妹が自分より褒められたりするとすごい複雑な気持ちになる
最近お兄ちゃんの様子が明らかにおかしい。
今まで「ひなの以外話すのめんどくさい」などと言っていたお兄ちゃんが毎日スマホを眺めながら嬉しそうにニヤニヤしてる。
あれは好きな人出来たな、私のお兄ちゃんに、
「お兄ちゃん、最近いいことあった?」
「やっぱひなのにはバレるよなぁ、」
そう言いながら苦笑いするお兄ちゃんは全て話してくれた。
「よし!私が協力してやろう」
お兄ちゃんが幸せになればお兄ちゃんの笑顔沢山見れそうだからお兄ちゃんのために私が一肌脱いでやろう
「協力って何してくれるんですか!?」
お兄ちゃんは嬉しそうに目をキラキラさせながら聞き返す。かわいい
まず、お兄ちゃんの今の状況を整理しよう。
「お兄ちゃん、そのゆうなちゃんとどうなりたいの?」
「どうなりたいって?」
このクソ兄貴が、、、
「要は手を繋ぎたい、キスをしたい、一緒にいたい、エッチなことしたいとかゆうなちゃんとしてみたいことはある?」
お兄ちゃんは黙り込みながらアイスココアを作ってくれた。
ちなみに私とお兄ちゃんは二人暮しをしている。家族なんだから別にいいよね?
「ゆうなとしたいことはないかな、ただ一緒にいていっぱい笑ったり出来たらいいかな」
まっすぐ前を見ながらそう言うとゆっくりココアを飲むお兄ちゃん。
まったく、お兄ちゃんには敵わないよ
「そっか、それが聞けたから良かったよ」
目標は決まった、あとは目標に向かって道を作っていくだけだ。
「お兄ちゃん、ゆうなちゃんと遊び行ってみれば?最初は2人が気まずいなら私と私の友達の4人で行ってみない?」
お兄ちゃんがゆうなちゃんと仲良くなるのに一番いいのはデートに行くことだ。それなら早い内に誘って好意があることを悟らせるのがいいだろう。
「遊びに誘うかぁ、わかった、明日誘ってみる」
「ダメ!今ここでLINE使って誘いなさい!」
「え、でも直接誘った方がいいんじゃない?」
「このバカ兄貴!直接言うのは告白と記念日のお祝いとかでいいの!遊びに直接誘うのもいいけど今の兄貴とゆうなちゃんの関係はあくまで友達!わかる?友達を遊びに誘うのに体育館裏に呼び出して明日、一緒に遊びに行こうなんて言うやつがいるか!?」
キレてしまった。お兄ちゃんびっくりしてるじゃん、ちょっと反省。
「わかったよ、じゃあLINEで誘うよ」
まぁ、わかって貰えたなら良かった。
ぐいっと残りのココアを飲み干し思考を回す。
お兄ちゃん、外で着るような服なくない?
木の人『ゆうな、急で悪いんだけどさ、来週予定ある?』
自室に戻りベットに横になりつつひなのに言われた通りメッセージ送ったがこれでよかったのだろうか、迷惑だったらどうしよう、嫌われたりしないね、
Akayuna『んー来週のいつ?』
木の人『土日どっちか』
Akayuna『日曜なら空いてるけどどうして?』
木の人『あのさ、日曜2人で遊び行かない?』
既読ついたのに返信が来ない、おわった、
さっきより全然遅いもん、死にましたーはいお兄ちゃん死んじゃいましたー
「お兄ちゃんLINE送った?」
元凶登場。
泣きそう、泣いていい?もう泣くよ?
みせてーとスマホを強奪する妹。
「へー、お兄ちゃんにしてはいいじゃん」
「どこがだよ〜」
「だって、いいよって返信来てるよ?」
え!?と驚きスマホを奪い返しトーク画面を見る。
そこには
『予定無かったから別にいいよ!どこ行く?』
と書いてあった。
良かったと胸を撫で下ろすがここでもう一つ問題点が、
俺はゆうなととこ行けばいいの?
「なぁ、俺遊びに誘ったのはいいけどさ、どこで遊ぶのがいいの?」
正直俺は友達と遊んだりすることがなく、家にいることが多かった。こーいう時はひなのに聞くのが1番いいと思った。
「んーそうだな、無難なのは映画とかショッピングとかだけど聞いてみたら?」
映画かショッピングか、映画は分からなくもないけど、買い物することの何がいいんだ?イマイチわからんな
まぁ、いいやとメールを打つ。
『映画とかどう』
メールを送ろうとした時ひなのがお兄ちゃん!と声を荒らげ止めてくる
「どうしたんだよ?」
「お兄ちゃんバカ!こーいうのは映画とショッピングで悩んでるんだけどどう?って聞くんだよバカ兄貴!」
なるほど俺が一方的に決めるんじゃなくて相手に選択させるのか、確かにその方が向こうもやりたいこと出来そうだしいいな。
ひなのに感心しながらメールを送信、直ぐに既読がつき返信が返ってくる。
『ショッピングがいい!あと一緒にプリ撮ろ!』
瞬間、ひなのがまた声を上げ唸る
「今度はどうした?」
「お兄ちゃん、明日学校休みだよね?」
ひかりは生徒会に所属しているため生徒会の仕事で土曜も学校に行くことがある。だが、
「明日はないけどどうして?」
「お兄ちゃん明日服買いに行くよ!お兄ちゃんは中性的な顔だし私の服貸すから明日はそれでいくよ」
理解が出来なかった、なぜ明日服買いに行くことになったのか、そしてなぜひなのの服を着ないと行けないのか。
ただ、ひなのは俺のために動いてくれている、だからなにか意図があるんだろう。今日は時間も遅いし、詳しいことは明日聞いて今日は寝よう。
「わかったわ、じゃあ今日は遅いし寝るぞ」
そう言うとひなのはじゃあおやすみと言い部屋を出ていった。
1人になって鎮まった暗い部屋の中俺は眠りについた。
朝!今日はお兄ちゃんと買い物に行くんだ!こんな最高な日の天気はもちろん晴れって決まってる!
曇天
青空すら見えない雲におおわれた真っ白の空!
まぁ、こんな空でも気持ちは最高なんだ!まずはお兄ちゃんを起こして朝ごはんを食べよう!
毎朝のようにひかりの部屋に入りひかりを起こすはずだったが、部屋はもぬけの殻、布団は綺麗に整えられシミひとつすらない。
「ひなのー飯だから起きろー」
不意に聞こえるひかりの声、いつもとは違う朝にひなのは少し困惑していた。
廊下を抜け、リビングへはいると机の上にはパンなどが並べられていた。
「お兄ちゃん今日は珍しく早起きしたんだね」
少し意外そうという感じでひなのはひかりに話す
するとひかりは何も無いかのように
「あー昨日俺寝れてないんよ」
コーヒーを入れながら淡々と説明するお兄ちゃん、
どういうこと?お兄ちゃん私と買い物に行くのがそんなに楽しみってこと?
そう思っていると胸が高まりわくわくとした気持ちでいっぱいになっていく。
「やっぱ好きな人と遊びに行けるって楽しみなんだなって昨日1人になった途端ふと思ってさ」
お兄ちゃんが言うには好きな人とならどんなものでも楽しく思える。ショッピングなんて何がいいんだろうって思ったけどすごい楽しみで全然寝れなかったということらしい。
お兄ちゃんらしいと言えばお兄ちゃんらしいけど、まさか1週間前から寝れなくなるなんて聞いたことないよ。
毎週のように2人で遊んでるのに私と買い物行くってことだけであんなことにはなるわけないもんな。
1人で納得したひなのは朝ごはんを食べ部屋に戻り
お兄ちゃんの服を用意する。
お兄ちゃんは周りのことにあまり興味を示してこなったからファッションセンスが皆無だ。だから今日は私がいつも着てて、お兄ちゃんが着ても違和感無い服を選んでそれで遊びに行く。
私とお兄ちゃんは顔の作りが似ていて、どっちも中性的だ。
さらにお兄ちゃんは体格も中性的で細身でどんな服でも似合う。
昔は私のメイクの練習に付き合わせてたけど普通に女装でも行けそうなくらいだ。
とりあえず、今日は買い物だけだし落ち着きのあるシンプル目な服にしておこう。
お兄ちゃんの服は決まったし、私はもう準備はほとんど終わってるしあとはー
「お兄ちゃんちょっと来てー」
お兄ちゃんは呼ばれたらすぐ私の部屋に来てこれ?といい服を持っていく。
「着替えたらもっかいここ来て」
いくら中性的と言ってもお兄ちゃんは男だ。私の服を着たら多少の違和感がある。
だからメイクや髪をいじって自然な感じにする。
この感じで行くと10時には家出れるかな。
そんなことを考えながら手際よくメイクをしていく。
メイクを終え、ヘアアイロンでお気に入りの外ハネを作っていくと、部屋の扉をコンコンと叩く音が聞こえた。
「どうぞ」
ん。と言いながら部屋に入るお兄ちゃん。すっごくかっこいい。
私は自分の準備を全て終わらせ、お兄ちゃんのメイクを始める。
いつもよりどこか調子がいい。何かいい事でもあるのかな。
そんなことを思いながらひかりのメイクを終わらせ、2人は家を出た。
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