第4話 茜色の彼女

転校生の彼女の元へ僕は歩いていく.

そして彼女に,剣道部には部員が僕しかいないことを伝えた.彼女は少し驚いたような顔をしてから,少し残念そうな顔をしてから,「教えてくれて,ありがとう」と言った.

大阪ではありがとうをおおきにというものだと思っていたから,そのことに少しだけ驚いた.それから彼女は僕に名前を聞いてきたので,僕は名前を伝えてから,席に戻った.それからも彼女はクラスメイトたちのたくさんの質問に答えているようだった.

彼女と僕の席は少しだけ離れている.彼女は1番廊下に近い列の1番後ろ.僕はその列の二つ隣の列だ.彼女の質問の答えがよく聞こえてくる.前の学校の剣道部は強かったわけではないが仲が良かった.だからここでも剣道部に入りたかったらしい.彼氏いない歴は年齢らしい.好きなタイプは浮気のしない,彼女のことが大好きな人らしい.また,球技は苦手らしく,クラスメイトの誘いを丁寧に断っていた.また,彼女は美術部の人たちに,美術部に勧誘されているようだった.彼女は少し迷っているようだったが,見学に行かせて欲しいと頼んでいるようだった.そんな,彼女への質問の嵐も,授業の開始を伝えるチャイムとともに一時的に過ぎ去った.

1時間目は数学.僕のあの白紙のテストが返ってくる.僕ははなから期待せずに,静かに机に伏せた.

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