(二)-8

 現代青果のトラックから降りてきた男性が、僕の方にやってきて「君が布袋さんところの息子さんかな」と声を掛けてきた。

「そうです。布袋ほていかけるです」

 そう言うと、少し頭髪に白髪が交じった父男性は「助手席に乗りな」と言うと携帯を取り出して電話を掛けながら、自分のトラックの運転席に戻った。

 僕も初めて乗る三菱ふそう製のスーパーグレートのキャビンの助手席のドアを開けて、席に上がった。

 色々話していると、車はあっさりと福島を過ぎた。次々と車を追い抜き、後ろから来るさらに早い車を左の走行車線で避けてから再度追い越し車線に入ってやり過ごすなどして快走していった。

 そうして約九〇分後、鵜沼さんの車は無事に仙台のやや北にある、鶴巣PAの駐車場に滑り込んだ。


(続く)

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