそうだが店員も途中から参加し始め。お客さんの目の注目の的にもなった。結局試着した服を全部を買った。その後も皆それぞれ着たい服を選んで買った。しばらくして店の前のベンチに座って待っていると

「おまたせ千聖くん」

「これで買いたい服は全て買えたか?」

「はい」

「時間もちょうどいいからたまには外食でもするか、」

そう言って階の違うレストランに入った

3人、4人でテーブルを別れ互いに注文して行った。

「(メニューが!多くて何を頼んでいいのか分からない!)」

メニューを見つつ、悩んでいるフランに

「フラン自分が食べたいもの頼んでいいんだぞ」

そう言った千聖にこれとメニューの一部を指さした

「パスタでいいのか?」

「うん」

「じゃ、注文しよう」

フランがパスタを頼み、舞夜がドリア

愛美がピザを注文し、千聖はと言うと

「千聖先輩、もしかして、ブラックコーヒーだけですか。」

そう、コーヒーだけ頼んだ、

「仕方がありません。千聖様は食事できませんから、コーヒーだけ頼んだのも慈悲あっての事です。普段なら絶対と言っていほど頼みません」

「理由は教えてはくれませんよね」

フランと愛美が俯いている。

窓の外を見て口を動かした。

「呪いがあるんだ。食事をとったら己の能力が暴走する呪いがな。これで満足か」

「よろしいのですか千聖様、言ってしまって」

「結局知る時がいつか来るからな今言っても問題は無い。?」

フランに目を合わせた千聖は立ち上がり

「フラン、そのままじっとしてろ」

「?」

ほっぺに付いたパスタの具材を取り流れるようにフランの口に放り込んだ。

「!」

フランの唇に触れた手を離そうとしたとき両手で手を掴まれ。フランに手を食われた。その表情は幸せの顔をしており数分間この状況が続いた。食べ終わり会計を済ませ店を出ると

「次はどうしますか?」

「食料品売り場に行こう。夕飯の材料を買わなければ。誰かリクエストあるか?」

「に、煮込みハンバーグ食べたいです」

真白が恥ずかしそうにそう言った。

「なら、今夜はそれで決まりだな」

食料品売り場に足を運びカートカゴいっぱいに食材を入れていく。

「いっぱい買ったね」

食材を買い、帰宅しよう足を進めている時。フランの足が止まった。見ていた先は本屋だった。

「気になる本でもあるなら買っても大丈夫だぞ」

「じゃ、」

フランは千聖の腕を取り本屋へと入って

5冊ほど本を買った。

皆と合流して、今度こそ帰ろうとしたとき、下の階から銃声が響いた。このショッピングモールは真ん中が通路になっている立体モール。上から下を覗ける構造だった。1階の広場にいた人たちを人質に取り1階は完全に占領された。モール内の照明が全て落とされ陽の光だけが指す事態になった。テロリストは暗視ゴーグルをしているのか、上を指さし、移動し始めた

「舞夜、皆を頼んでいいな?」

「はい、お怪我のないように」

小声でそういうと、買い物袋をその場に起き、みんなに気付かれないように、移動しエレベーターに乗ったそして、

「ソディアス」

「Xサイボーグ起動、承認

展開中、展開中、展開中

展開終了、これより任務を遂行します」

エレベーターの扉が開き、乗ろうとしていたテロリスト2人を吹っ飛ばした。

ズシンズシンと足音を立てながら銃を構えたテロリスト達に近寄っていく。

テロリスト達は問答無用に銃弾を撃った

腕に装着された剣を抜き、目にも止まらぬ速さでほとんどの銃弾を切り裂いた。

銃弾が途切れた瞬間懐に入り、足蹴りから投げ飛ばしまであらゆる体術を使ってテロリスト全員を気絶させ拘束。

照明を管理している部屋に行きそこにいたテロリストも気絶させ拘束させた。照明がつき、皆は衝撃光景をみた。テロリスト全員がロープで拘束されひとまとまりにされていたからだ。

直ぐに警察が来て、しばらくの間帰れずにいた。そうして、

「ふぅ、やっと帰ってこれた。飛んだ災難だったね。」

買い物したもの全て持って帰った一行はとても疲れていた。

「でも、たまにはこういうのもあり

(・∀・)」

「スリリングだったのは認めます。とりあえず。買い物したものまとめて部屋に入れましょう。」

買い物したもの整理し皆は自室に持っていった。リビングにて、突然千聖のスマホがなった。

「はい、もしもし、えぇ、そうですけど...あぁ、その節はどうも、...えぇ、今からですか...まぁ、あまり時間を取らないのならいいですよ。...えぇ、はい分かりました。」

電話を切り、

「すまん、ちょっと出かけてくる」

「o(*・ω・)ノ ァ~ィ(*`・∀・)ノ))イッテラッシャィ」

千聖は家を出て近くの病院に足を出向いた。とある病室に行くと。

「ああ!あなたが昨日助けてくれた人ですね。ありがとうございます。って自己紹介がまだでしたね。」

「八千代恵那だろう、さすがにライブを見に行くくらいだ自己紹介入らない。」

「去年も来てくださってましたよね」

病室のベットに正座しながら、話す恵那

「それで、えっと助けて下さった上にこんなことを言うのはあれなんですが」

「?」

「これにサインしてください」

そう言って土下座しつつ1枚の書類を差し出す。

「これは、契約書?見た感じSPボディガードの契約書か、すまないあいにくこう行ったことは受け付けてないんだ、守って欲しいのなら他をあたってくれ。」

「そうも行かないんです。お願いします!」

ずっと頭を避け続ける恵那

「理由を話せるか、理由しだいで受け入れよう。」

「!本当ですか!」

「理由次第でだけどな」

そうして、恵那は暗く語り始めた。

「去年アイドルとしてヒットしてデビューして、今まで頑張って来たんですけど。今のマネージャーから枕営業の話を最近持ち出されて、強制的にやらされるかもしれないんです。」

「?あの女性がそんなことをするとは思えないのだが?」

「?あの人は私メンタルケアする人でマネージャーは男の人ですよ。」

「おっと、それはすまなかった。つまりそのマネージャーから君を守ればいいということでいいな。」

「それもあるんですけど。熱烈なファン達から尾行というかストーカーもされてまして、私のスマホに共犯予告なんて届く始末で、その人たちからも守って欲しいんです。」

「なるほどな、アイドルというのはとにかく大変というわけか。...いいだろう。少しの間だけになるが、解決に導こう」

「はぁ~!本当に契約して頂けるのですか?」

目をキラキラさせる恵那

「あぁ、理由が理由だ聞いた以上力は貸そう。印鑑は押した。あとは大事に持っておけ。」

「はぁ~!ありがとうございます。では明日からよろしくお願いします!!」


一方、千聖家のリビングでは

「そういえばですが、なぜ愛美さんは千聖様に告白をなされたのですか。」

そう舞夜が聞くと

「え、なんですか突然それに前まで女狐って言ってたのに名前呼びになっているし」

「それはもちろん、家族なったのですからそこら辺の壁はなくなりますよ。それでどうなんです?」

「クラスの人達が千聖先輩に好意を持っててそれで焦って告白しただけです」

「意外と乙女なんですね」

「私のことなんだと思ってるんですか」

「置かまいなしの女狐だと思ってます」

「腹立ちますね」

「ですが、本当にそれだけなのですか?もっと他にないんですか千聖様に対して」

「うーん?この話は受験合否の結果発表の日だったんですけど校内で迷ってそんときに千聖先輩に助けてもらったことがあって。その時に一目惚れしたくらいです。」

「ちゃんとした話があるじゃないですか。...いいなぁ、千聖様にそんなことされて羨ましくて嫉妬します。」

「なら、別の方法でしてもらえばいいじゃないですか。」

愛美のこの言葉で何かを思いついた舞夜

「!そうですね、久しぶりにあれをしてもらいましょうか。フフフ」

「(なんか、嫌なこと企んでそう)」

そんな時だった。家のインターホンがなり、舞夜が玄関扉を開けると、そこには金髪美女がたっていた。

「以前、ここにフラン宛に手紙が届いたと思うのだけど、」

「あぁ、その手紙でしたら、ちゃんと届きましたよ。良かったらどうぞ、上がってください」

「それは、ご丁寧にどうも、お言葉に甘えさせて貰うわ」

その美女はとても友好的に接した。

リビングにあがり、フランと目が合った時、フランが怯えだした。

「はぁ、やっと見つけたわよフラン」

頭をかきながら、そう言った美女。

「あの、とりあえず状況飲み込めないので自己紹介して貰ってもいいですか?」

愛美がそういうと

「あぁ、そうね突然のことだものね....

私はイセリア王国から来た

ルーシア・ローレンよ、シアって呼んでフランとは幼い頃からの知り合いで、今日はフランを説得しに来たの」

「説得?(๑• . •๑)?」

「フランは勝手に飛び出してここに来たのよ。だから、帰りましょう。結局会いたい人には会えたのだから。貴方の目的は果たせたでしょう。」

フランはうずくまって

「嫌だ、シアがどうこう言おうと帰らない!!」

「はぁー、なんであんたは、昔からそんな頑固な訳!ここにいても何も変わらないでしょ、」

「帰っても何も変わらない!!!...帰ったところで前と一緒!一生閉じ込められるのはイヤ!!!」

苦しくそして悲しい空気感にさらわれる一体

「はぁーこれは今言っても無駄ね、とりあえずお風呂借りてもいいかしらちょっと汗で気持ち悪くて、」

「あ、はい、どうぞこちらへごゆるりとお入りください。」

舞夜がそういうと案内し、シアは脱衣所に入っていった。しばしの沈黙が続き

「ねぇ、フランちゃん良かったら話してくれないかな、私たちどうしても現状が理解出来てないからさ。あ、でも無理話なさなくてもいいからね」

そう、行った栞の言葉にフランは

「ガレムに、ここに来るまで私はずっと部屋に閉じ込められてた。日が刺さない薄暗い部屋。閉じ込められた理由は幼い頃に能力に目覚めて、それが暴走したから周りから警戒されて閉じ込められた。それが十数年間続いた。」

「それは、酷いね」

「その間はシアが私の傍にいてくれたけど、幼い頃に助けてくれた子のところに行きたいって言ったら怒られて反対されたけど、どうにかしてちさに会いたかったから誰にも言わずに屋敷の心優しい人達に手伝ってもらってどうにかここに来れた。」

「そう言ったことだったのですね。」

舞夜がリビングに戻ってきて、話を進める。

「今は千聖様がいませんから、私から言わせて頂きますが、フランさん、帰らなくていいですよ。ここにいたいのならいればいい、そう千聖様仰るはずですからあのルーシアさんがどう言おうと最終的決定権はご自身であるフランさんが握っています。だから、好きにありのままでいて下さい、誰にも囚われることなく」

舞夜のその言葉にフランは涙を流した。

「うん」


一方、風呂場はガラガラとくもりガラスが開き。

「これがお風呂?やっぱりガレムはどこもせっまいわね」

そう言いつつ浴槽に浸かるシアだった。

しばらくしてシアが風呂場から上がり、リビングに顔を出したが周りは驚いた表情をした。

「ふ、服はどうしたのですか?」

「え、服?私お風呂上がりは服を着ない主義なの。」

そう、バスタオル1枚に身を隠す姿でリビングに出てきたのである。

「なんというダイナマイトボディ

( ̄ー ̄)」

シアの身体は出ているところは出ている女性の憧れのようなスタイルをしていた。

「ところで、家主はあなたでいいの?」

舞夜にそう問いかける

「いえ、私ではありません、今は用事で外出してます。そろそろ帰ってこられるかと思いますが。」

「そう、話もあるし、ちょっとは首を長くして待ってあげようかしら」

そう言っていると、玄関扉が開きリビングに千聖が姿を出した。

「?」

直ぐにシアのことに気づき

「あぁ、フランの側近のこれは失礼御出迎え出来ず申し訳ございません」

千聖は頭を下げると強ばった表情と途切れ途切れの口調で

「ねぇ、あなた、もしかして、男?」

「紛れも無く男だが、何か問題があるのか?」

「ちょっとフラン聞いてないわよ」

「聞かれてないから言ってない、それに言ったとしても止めると思ったから」

「はぁー」

おでこを抑えてため息を付くと身体に巻いてたタオルが落ち。咄嗟に千聖は目を瞑り視線を逸らした。

「何逸らしているのよ?」

そう質問身体を見るとシアは赤面した。

「ほんと、男って最低!!」

その時シアの目が翡翠色に輝き緑色の障壁が千聖を壁に吹っ飛ばした。この衝撃で千聖は後頭部を強く打ちその場に気絶した。

「千聖先輩!先輩!」

愛美が呼びかけても反応がなく、しばらくの間、眠りについた。時間がすぎ

「う、」

「は、千聖先輩!!」

愛美に膝枕され、しばらく頭を押さえた千聖は

「どのくらい時間が経った」

「千聖先輩が気絶してから2時間くらいです」

「...2時間か、最悪だ」

あからさまに落ち込む千聖。

「夕飯はどうした?」

「有り余ったもので作ってもう食べたよ」

「それは真白のお願い破ってしまったな」

「まぁ、確かに真白ちゃん落ち込んでたけど今度またお願いするって言ってたよ、だからそんなに落ち込まなくても大丈夫」

「そうか...ところであの側近の方は?」

「あぁ、あの人なら今自室に案内して舞夜先輩とフラン先輩に説教されてます」

「え!?」

シアの自室にて舞夜とフランがシアの行いについて、怒りを露わにしていた

「男嫌いだからといって、千聖様を傷つけるとはいい度胸してますね?」

「シアは加減を知らな過ぎ。当たりどころが悪ければ最悪の事態になってた!」

縮こまって、そっぽを向き

「え、だって、裸見られたし当然の報いよ。」

「貴方が服を来ていれば済んでいた話ですし、実際千聖様は貴方の裸を見てはいませんよ。目を瞑って顔を逸らしていたでは無いですか?」

「そうだったかしら?」

「はぁ、とりあえずこの事は後でちゃんと謝ってください。それと千聖様は他の男とは違いますので、そこらの男と一緒にしないでください。では失礼します」

そう言って2人はシアの自室を後にした。

「なんなのよ、もう」

シアはどこか不服だった

リビングに戻ったフランは立っていた千聖にジャンプして抱きついた。

「心配かけてすまなかった。悪いがあの側近との話聞かせてくれないか?」

「うん、いいよ」

そうして、千聖がいなかった話を聞き

事の事態を話した。

「そうか、やはりオッドアイ能力者に対してはどこも酷い扱いだな。これでは肩身が狭いな.....正直卒業までというもの妥協してそうなったか。」

「そ、それ以上生活したらどうなるの?」

「有効期限が切れると同時に、契約者である俺は犯罪者として扱われ最悪死刑だ。」

「延長はできないの?」

「両親を説得できるのか?」

「あ、それは」

千聖の言葉に落ち込みを隠せない

「ふぅ、今考えても導き出せる答えは見つからないな。とりあえず今日はここまでだ。もう休め。」

みんなは自室にもどり寝付きに付いたそして、翌朝。シアがリビングに足を進めると。

「ねぇ、あの男はどこ?」

「千聖君なら朝から出かけてるよ」

リビングで食事を取ってる一同

「なんで、あの男は話したいことがある時に限っていないのよ」

「千聖様は多忙なお方です。大人しくなっててください。」

「朝早く起きれば会えるのにシアは寝すぎ」

時刻は12時を過ぎていた。

「仕方がないでしょ、イセリアとどれだけの時差があると思ってるの!?眠くてしょうがないのよ、ていうかよくあんな男と一緒に暮らせるわね。...そうだ、もし良かったらこの家から出ない?」

シアの言葉にキョトンとする皆それに対し自慢げに

「私で良ければ、ここよりいい環境を提供してあげる。あの男に束縛されることなく自由な生活をさせてあげるから...どうあなた達にとってはいい提案でしょ」

「それ、本気で言ってます?」

愛美がそう問いただすと

「えぇ、本気よ。それともやっぱりあの男に弱みを握られて束縛されてるからこの家を出られないのかしら、大丈夫よあんな弱い男私が黙らせて・・・!?」

その時だった。封を切るような風が髪をなびきシアの首に黒い剣が突きつけられ寸止めされた。

「千聖様のことを悪くいうな!!」

髪が逆だって、両目の輝きがいつも以上に増していた。舞夜の本気の怒りが顕に出ていた。舞夜はシアを凝視し

「それに、自由な生活?バカ言ってんじゃねぇ、私達オッドアイ能力者に自由な生活なんてない。住処を変えてもどこまでもおってきて殺される。私達能力者に取ってはどこもかしこも戦場と同様なんだ。そんな中で、狙われないからって金と名誉で平和ボケしてんじゃねよ!!...ここで首を経たれたくないならそれ以上ふざけた冗談はよして下さい次私の前でそんなこと言ったら問答無用で斬る」

「.......わ、わかったわ軽率すぎました」

「わかればいいです」

黒い剣が消え、シアを解放する

「すみません、気分が優れないので自室で休んでいますね。」

そう言ってリビングを出ていった。

「なんで、あんな怒るのよ」

ボソッと言った発言に

「いや。好きな人の悪口を言われたら誰でも怒りますよ...はぁ、私も気分悪くなっちゃったので席外します。ご馳走様でした」

愛美も舞夜が入っていった扉を開けて出ていった。後を追い自室に入った舞夜は

部屋の隅で座り込んだ。間もらくして扉がどんと開き。

「どうしたのですか?」

驚くことなくただただ冷静にそう通すと

「いえ、何時にもなく感情を表に出していたので、その理由を聞こうかと。それに昨日は私の馴れ初め話はしたのにそっちは話さなかったのでそれも問いただそうかと思って来ただけです。」

「そうですか、」

舞夜はニコッと笑い語り始めた。

「私は服装の通り神社を祀る巫女として、外に出されることなくずっと部屋に閉じ込められてました。当時はそれが使命だと思っていました。ですが、あれは満月の夜のこと突如として、神社にテロリストが襲撃してきました。その首班が信じてきた兄様だった。私はその時に絶望して、オッドアイ能力者として覚醒・暴走しました。テロリスト達はもちろん神社にいた人たちを全員殺しました。そんな暴走状態を助けてくださったのが千聖様です。助けて頂いたあとは、私の全部を持って千聖様に仕えました。そして、今に当たります。...これも話しておきましょう。私の髪が逆だっている状態の時は暴走する予兆だと思ってください。と言っても止められるのは千聖様しかいませんが、これで私から話せるのは以上ですか、何か聞きたいことはありますか?」

「そうですね、じゃ、気になってたことを...なんでここだけ和室なんですか?」

「それは、私の趣向です。皆さんが生活しているフローリングのお部屋ではあまり落ち着かないので、ここだけ和室になってます。」

「へぇー、落ち着いたいい雰囲気ですね。」

「ええ、とてもいいところです」

そうして、2人で話し合って時間が過ぎていった。夕暮れ時。千聖が帰ってきた

「ただいま」

リビングに入ってそう言うと、血相変えたフランが近づいてきた

「ちさ、なんでその服装しているの!?」

「?今回は執事の仕事じゃない、その証拠にバッチがないだろ。」

フランの執事でいた頃、胸にしていたバッチのところに指を刺して説明する。

「依頼主からボディガードのお願いを呑んだんだ。しばらくは家を開ける。」

フランが不満そうに目を鋭くして

「その依頼主ってだれ??」

「悪いが言えない。依頼主の私情は話せないんだ。」

「ムウうー」

頬を膨らませて不服のようだった。

「ところで、俺がいない間何かあったのか。」

「あぁ~、それが」

舞夜の自室の扉を開け

「千聖様、お帰りなさいませ」

舞夜が笑顔でそういうと千聖が座っている舞夜に抱きついた。

「話はフランと姫宮から聞いた、舞夜には酷な事をさせてしまってすまなかった」

舞夜の耳元で語る

「....はい」

舞夜は頬が赤くなり幸せそうだった

「しばらくの間は任務で家を開ける。その間頼んぞ舞夜そしてもう少し待ってくれ、舞夜に対しての仮は一段落付いてからちゃんと返そう」

「はい、期待しています。...ですが、もう少しこのままでいてください」

しばらく抱き合い、2人でリビングに戻ると。

「あの~千聖先輩、これ見てください」

そう言って愛美はスマホを見せた

「これ、千聖先輩ですよね。」

そこには、アイドルの恵那と後ろでスーツ姿の千聖が映っていた。

「もしかして、さっき言ってた依頼主って、国民的人気美少女アイドルの八千代恵那ですか?」

愛美は疑いの目で千聖を見ている。

「...ネット、恐るべし」

そう発言した千聖の目は落ち込んでいた

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