38.空気の変化


──駿太朗 View


睦巳の家に泊まるって事は何があるか。

多分、一緒に風呂と一緒に寝る事だろう。


正直、睦巳が一緒に風呂に入りたい、一緒に寝たいと云うならそれを断る理由は無い。

俺には特にデメリットも無いし、俺だって睦巳と触れ合いたいからだ。

ただ、どこまでやるか、ってのが問題なだけだ。

あんまり恥ずかしい事や関係が進む事はダメだと思う。

といっても事前にそんな事教えてくれるわけも無いからその時に言うしかないんだけど、それが難しい。

俺は睦巳に対してはその場の雰囲気に流されがちだからだ。

俺の理性は保健室で介抱した時にボロボロになってしまって、あれ以降は本当に弱い。

むしろ保健室ではよく頑張ったと思う。


まあともかく、風呂と寝る事は覚悟しておこう。


◇◆◇


予想通り睦巳が風呂に入ってきた。

頭を洗ってもらい、前回同様に次は背中かと背を向けようと話したら待ったを掛けられた。


顔を上げて見ろという、どういう事だ、まさか裸じゃないだろうな。

タオルを巻いてるから見ても良いという理屈もおかしい気がするけど、見てもいいなら見てみるか。


顔を上げて睦巳を見ると、しっかりタオルを巻いていた。

しかし直ぐにタオルに手を掛け、中から白ビキニの姿を現した。


その白ビキニは三角ビキニと言われているもので下はブラジリアンとかいうお尻丸出しのような水着だ。

布面積が狭く、紐に布がついているだけ、と言っても過言ではない、とてもエロく、普段使い出来るような代物ではない。

しかし久しぶりに生で見るとなんて……あれ?胸の部分が小さく、いや胸が大きくなってるのか?

それを睦に伝えると、どうやらさらに胸が成長しているらしい、まだ1ヶ月くらいしか経ってないはずなんだけど早くない?


そしてよく気付いたなと言われた。


睦巳が女の子になって直ぐに買った白ビキニ、夜に自撮りを何枚も送って貰って全部保存している。

かなりセクシーなポーズのものもあるが、そんなの無くても水着姿がエロすぎる、それに睦巳自体が何度も言うけど素晴らしい体型で、染み一つない色白な肌。

そして俺はここの処毎日のように使っている。

だから些細な変化も見逃さない自身がある、毎日じっくり見ているしな!


と思わずよく見てる事をポロリと言ってしまった。

慌てて口を塞ぐももう遅い、しっかり聞こえてしまった睦巳は俺と同様に顔を赤くし目を逸らす。

これが普通の女性だったら危なかったけど、睦巳ならきっと分かってくれるだろう、多分、少しは、まあちょっとは覚悟するか。


お互いが沈黙する、このままじゃ不味い、空気が重い、まずは俺が謝らないと。

そう思い先に謝ると睦巳も理解を示して許してくれた。


◇◆◇


気を取り直し、身体を洗って貰う。

相変わらず背中を洗って貰うのは気持ち良い、普段なら触れない部分をしっかりと洗ってくれている。

そして首、肩、腕、指と洗い進める。


相変わらず指にはしっかり指を絡めて来て、エロさを感じる。


それが終わり、これで終わりかなと思ったら身体の側面から前を洗うと言う。

自分で洗うと言っても聞かない、勝手に洗い始めたので俺は大人しく洗われている。


側面についてはくすぐったいで済んだので良いんだけど、前はちょっと不味い、こっち向いてくれってのは非常に不味い。

当然のように俺は臨戦態勢になっていて、睦巳の方を向く事は避けたい。


心の準備をしようとした矢先、睦巳が背中を向けたまま、そのままで洗うと言い出した。

まあそれなら良いかと思い、睦巳の指示どおり背筋を伸ばした。


素手で胸を洗われる、これヤバい。

背中の時には感じられなかった触感と視覚的に睦巳の手が胸を洗っているのを見ると、得も言われぬほどに興奮してくる。なんだか気持ち良くもなっている気がする。

そして時々、俺の乳首を指が触り、何度か行き来する、これは多分睦巳が意識的にそうしていると思う、それは思いの外感じられて、ヤバいと感じる。


そのまま下に手が下りて行き、腹筋を撫で回される、薄っすら割れているように見える腹筋を丁寧にねちっこく、撫で回される、腹筋に力を入れると明らかに指にも力が籠もって俺の筋肉の硬さを楽しんでいるようだ。

手の泡も落ちて殆ど素手で撫で回しているに近い状態になってもまだ触っている、どうやら夢中になっているようで俺も複雑な気持ちではあるが嬉しいと思う。


そして柔らかい物が背中に当たる感触が、多分水着越しではあるけど、とても柔らかい。

それを睦巳に伝えると始めは驚いていたけど、気にしない事にしたようだ、いつも抱き着いた時にも当たってるとかいう謎理屈で。

服越しの抱きつきからの感触とカップ無しでの水着越しは全然柔らかさが違うんだけど、分かっていないのだろうか。


睦巳はそのまま胸を押し付け続け、意識がそちらにばかり向かうようになった。

そして手は更に下へと下りて行き、下腹部にある股間を押さえている俺の手に当たった。

そこから胸上部から下腹部まで一通り洗い直し、耳元で次は足だけど向きを変えるか聞いてくる。


無理と即答したが、睦巳は側面に回り込み足を洗い始める。

俺は慌ててちゃんと隠れているか確認し、しっかり押さえた。


足と足の指をしっかりと洗う睦巳、足の指までしっかり洗うなんて嫌じゃないのだろうか、俺だったら他人の足の指なんて、相手が親でも嫌だと思える。

だけど睦巳の足の指なら?そう考えると簡単で、余裕で洗えてしまうだろう。


俺を一生懸命に洗っている姿を目に焼き付ける、邪な気持ちは無く、素直に綺麗で美しいと思えたからだ。


残りの股間付近は自分で洗ってくれ、と言う、まあ当たり前だな。

そして次は俺を洗ってくれと睦巳は言い出した。

睦巳の言い分としては洗って貰っといて終わりなのか、と。

確かにその通りなので洗うけど、本当に良いのだろうか。


◇◆◇


というわけで、俺が睦巳の身体を洗う事に。

睦巳と同じ様に素手にボディソープを出して泡立てる。


背中を向けている睦巳に向き直り、その白くて小さな背中に手を当てる。


もの凄い緊張感と興奮だ。

睦巳の身体を素手で洗うという行為、それがどれだけの事か分かるだろうか。


そしてこの触れた背中が小さいのに柔らかい、まさに柔肌という言葉そのものだった。

俺の手の平ですら肌に傷をつけてしまうんじゃないかと思えるほど繊細な、きめ細かな肌を洗う。

自分のように筋肉を殆ど感じない、あっても薄いそれは殆ど抵抗が無く、柔らかさだけを伝えてくれる。

ずっと触っていたい、そう感じるほどだ。


次に肩と首、小さい。

すっぽりと俺の手の平に収まる、そんな小さくて可愛い肩を優しく洗う。

首も細く小さくて力を入れたら折れそうに感じる。

髪は濡れないようにアップにして纏めていて、うなじが見え、それがまた色気を醸し出している。


次に腕と指、細くて柔らかい。

柔らかさの質が男の腕と違う、肉質が違うという事か、とにかく柔らかい。

優しく触れないと傷が付きそうな腕だ。


指は一本一本丁寧に。

睦巳は俺の大きな手が好きだと言ってくれた、俺も睦巳の手の平と指が好きだ、睦巳そのものが美術品と言えるが、手に関しては美しさとグロテスクさを兼ね備えてそれだけで妖艶な雰囲気を持っていると思う。


それを洗い終わった後、突然睦巳がこちらに身体ごと向いた。

俺は膝立ちのまま丁度ボディソープを手に取り泡立てている最中だった。

そして隠す必要も無かったため、タオルは下に落ちたままだった。


固まる俺、直ぐに隠していない事に気付き、タオルを拾い上げ隠す。

間違いなく見られたな、まあ以前にも見せてたからいいんだけど、今となっては恥ずかしい。

恥ずかしいんだけどそれとは別に見せ付けたい気持ちもある。困った事に。


結局背中側から洗う事に。

脇から腹横を洗う、少し手を滑らせればそこにおっぱいがある、揉んだり出来る、だけど我慢だ、後で胸回りを洗えるんだから、多分。


そのままお腹へ手を這わす。

お腹の柔らかさは下に骨を感じられないため、腹筋も薄く、触り心地は背中よりも良く、撫で回す。

そして指がおヘソの穴を見つけ、そこに指を入れる、優しく軽くおヘソを撫で洗うようにする。


直ぐに睦巳から次に行ってくれと投げ掛けられる。


次は胸部、胸、おっぱい。

流石にここは聞かないと不味い気がする、どうしたら良い?と。

すると水着で覆われた部分以外を洗って良いと言った。

本当に良いのか?結構な範囲なんだけど、本当に良いんだな?と思ったけど言わなかった、折角だからしっかり堪能させて貰おう。


手の平をそのまま上に上げていき、下から胸を持ち上げる、このGカップ以上の柔らかさと重さが堪らない。

男ならいつまでも支え続けていたいと思うだろう。

柔らかさもさっきまで感じた柔らかさなど相手にならない、この柔らかさこそ本当の柔らかさだと感じてやまない。

中に骨も硬い筋も無いというのはここまで柔らかくなるものなのかと感動している。肌の張りがあるぶんぐにゃぐにゃとまでは変形しない。

そのまま揉みしだいて洗い、そのまま胸の側面、上部を揉みつつ押し込んだり擦ったりして味わっていく。

谷間に手を通して柔らかさに挟まれつつ洗う事も忘れない、このままここに住みたいと思わせる。

指に潰されて変形するGカップ、いや今はそれ以上の胸を好きに洗う事が出来て、俺は幸せだ。


夢中になりそうな処で睦巳に促され、次へ。やりすぎたのだろうか、非常に残念でならない、惜しむように手を離し、足へ。


背後からだとやはり足は少し遠い、胸ほどじゃないけど柔らかい太ももを片足ずつ両手で包み込むように洗い、ふくらはぎは睦巳の背中に密着し、足を持ち上げて洗い、足の指も同様に足を抱えて優しく洗った。


至福の時が終わり、俺は湯船に入り、目を逸して睦巳が水着部分を洗うのを見ないようにした。

睦巳が湯船に入る時は目を瞑り、入り切るまで待つ事に。


睦巳が湯船に入る時、俺の股の間に入ったように感じる、いつもの場所、バックハグをする時のボジションだ。

流石に目を開けて、何が起きているか確認した。

本当にそこにいて、睦巳は自分の居場所だと主張する、いつものポジションに。

そしてもしかすると今睦巳は水着を脱いでいるのではないか、だって寄りかかった背中に紐を感じない。

それに上から胸元を見ると胸元を両手で隠している。


睦巳に目を開けて良いと言われた時に既に開けている事は伝え、水着の事聞くと、ボディソープが落ちないからと、脱いで前回と同様に裸で入ったらしい。

前回と同様って、今のシチュエーションは全然違うんだけど、背中と腰が裸で密着していて、特に腰部分は臨戦態勢のそれに押し付けられていて不味い。

睦巳はこれが不快じゃないのだろうか。……まあ不快じゃないからそうしているんだろうけど。


俺の心臓が凄い勢いで鳴っていて、理性との戦いが始まっていて、色々と危険な状態にあった。


そしてそのまま口づけをねだってくる。こんな時にだ。

だが睦巳と口づけを交わすと、一転して落ち着いてきた、完全に収まったわけではないけど、先程までの危険な状態じゃなくなった。

まさか口づけにこんな効果があるなんて、睦巳に感謝しないとな、ってこの状態なのも睦巳のせいなんだけど。


落ち着いてくると睦巳の背中から心臓の鼓動らしきものが聞こえてくる、心臓の早鐘を感じる、平気そうに見えても睦巳もやはり緊張しているのだと思うと俺も安心出来た。


俺は落ち着き、両手を広げて浴槽に腕を伸ばしていると。


「駿、聞きたい事があるんだ」


睦巳は真剣な声色で始めた。

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