二、寿島(ことぶきじま)と華島(はなじま)と唐島(からじま)

1、勉学


 「では、書をめくってください」

  

  そういったのは講師だという男。


 (つまんないなぁ・・・)


 そう思いながら私・ザフィーアはぺらりとページをめくる。

 だって、面白くない。そんなことをするより外で走り回る方が絶対いい。でも、最近この時間でなくても、走り回ると皆に止められるのだ。解せない。


 「この国、赭国あかぐにでは一番大きい本土の唐島、2番目に大きいこの寿島、そして最小の華島の3つがあります」


 部屋を抜け出そうとして椅子を降りかけていたザフィーアはその言葉を聞いてピタリと動きを止めた。

  

 (この島って本土じゃないんだ)


 相当な衝撃だ。呆然としてる間も男は話を続ける。


 「本土の唐島には『首都』と呼ばれるものがあります。そこには最権力のシュタットリヒ王とイスペリアべス后、ガイアルディア王子、インポザント王女がいらっしゃり、この国を治めています」


 (名前なっが‼️)


 そう思うのは無理もないと思う。覚えることが苦手なザフィーアには苦痛でしかない。

 一体誰がそんな長い名前付けたというのだ。いや、親しかいないのはわかっている。わかっているのだが解せない。ザフィーアと名付けるのにも一苦労しそうだ。もし、大分先の未来に名前をつけなければいけない状況に陥ったら困る。絶対録な名前しか浮かばない。増して、ガルディア?いやガアルディア?

 

 「この中でも、インポザント王女は姫様方と一つ違いの11歳でございます。ガイアルディア王子はインポザント王女の3歳年上であらっしゃいます」


 (ガイアルディアだった・・・)

 

 よく考えたらその王女が一番名前が短い。

 覚えるには長い道のりだ、と額に手を当てる。

いや、でもさっきのガアルディアも近い。光は見える。

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