side fiction /森山猫劇場 第7話
このまま7月、8月と何事もないまま、9月を迎えることができるのか。
それよりも一緒に暮らしている美優に、香織との関係がバレないかドキドキしている19歳の聡。
聡は今回のチャレンジでは、女性経験0で、デート経験なしで19歳を迎えた。
断片的にループしていた記憶が浮かんでくるが、8歳から18歳までは、平凡な人の見本のような生活をしていた。
19歳の誕生日に、未来がない絶望や、本当の両親の死の悲しみ思い出されて襲ってきた。
しかし、鎌倉の名家、光崎家の貴婦人の香織や美人令嬢の美優の思い出の記憶も、6月が近づいてくるにつれ、聡は思い出した。
そして、不思議な
謎の紳士、光崎家の主人である医師の公彦。現在、海外出張中。
古代遺跡の研究をしていた本当の両親の坂口仁・恵子の追っていた謎など、鎌倉の洋館へ訪れた聡にも、光崎家の貴夫人の香織から過去の話を聞き出したが、わからないことは多い。
18歳までは平凡だった19歳の青年、聡は洋館の暮らしで、困惑しながら、審判の8月末日を目指している。
自分の言動が正解でなければ、審判の最終日よりも早く、世界のループが確定する。
貴婦人の香織と親密な秘密の関係を持つことも、世界のループを阻止する条件だと、聡はデジャブのように思い出した。
条件はその瞬間がくると思い出せるものがある。
約1ヶ月、引きこもり眠り続けて思い出した条件と、その場で急に今だと、ひらめく時がある。
方法は失敗例を思い出せれば、少しは楽なのだが、条件を達成する方法は、その場の機転でなんとか選択するしかない。
香織とのなまなましい肉欲の関係の時間は、聡にとって、どうにでもなれと何度も思わざる得なかった。たとえば、どうやって愛撫するのが正解なのか、射精をどこまで我慢すればいいか、慎重に選択する余裕なんてなかった。
7月1日。どうにか無事に6月をクリアできた。
このままの生活を満喫して、8月末日の審判の日を迎えることができるのかどうか……。
7月3日。
香織さんが不思議な夢をみたという話を、聡とのセックスのあと語った。
練習期間はそろそろ終わりにして審判者の権限で、
「信じるか、信じないかは、香織さんが決めることなんだけど」
世界がループしていて、世界中の人間は、最後の審判を迎えない限り、8月末日で、審判者の自分以外の人は記憶を失い、世界の全てがループする。
聡だけは、すごろくのふりだしに戻るみたいに、また最後の審判に到達するまで選択を繰り返す。
「私が別の選択をしたとしても、ループが起きるのかしら?」
「僕の選択のパターンが変わるだけみたいだ」
それを聞いた香織さんが、とても悲しそうな顔をした。
「私はね、聡くんが私のことが大好きで、私をよろこばせたかったり、気持ち良くしたかったりしたいってことだけ考えて、夢中になってくれて、こんなおばさんなのに夢中になってくれて嬉しいと思って……あれ、あ……ごめんなさい……うぅっ……」
香織さんが自分の気持ちを話している途中で、涙ぐんで言葉につまってしまった。
(審判者の権限ってなんだ?)
香織さんのことを練習のための従者とか、ふざけるなよと思いながらも、大好きだと思いながら香織さんとたくさんしまくったことで、セックスがこわくなくなったのも認めざる得ない。
このままだと香織さんは、抹殺されるらしい。
世界がループしてしまえば、抹殺された人も、何もなかったかのように復活すると考えるべきか。
新しい別人が出現するだけで、仲良しでたくさん気持ちいいことを教えてくれた香織さんは、いなくなるのか。
聡は選択しなければならない。
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