side fiction /森山猫劇場 第16話
柴崎教授が光崎邸から帰る時、聡に調査の助手としてアルバイトしたくなったら連絡して欲しいという伝言を、香織に頼んでいた。
柴崎教授が、光崎家についての情報を、どれだけ把握しているのか。
香織は
聡から、
そのことを香織は、柴崎教授に隠した。
温泉旅館で香織の両親は、腹上死している。
それも、夫婦そろって同時に。
香織が美優を産んだあと、夫の公彦が、勃起障害になっていること。
これらのことを、聡や美優に、香織は話したことはない。
香織がとても気になっていることはひとつだけ。柴崎教授が、香織と聡の秘密の関係を知っているのかということ。
聡と美優が、柴崎教授と一緒にキャンプに行ったことを、香織は知っている。
しかし、聡と柴崎教授の関係を怪しいといぶかしむことはなかった。キャンプから帰った聡が、香織とのセックスをさらに激しく求めてきたから。
美優が聡と柴崎教授の一夜限りの関係を疑ったように、香織も聡が柴崎教授と大学で関係を持ったのではないかと、疑いを抱いた。
聡と香織との秘密の関係を、美優は目撃して、すでに気づいている。
ただし、美優は、母親の香織の不倫相手が聡だと柴崎教授には話していない。
柴崎教授のことを、美優は避けていた。
聡は
もちろん、光崎家の香織夫人との関係について話していない。
しかし、キャンプ場で夜這いをかけてきた別人格の柴崎教授は、聡の
聡はこの柴崎教授の訪問した時、館の書斎にいた。
聡は
その結果、それまでループしていても、なかなか到達しなかった光崎邸に居候する状況と、初恋の人の香織さんとの秘密の関係を手に入れた。
それで、このループする世界から抜け出せるのか、聡はキャンプの夜からずっと悩んでいた。
柴崎教授の夜這いの時に、柴崎教授なのに、柴崎教授ではない誰かとセックスしていたら、リタイアさせられていた可能性は高い。
しかし、夜這いされ、フェラチオされていて、柴崎教授の頭髪を撫で、耳にふれた。まるでそうするのが当たり前のように。
「ああ、やっと思い出してくれたのか?」
そう言われたことが、とても気になる。
(僕は何かを忘れている。たぶん普段は色気がないクールな柴崎教授に、あんな大胆な行動をさせたやつを、僕は知っているはずだ)
これと似た違和感を、聡は香織さんとセックスしていて感じることがある。
それまで香織さんが聡にフェラチオしないのは、香織さんがフェラチオをしたことがなく知らなかったからだと納得していた。
(この人はこういう人と思い込んでいるけれど、それを本当は知っていたからじゃないのか?)
何か思い出すきっかけはないのかと、聡は光崎邸の書斎にある本を、気になったものに目を通してみることにした。
書斎の本を全部、
しかし、記録してはいけない本や情報の組み合わせもあって、それによって、
だから、
書斎のすべての本を読もうとしていたら、読みきる前に8月末日になってしまう。
もうひとつ聡が試していたことは、香織さんとのセックスで、
自分がどうしたいのかを、もう結果を怖れないでしてみることだった。
「……聡くん、ちょっといい?」
聡は書斎のソファーで腰をおろして読書をしていた。かけられた声に、本から顔を上げた。
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