2、母からの呼び出し
・・・驚いた。あれが地震だなんて。
ザフィーアは2年もの間、眠っていた。しかし、なぜそうなったのかは思い出せない。
地震については眠る前々に習っていた。でも、体験したことがなかった。
「う、嘘‼️」
そう呟いたヴァイスの視線を辿ると、
母の部屋だった。
そこは、まるで地震が起こっていないかのような空間だった。
ヴァイスとザフィーアが何も言えずに立ち尽くしていると、母が
「ふふっ、驚いた?最近ちょっと地震が多かったでしょう?いつ大きい地震が来るか分からなかったから試しに耐震性を強くしてみたの」
いいでしょう、全く壊れてないわ。あなた達の部屋もそうして差し上げましょう、と鼻歌まじりに言う。艶やかな真っ赤な口角がつりあがる。
ザフィーアはどうでも良かった。耐震性なんぞ。
ただ、どうしても“最近地震が多かった”に引っ掛かる。
なぜ、産まれてから12年、地震が起こってないのか?
なぜ、最近のここ2年間、地震が多発しているのか?
疑問が頭を巡る。
必ず、何かある。
証拠も、確証もない。ただの勘だ。
ただの勘だが、ザフィーアはそれを大事にしている。
必ず、当たる。
「お母様、どうしてわたくしたちを呼び出されましたの?」
と問う。ヴァイスもそうだった、言う顔をしている。
「ああ、それはね、長い話になるわ。聞いてくれる?」
またしても、紅い口角がつりあがる。母はどうでもいいが、ヴァイスがこんなことをしたら平静ではいられない。
ヴァイスが「勿論、聞かせて下さいませ」と言う。
母は、即座に返事をしないと機嫌が悪くなるのだった。
ザフィーアも続いて
「わたくしからも、お願い致します」と言う。
いつもと違うのは、母と同じように口角をつりあげたこと。
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