第5話 責任

ここは隣町の前話で起きた事故の話

赤信号で車を停めている車内

「いやぁ~!食べた食べた。どうだ、悠満足したか。」

バックミラー越しに悠の顔をみる父親。

「まぁ、美味しかったけど。出来たらお姉ちゃんも一緒がよかった。」

「あぁーそれはしょうがないわね

学校休む訳にも行かないし」

「だったら、家族全員が休みの日に今度は行こうじゃないか。」

「はぁ~あなたねぇ仕事が忙し過ぎてろくに有給が取れない状況なのによく言えるはね。」

「言葉にしておけば、後戻り出来ないだろう。まぁ、多忙なのは認めるけど。」

信号が青になり車を発進させると

交差点右から急スピードで迫ってくる1台の車に衝突された。一瞬で火が飛び火災となった。こうして、父親と弟の悠は死亡し母親は意識不明の状態であったがその後病院で死亡が確認された。


ここは千聖の家

「という訳で栞も今日からこの家に住むからよろしく頼む。」

「おお、委員長だ( ´-ω-` )」

「うん、よろしくね。?えっとぉ」

栞が気づいた先に目にしたのは千聖の背後に隠れている真白だった。

「?あぁ、悪い。真白、運動会の時にあっていただろう。」

「!!!、で、でもあの時は面として話してないです。」

「....すまない栞、真白は人見知りなんだが仲良くしてやってくれ」

「うん、わかった。えっとじゃ皆よろしく」

挨拶も終わり千聖は栞を連れて2階に上がった。

「ここが、栞の部屋だ。」

「え、いいの!」

「何を驚く必要があるんだ。ここに住むんだ。部屋のひとつあるに決まっているだろう。」

「いや、単に想像してなかっただけ」

「なら、いいが。栞まだ落ち着いていないだろう」

「うん、にわかに信じ難いからさ

まだ、生きているじゃないかって思っている自分もいるの。」

「だったら、落ち着いたら声をかけてくれ、どれだけ時間がかかってもいい、栞には手伝って欲しいことがあるから。まぁ、とりあえず今日はもう休め明日の登校に支障きたす前にな。」

「うん、そうさせてもらうね」

翌日

教室にて、

「あちぃー、暑すぎるだろ今日」

「溶けそう。⎝。⌓°⎞」

クラスの皆が急激な温度の上昇であせをかきながらぐんなりしている中。

「城ヶ崎はなんでこの暑さでそんな厚着して、平気だよな」

「意外とこいつは通気性が良くてな。だが以上な暑さなのは認める

だから、離れてくれ舞夜。」

「そのお願いは聞けません離したらどんな女狐に取られるかわかったもんじゃありませんから。」

「だからといって全力出して腕に抱きつくな」

「相変わらず( ´-ω-` )」

「アハハ、今日最高気温真夏並って言ってたからね」

「ほんとに暑い、これで冷房ついてるって言っても説得力皆無だろ」

「実際ついているけどね」

「はぁ~、ところで次の時間何やんだろうな。」

「体育祭の競技エントリーは終わっているから、やることないんじゃないかな。」

「あの先生のことだ、何かしらの用意はあるだろう。」

「俺たちにとって最悪なことじゃないことを願う。」

そうして話し合っていると、チャイムが鳴って先生が入室して、

「やることないから、抜き打ちで小テストするぞ。」

ニコッニコの笑顔でそう言うと

「ええー」

と言った感じて皆テストと聞いてやりたくないことを全開に表し始めたが、

「安心しろ。次の期末テストこの小テストからほとんど出すから、今からやるこのテストで高得点とれたら期末テストはまぁ大丈夫だと思え」

この言葉を聞いた生徒たちは暑さのことを忘れ歓喜に満ちていた。

「よし、じゃやるぞ渡してくから回してくれ。制限時間は30分残りの20分は自習な明日から3日間は体育祭だが、終わったら期末テストが始まるんだから気、抜いてんなよ。よし、始めていいぞ。」

合図と共にペンを走らせる生徒達、あっという間に30分が経ち。

「はい、やめ。後ろから前に送れ」

やり終えた生徒たちは燃え尽きてため息を吐く生徒ばかりだった。

「あとは自習な、明日は頑張れよお前ら。」

「何も無いからってテストはないだろテストは!!」

教室を後にした先生の後に江間の嘆きがクラスに響いている。

「あそこから排出させるだけまし( ー.ー)💤」

「そうは言ってもなぁー、はぁ、無駄に頭使ったから。いつもよりもだるい。」

「それは、いつもの事だろう?」

「腹立つこと言うなよ。」

「千聖様」

「どうした?」

「今日は私野暮用がございますので千聖様たちは先に帰ってて下さい」

「あぁ、わかった。」

残りの20分が過ぎ下校時刻となって千聖達は直ぐに学校を後にしていた頃。

「あの~お願いがあるですが。」

「舞夜さんが、俺にお願いとは、で、内容は?」

「明日からの体育祭。千聖様は執事の仕事を理由に参加しないとお聞きしましたが、千聖様に花を持たせてはくれませんか?」

「あぁーそういう事か。1日目はむずかしいと思うけど2日目ならなんとかなるな、でもどうしてそんなことを俺に頼んで来たの?」

「千聖様のここでの活躍をこの目で収めたいからです。」

「(城ヶ崎への愛がとことん重いなこの人。)あぁ、ただメンバーの登録はクラス委員長にしか出来ないから明日おれが委員長に言っておくぜ。」

「本当ですか。ありがとうございます。お願いはそれだけなので私はこれで。」

「おう、明日はお互い頑張ろうな。」

自宅にて、リビングで休んでいる中

「千聖....体育祭出ないって本当なの?(・・)?」

「あぁ、競技の最中にフラン様に何かあったら、嫌だから栞に頼んでエントリーしてもらわないようにした。」

「そっか、残念(´・ω・`)」

「すまないな。去年とは状況が違うからこう言った行動を取るしかないんだ」

「...執事...は辞めないの?( •́ㅿ•̀ )」

「辞めることは出来ない契約されている以上。最後まで真っ当しなければいけない。」

「嫌じゃないの?( •́ㅿ•̀ )辛くないの?( •́ㅿ•̀ )」

「そんな感情を抱いていたら、とっくに精神崩壊している。それに1度もそんなことを思ったことは無い。」

「そっか。こんなこと聞いてごめんなさい」

「何を謝ってる。誰でも持つような疑問だろ。気にするな。じゃ、おやすみ橘。」

「うん、おやすみ」

そうして、2日後。

学園廊下にて

「いやぁ~1日目は何とか進めたぜ。ほとんどの競技が今日にすすんでいる。このまま優勝出来れば万々歳だな。」

悠々と誇らしげに喋る江間に対して

「だが、勝ち進める度に相手は強くなっていく。もう二三年のクラスしかほとんど勝ち進んでいないだろ。」

「ご最もな発言だが、その考えをぶち壊すのが城ヶ崎おまえだ!。皆で話し合った結果。優勝目指すなら城ヶ崎の力を必要になるってことで出てもらうことになった!」

「俺がいない間にそんな話になっていたのか。」

「まぁ、最初に言い出したの、舞夜さんだけどな。意外だろ?」

「いや、舞夜なら言うだろうと思っていた。」

「なんで?」

「舞夜とは会っていなかった期間があって、それを埋めようと張り切っているときがいくつかあったからそう思っただけの事だ。」

「詳しい事情は聞かないでおくは」

「それがいいだろうな、学んだな江間。」

「場を揉めないバカみたいに言うな。とりあえず、今日のバレーの準決勝参加してもらうから忘れんなよ。」

「あぁ、わかった。」

体育館に行こうと足が進んでいるときだった。後ろから、

「あ、やっと見つけた。千聖」

「先生どうかなされましたか?」

「余裕あるなら職員室今から来てくれ。」

「わかりました。」

「お、じゃ、体育館行ってから後で来いよ。」

「あぁ。」

職員室。

「コレ見てくれ。」

「これは昨日の小テストのフラン様の解答用紙、何故これを俺にみせるんですか?」

「いやな、誰でもかける問題なのにベーネの解答だけ何も書いてないんだよ。おまえちゃんと勉強教えているのか?このままだと夏休み補習になっちまうぞ?」

「手が止まっている問題は節度おしえていますが、国語の問題だけは、特に止まったことがなかったので、」

「うーんそうかなんかわかったら教えてくれ。気になってしょうがないから。」

「えぇ、わかりました。では失礼します。」

「あ、ちょっと私も体育館行くから次女子のバスケだろ。そこにベーネも出ているんだろう」

「えぇ、では、行きましょうか」

職員室を後にして、体育館に向かう2人道中で

「さっき、濁した言い方をしましたが

先生はフラン様がオッドアイ能力者ということは知っていますね」

「おう、理事長とお前の教官さんに教えてもらった。」

「なら、話は早い、俺たちオッドアイ能力者の中には能力と逆に呪いがある場合があります。これは憶測でしかないですが、フラン様は恐らく人の名前を言葉にすることも書くことも出来ない呪いにかかっているのかと、」

「だからか、いつも物静かなのもあの小テスト作者の名前を書けって所をかけてなかったのもその呪いがあるからか。なら期末テストの解答形式変えるか、でもなんでそこまで言えるんだ?」

「おれも似たような呪いがあるので、

人の名前を言ったらその対象者が暴走してしまう呪いがね。」

「?にしてはお前容易く言ってないか」

「それは、相手がこう読んで欲しいと言った後にそう呼べば呪いが発動することはない。」

「大変だな、千聖。じゃ私はステージで試合見てるとするよ」

女子バスケの試合が行われていた。壁越しに試合を観戦しているなか千聖は考え事をしていた。

「(能力者の呪いを解除は1つしかない

その時になっなら責任をとらなければならないか。)」

深く考えていると。

「おや、千聖くん。フランさんは一緒じゃないんですか?」

「理事長、フラン様なら今試合に出ています。」

「おや、そうでした。それは失敬

ところで千聖くんこの前隣町の学校で起きたことを話してはくれませんか?。」

「構いません。では昨年と同様、授業参観中にテロが起きました。今回のテロの目的もオッドアイ能力者の確保ですが、前回とは別のターゲットだったようです。武装解除して、警察に突き出しました。そして、翌日、休日に運動会が開催されましたが、そこに飛行機を墜落させてきました。同様の理由で、そして、その狙われたターゲットは一昨日交通事故で死亡しました。病院で死体を確認しましたが、目だけをくり抜かれた状態でした。」

「なるほど、何故テロリスト達は目だけを?」

「実態はわかりませんが、悪い方向行くことは確かです。」

「そうですか、ではこちらも準備はしていた方が良さそうですね。」

「はい、そうした方がよろしいかと。」

「では、教えてくれてありがとうございます。体育祭がんばってくださいね。」

理事長がまた体育館を後にした次の時には、女子バスケの試合終了直前

ヤケになった選手がやけくそにボールを投げた。が、しかし、そのボールはゴールに行かず、千聖の顔面に直撃した。千聖も理事長と話し終わった直後で、反応も出来ず。避けられなかった。

「千聖様!!」

舞夜を含め数人の生徒が千聖に駆け寄ってきた。

「千聖様、痛むところはありませんか!」

「あぁ、特に大事はない、が、

メガネはどこにあるんだ。」

「千聖...ここにある!꜀( ꜆>ᯅ<)꜆゚」

そう言って落ちていた千聖のメガネを渡すと

「やはり、レンズは割れてしまっていたか。(予備のメガネは持ってきていない。さて、どうするか?)」

「千聖様、とりあえず保健室で休息を取った方が、」

「いいや、それは出来ない。そろそろそっちが始まってしまう。」

体育館の片面にコートが建て始められていた。

「ですが!」

舞夜の必死さを目の前にして、千聖は舞夜の頭に片手を置いた。

「!?」

「心配になるのはわかるが引き止めるのでなく送り出せ。舞夜は俺の勇姿が見たいのだろう。だったら安心しろ」

「わかりました、ですが無茶はなさならないでください私には千聖様しかいないのですから。」

「あぁ、わかった、じゃ、見てろ」

そうして、バレーボールの競技をする隣のコートに足を引っ張ると

「お、やっと来たか城ヶ崎ってどうした肩目閉じて」

「不意の顔面強打でメガネが壊れてしまった」

「おいおいそれ大丈夫なんだよな」

「右側が少々見えにくいが、問題は無い」

と、安否確認していると。

「あれ、コスプレ野郎がいるってことは?...ちょうどいいや、賭けしようぜ!この試合、お前らが負けたら可愛い子ちゃん俺によこせ、もし、勝ったら、そうだな。腹でも切ってやるよ!」

「いいだろう。」

「おい!いいのかよ」

「ハハ、負け知らずかよ、まぁ、お前らが勝つことなんてないけどな!」

「おい、城ヶ崎わかってんのか相手の3年生全員バレー部だぞ。」

「問題無い、だが、最初のサーブ俺からやっていいだろうか?」

「それは、別にいいけどよ、お前この格好でやる気か?」

「?.......これでは、ダメか?」

「ダメだ、脱げ。」

「......仕方が無い」

執事の正装を脱ぎ始め、

「橘、汚さないように持っておいてくれ。」

「うん、わかった(*`・ω・)ゞ」

バレーコートのエンドラインからボールを頭上にあげ、相手のコートに打ち上げる、誰にも触れることなく

ボールは落ちた。

「(ボールの軌道が見えねえ。でもまぁまぐれだろ、1点くらいはくれてやる。)」

賭けを所望した。3年は多少の心配があった。

時間は直ぐに過ぎ去って言った。

ほとんどのサーブが誰にも拾われることなく、落ちていき、あっという間に、24対0の0GAMEとなってあと一点だけという時に、

「おい、てめえ、そんなに取られたくないのか!!」

と賭けを所望した3年が怒号を上げる。

「俺によこせばお前は楽になるんだぜ、そして、俺は可愛い子ちゃんを好きにできるお互い理にかなってんじゃねぇか。何が不服なんだよ」

「....言いたいことはそれだけか。なら、個人の私利私欲で」

千聖の怒りが溜まったのか、片手でボールが破裂した。

「フランの人生を決めるな!」

この発言をした途端、千聖の両目が輝きを放った。

替え玉がよこされ、ボールを勢いよく天井に上げる。このボールが天井にギリギリ当たらない所になった時。千聖も天井ギリギリまで飛んだ

周りは呆気に取られている。その場にいた全員が上を向く。

「(白崎流 拳闘術 餔絶破断 豪延」

そして、ボールを思い切り相手コートに叩き込むと、凄まじい轟音と共に3年の顔ギリギリを風を切るように通った。

ホイッスルがなり、試合終了。得点は25対0で2-Aの圧勝となった。

そして、チームの皆とギャラリーの皆が千聖の近くに集まって。

「流石だな。千聖。3年相手しかも全員バレー部に無得点って快挙だよ快挙!!」

千聖の近くに集まって、歓喜に溢れる。が、しかし千聖は違った

「そんなに喜んでくれるのはいいが、準決勝には似合わない試合をしてしまって申し訳ないという気持ちがあるのだが?」

「はぁ~、何言ってんだよ城ヶ崎

結果的に勝って次に進めるんだから過程がどうであろうと変わんねぇよ。それにこんな点数差がついたのも城ヶ崎がそれだけフランさんを渡したくないってことだろ。」

「あぁ、フラン様に仕えるのが今の俺の責務だから、ついやってしまった。」

「なら、いいじゃんか次の決勝も頼むぜ、城ヶ崎。」

「あぁ、任させた。」

一方、ちょっと離れたところで聞いていたフランは顔を赤くしながらモジモジしていた。

「よかったね。フランちゃん」

コクン

閑話休題して、決勝までの待ち時間

を教室で過ごす。バレー組と他

「いやぁ、しかし、バレーのボールが破裂した時はびっくりした。千聖、お前握力ありすぎじゃね。」

っとバレー組メンバーの石井が言ってきた。

「さっきは怒り任せて力が入りすぎた。そしたら、気づいたら割れていた。」

「そんなことあんのかよ。それにその後のサーブも殺しにかかってんだろ、3年生白目向いてたぞ。」

「あれも、相手の発言が聞いていられなくなった。」

「言い分はわかるが、鼓膜が破れるかと思ったぞ」

「今思うとやりすぎたなすまない。」

と喋っていると廊下をドタドタ走る足音が大きくなって近づいてきた

「あ、いた!!今、男子バスケの決勝なんだけど、1人負傷しちゃって後半出れそうにないんだ!!」

「そういうことなら、城ヶ崎行ってこい。」

「いいのか?バレーの決勝に間に合わない無いか?」

「被ってないから安心しろ。ただし、時間残ってないから終わったら直ぐに来い。」

「承知した。行くぞ、恵翔」

「え、おう!」

走って教室を出ていった2人

「じゃ、私達も見に行こっかバスケの決勝。」

その後を追うように栞達も教室を出ていった。

第2体育館、先程までバスケの決勝前半をしていた。得点は4対29で負けている。コートの外では騒がしいことになっていた。

「皆、連れてきた!」

足を両手で抑え、痛む表情を取っている。

「おぉ、千聖。悪ぃあと頼んだ、」

「あぁ、わかっている、足を見せてもらうぞ。」

そう言って青タンのように腫れた足を観察して。

「最悪骨をおっていそうだが、誰か保健室に連れてってやってくれないか?」

「じゃ、俺らがやるよ」

ギャラリーで見ていたクラスの男子2人が動いてくれた。

「よし、じゃ。」

と千聖が言葉を言おうとした時

「おうおう、よく見たらコスプレ野郎じゃん、何だ?後半から代理で出るってそれで勝てっと思ってんのかよ。まぁ、もし逆転したところであいつみたい痛めつけてやるよ。」

バレーに出ていた3年生の取り巻きの1人が挑発してくる

「千聖!!俺たちこの試合勝ちたいんだ。こんな点差になっちまったけど決勝まで来てこんな無様は味わいたくない。皆そう思ってる。だからどうか力を貸してくれ。」

バスケに出場している4人全員千聖に頭を下げた。

「聞くまでもなかったか。なに、最初からそのつもりだ。勝つ意思があるならおれもその意思に答えよう。後半巻き返す。」

「おう!」

そして、後半は負けている2‐Aから開始となった。

すぐさま千聖がボールを勢いよくゴール目掛けて弾き出し。そのボールはゴールポストに当たり外れだが、千聖が空中でリバウンドし、ゴールに叩き込んだその瞬間、歓喜にわくギャラリー達。

「まさかの1人アリウープ、城ヶ崎のやつめっちゃ乗ってんじゃん」

相手がこっちに攻めてくるが中間ラインで足を止める。

「(なんだ、この全体守備、ちっ攻めようにも攻めきれねぇ)」

そう立ち止まってドリブルしていると、千聖が刺すようにボールを弾いて攻めた。今度は飛んで片手でボールを持ちダンクした。

後半が始まる直前のこと、千聖からこんな指示が出た

「皆の消耗が激しいから先陣は俺が切ろう。守りに集中してくれ、だがその代わり相手がトリプルチーム以上で来た場合は前線に出てきてくれ。」

「おぉ、わかった。」

相手は攻めることが出来ず、どんどん点差が縮んでいき。残り30秒という所で点差は2点差まで来た。しかし、相手はボールを持った千聖を5人全員で囲む。

「ハハ、さすがに5人で囲めば何も出来ないよな!!」

「さて、そろそろか」

そう言ってノールックで飛んでシュート体制に、相手も吊られるように

飛びかかる。ボールが投げ込まれたが、行った先はゴールではなく

前に出ていた、味方にパスをした。

「(本当に来た、ここで決めないと)」

スリーポイントラインからのシュートはゴールポストに弾かれることなく入った、これにより2のAは逆転した。後は守るだけとなったが、激怒した相手の反撃をくらい、またしても逆転された。

残りは数秒しかない中、

外に出たボールを中に入れる時

千聖はゴール下でボールを貰う。

そして、残り3秒ゴール下でシュート体制に入る。ボールを保おるように投げた瞬間、試合終了のブザーが鳴る。

「よっしゃー勝った!!」

相手の3年生がそう喜んでいると

その光景を見た味方は落ち込んでいる。後ろから背中を叩く千聖は

「まだ、落ち込むのは早い」

それを聞いた相手は、

「あ、何言ってんだ、勝ちたすぎて戯言、吐いてんのかもうお前らの負けは決まって。」

すると、ドンという音と共にボールが落ちた。千聖の投げたボールは天井すれすれで止まり降下して、ゴールに綺麗に入っていた。

「おい、審判今のノーカウントだろ」

と相手は信じられないのか講義を始めた。

「完全ブザーがなった後に入っただろ、あんなの無効だ無効。」

と声を張り上げていると得点板の数字が増えたため、有効化され最終的得点は31対33で、2のAの勝ちとなった。

この瞬間チームもギャラリーの皆も歓声で満ち始めた。

「皆が望んだ逆転勝利だ。もっと喜んだらどうだ?」

そう、千聖が聞くと

「いや、悪ぃ、なんか信じらんなくて、本当に勝ったんだよな。」

「あぁ、この歓声がそれをものがっている。」

「千聖!!ありがとう!!お前が来なかったらこの試合勝てなかった。」

「!、礼は要らん。俺はただ皆の意思に答えただけだ。あんな点差になっていても勝つ意思が皆にあったから逆転出来た。それに俺一人では、攻めきることも出来なかった。だから、これは皆で勝ち取った勝利だ。」

「そ、それでもありがとう千聖、じゃ俺ら先に戻ってるからバレーの決勝頑張れよ!!」

そう言って皆はその場を後にした。

そして、千聖は

「あまり時間はないが、少々休ませてもらうぞ、」

壁に背中を当て、目を閉じる

下に降りてきたフラン達は、休んでいる千聖を見て

「千聖様が寝ている!!」

「え、ちょっと」

栞が手を伸ばす前に、

橘が両手を前に広げて近づき

舞夜は息を荒くしながら千聖の背後に回る。

橘目を閉じている千聖に抱きつき

舞夜は千聖の首筋を口で甘噛みする

この光景を見たフランはゆっくり近づいて千聖の目の前に座って、汗だくの手を両手で上げ舐め始めた。

違和感を感じた千聖は目を開けると、

「(何が起こっている、舞夜と橘はわかるが、フラン様は何を)」

千聖が困惑していると、

「千聖くん次のバレーの試合、速まる見たい。だから早く行かないと」

「そうしたいところだが、....どうも出来ん」

どうにか3人には離れてもらいバレー競技の会場に戻れた。

「しゃ、全員揃ったし、ここ勝って優勝すんぞお前ら!!」

そして、バレーの決勝が始まった。

準決勝の時とは違い互いに一進一退の攻防を繰り広げている。

「(いやぁー、流石決勝。今回の相手も3年生だし、一筋縄では行かないか、城ヶ崎が頑張って拾ってくれてるし、攻撃も申し分ないだか、後1歩足りねぇ。)」

そして、アンダーレシーブしたボールが場外へと飛んでいき。それを拾った千聖が勢い余って、ドンと共に両手でフランを壁ドンしてしまった。

千聖は何事もなく試合に戻ったがフランは顔を埋めて赤くなっていた。

試合が両チーム20点代に入った時

「城ヶ崎、でかいの1本頼むぜ!」

そう言われた千聖は、ジャンプサーブの体制に入り、1本で決めた。2本目も相手は触ることができず、マッチポイントとなった。そうして、3本目相手は何とかボールを上げてきた、トスを上げ、スパイクを打ったボールはブロックに捕まり

後方へと飛んでいくエンドラインを大きくこえ、あと数センチという所で千聖が転がり込みながらボール繋げた。すぐさま立ち上がると

「(美味しいところはくれてやる。だから)ラスト決めろ!城ヶ崎!」

江間から大きくトスがあがり

助走を始め、飛んで時だった。

「(ぐ、視界が歪んで、だが、このくらいなら)」

ボールが不自然に見え捉えにくかったが腕をムチのようにして、打ったボールは

相手コートに叩き落とされた。

ホイッスルがなり、2-Aの勝ちとなったが、着地した千聖が、膝から倒れ込んだ

「(俺のやることは済んだ後は頼む。)」

「千聖様!!」

いち早く駆け寄る舞夜。

男子たちは保健室から担架を持ってきて千聖を乗せようと、大勢の男子生徒が待ちあげようとした時。

「なんだ、こんだけ人いてももち上がんねぇ。」

と、男子達が困惑していると橘が近寄って、千聖を持ち上げて、担架に乗せた。

そこからは大勢の男子たちにより、保健室まで持って行って、ベットに寝かした。保健室に残ったのは橘、栞、舞夜、フランの4人は残っている。

そして、気絶している千聖はというと、「ここは、何処だ?」

千聖が立っているところ、いや、立っているかすら分からない場所に千聖はいた。目の前に、うっすらと人のような影が映し出された。

「12年ぶりか、お前がここに居るということは、俺は朽ち果てたということか」

「ううん、違うよ。まだ、チサにはやるべきことが残ってるから、まだ、こっちに来ちゃダメ。」

そう言って、辺りが暗黒へと変わり、その暗闇から無数の白い手が向かってくる瞬間に千聖は目を覚ました。

「千聖様!!良かった。良かったです

ご無事で!」

舞夜は、泣きながら起き上がる千聖に抱きつく、隣で寝ていた眠華も起きた。

「心配させてしまってすまなかった。」

抱きついている舞夜の頭を撫でる。

「ところで、俺はどのくらい寝ていたんだ?」

「えっと、だいたい2時間くらいかな」

「そんなにか、」

と、感傷に浸っていると、

「起きたのね、じゃ、ほらほら教室に戻った戻った、これから千聖の診察するから、あ、でも、フランさんだけは残ってちょうだい。いいわね。」

3人を保健室から退室させ、

「はぁー、あれほど色んな先生に言われておいて、まさか倒れるなんてね。原因は自分で分かっているわよね?」

「えぇ、」

そう返答すると、先生が、

「疲労困憊、栄養失調、睡眠不足、

最悪、過労で死んでたわね。

.................こうなった責任は、雇っているフランさん、貴方にあるの。 過度に労働をさせすぎ。たまには休息も大事だから、従者の体調くらい把握していなさい。」

フランは口をすぼめ、千聖は何も言わない。しばらくの沈黙がその場を縮こめていたが、1本の内線が入る。

「はい、え!、わかりました直ぐに行きます。」

電話をガチャりと切ると

「ふぅー、職員室に呼び出しされたから、ここを出るけど、千聖くん、これからは絶対安静にいること、今後こんなことが起きないようにいいわね。」

「了解致しました。」

そうして、保健室には2人だけの空間となり、ストンと片膝をつく千聖そして、

「フラン様、今日は申し訳ございませんでした。」

「!?」

驚くと同時に、疑問を持った。

「謝罪する原因はバレーボール競技で起きたことです。1つは怒りの感情に我を任せたとはいえ、貴方様を呼び捨てで呼んでしまったこと。そして、もう1つは、不本意だったものの、貴方様を襲ってしまったこと、深く反省しております。それと、気を失ったのは管理がなってなかった、私にありますので、フラン様は何もお気遣いなく。」

一通りの言葉を発した千聖は、

ずっと頭を下げている。しばらくの沈黙が続き、

「...........わ」

フランが口を開け、言葉を発しようとした時、扉が思い切り開けられ、

「よう、城ヶ崎、大丈夫かどうか見に来たぞ!」

なんだか嬉しそうにハッキリとした口調で入ってきた江間。

「あぁ、もう平気だ、何故そんなに嬉しそうなんだ?」

「フッフッフ、それはだな!」

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