相合傘って恋愛イベントの中でも結構重要な方だよね
席替えを行ってから2週間ほどたった。
今日は部活で学校に来ていたが、天気予報を信じて学校に来た私を恨みたい。
海は荒れ白波が立ち、木々は揺れ、時々音を立てて落ちる雷。そう、天気が大荒れなのだ。天気予報では雨は降らないという予報だった。だから折り畳み傘すら持っていない。
今の時間は1時、親に迎えを頼もうとしても親は共働きで仕事が終わるのが5時。そこから1時間かけ迎えに来てもらうと考えると走って帰った方がいいと思うのだが。
問題はもうひとつ、トートバッグの中には絶対に濡らしては行けない紙が入っているのだ、この天気の中濡らさず帰ることなんてできない、どうしよう。
『ゆうな今日部活あるって言ってたけど傘とか持ってる?』
橘からだ。
席替えをしてから毎日学校やLINEで話していたおかげか今はお互いに呼び捨て、タメ語という関係になった。
この感じからすると橘は傘なかったら届けようか?とか聞いてくるんだろうけどどうしようかな、
今傘欲しいけど、橘を学校まで来させるのはな、
、、、待てよ?今橘呼んだら私服姿の橘くんが見られる?よし呼ぼう絶対呼ぼう!はやくこい橘
Akayuna『傘ない泣橘くんには私を助ける権利をあげよう』
木の人『しゃーねぇーなー今まだ学校?』
これは来た勝った、ありがとう天気
『そーや』返信したら『10分だけ待て』とのこと。
10分か、橘の私服のためなら余裕で待てるな。
そう思っていたのに
何故か後ろから現れた。しかも制服姿
「、、、え?なんで?どうして?」
「俺の私服見れるなんて思ってたならすまんな。俺生徒会で呼ばれてたんだわ」
そーだったこいつ生徒会だった。しかも副会長。
ただ、気になることがひとつ何故傘が2つあるの?普通傘1人ひとつしか使わないよね?
「お前昨日部活って言ってたから一応持ってきた」
天気予報には雨が降るなんて言っていなかったのにこいつは何者なんだ?
普通こーいうのはひとつの小さな傘に2人で入って私を庇って肩を濡らすんじゃないの?
「ありがと、」
ただまぁ、橘は私のために用意してくれたんだそこは感謝して使おう。
傘をさして歩き出そうとした時だ
「あっ、電話ちょっと待って」
そう言うと橘は私に会話が聞かれないように少し離れた位置に行き話し始めた。
途中何度か私が見た事ない表情になっていたが気にしない。まだ私たちは仲良くなって日が浅いからしょうがない。
そう思うことにした。
「ごめん双子の妹が傘忘れたらしくてさちょっと俺の傘貸してくるわ」
橘の妹、橘ひなのちゃん。
橘とは双子の関係で2人は学校一の仲良し兄妹なんて言われている。それにひなのちゃんは成績優秀で、可愛くて、部活でやってる卓球は1度全国大会まで行くほどの実力だという。
「じゃあこの傘返すよ2人で使って?」
「わかった、すまんな俺が用意したのに」
ちょっとだけ寂しいな、私よりひなのちゃんが優先された気がして。でも向こうは家族なんだし当たり前じゃん。
心做しか雨風は強くなって私の足元を濡らしているように感じる。
「じゃあ傘置いてきたし、いつまでもここで話してる訳にも行かねぇし行くぞ」
そう言いながらすたすたと歩き出す橘。
しょうがないけど図書室で時間ても潰そ
「おい、いつまでそこにいるんだ?傘入れよ」
そう言うと橘は私の肩を掴み抱き寄せる。
いつもは好きな人でしか無かったけど。
橘はとっても優しくて、かっこいい最高の友達だ。
私、これで橘に少し近づけたかな、
でも、嬉しいけど今抱き寄せるのはやめて欲しいな、
目にたくさんの雨がかかって前が見えないじゃん。
「ふっ。何泣いてんだよ、俺がゆうなのこと置いてくなんてするわけないじゃん」
橘は笑いながら歩き始める。私もそれに合わせて動き出す。
2人で入るには小さい傘だけど、今日くらいは濡れてもいいな。
この人と一緒にいられるなら
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます