28.海と水着
──駿太朗 View
フードコートでの食事が終わり、睦巳のクラスメイトとも別れ、少しゲームセンターに寄ってから帰った。
家の前での別れ際に睦巳に抱きつかれて、唇を求められたので快く答えた。
◇◆◇
バーベキューはサッカー部の友達3人を誘って合計8人で今週、夏休み入って直ぐの7月中に行く事が決まった。
当日、男子組と女子組に分かれて初顔合わせする事に。
学校で顔合わせしておくつもりだったけど部活なんかでタイミングが合わずに叶わなかった。
まあこの3人なら多分大丈夫だろうと思う、3人ともサッカー部だから身体付きは皆しっかりしていて、顔も悪くはないはずだ。
今日は睦巳の水着姿を見られるのが一番の楽しみだ、例の白いビキニでは無いと思うけど、もしそれだったら俺の上着を渡して誰にも見せないようにしないと。
それにしても、海で睦巳と遊べるなんて久しぶりだな、あいつはあんまり出掛けたがらないから去年は結局一度も海に行けなかったし。
しかも今回は女の子になった睦巳だからな、俺が色々と警戒しないといけないというのはあるけど、男の時とは違う楽しみが待っているはずだ。
俺たち男子組が電車を降りて海に着いた時に1台の車が到着し、そこから睦巳たち4人に誰かの父親だろうか、男の人が降りた。
その男の人は車の後部からバーベキューセットを取り出し、俺たち男子組に順番に渡してくる。
そう、女子の一人が父親にバーベキューセットを運ばせたのだ。
帰りも荷物の回収と娘を迎えに来るらしい。
お陰で荷物要らずでバーベキューを楽しめるんだからありがたい限りだ。
すでに顔合わせをしてしまったみたいなもんだけど、あらためて顔合わせ、俺と睦巳がそれぞれを紹介する。
そして言っておかなければいけない事があったので言っておく。
睦巳は非売品だと、手を出すのは許さんからな、と。
睦巳の肩に手を回し抱き寄せてそう言い、男子に釘刺ししておいた。
分かってるつーの、という声が聞こえたが大事な事だからな。
睦巳は照れていて、その癖に俺の身体に抱き着いてきた。
その後、睦巳も同様に女子に対して同じような事を言って、俺を非売品にして腕に絡みついてきた。
はー、可愛すぎだろマジで。
というか、やっぱ水着だからか腕に絡むとめっちゃおっぱいを感じる、とても柔らかいような気がする、うん、なんとなくだけど。おっぱいが当たってるという事実だけで喜べる、単純なものなんだ。
女子たちには上手い事受けていて、安心しなよ―、とか言っていた。あっちのほうが受け入れられ具合が優しくないか?
それにしても俺と2人きりじゃないからか、睦巳の1人称が"私"になっていて、より女の子味を感じる。
というか、なんかちょっとこう……違和感がある。
いや別に私と言うのも嫌いじゃないし、結構好きなんだけど、なんだろうな、良く分からない。慣れの問題だろうか。
バーベキュー出来る程度のスペースを見つけ、パラソルも立てて、バーベキューセットも設置をした。
バーベキューはある程度遊んでお昼過ぎからで良いだろう、それまでは普通に海で遊ぼう。まずは6人の交流だな。
今日の主役じゃない俺が荷物番をする事になって7人には水着に着替えてきて貰う事になった。
パラソルの下、日を避けながらシートの上でぼんやりして待っていると男子共が戻ってきた。
入れ替わりで俺が着替えをしに行く事に、その際に3人に頑張れよと声をかけた。
歩いて行くと4人の女子が見えて、それが睦巳たちだと直ぐに気付いた、というか睦巳が光り輝いて見える。レベルが違う、このビーチで間違いなく一番だと言える。
睦巳は俺を見つけ、こちらに駆け出した、うおっ、ばるんばるんだ!
スケベ心と独占欲がせめぎ合って、スケベ心が勝った。
俺も睦巳に向かって駆け出し、お互いに抱き合った、ああ、今俺も水着だったら肌で直接感じられるのに、残念でならない!
ひとしきり抱き合った後、口づけを交わそうと思ったけど、思い留まった。ここは公共の場、しかも人目も多い、流石にここでは常識的に不味い。
一旦睦巳から離れると睦巳にいつものように感想を求められる。
水着自体は青色ベースに黒の縁取りがされていて、それに少しの柄が入っている三角ビキニだ。
腰の部分には下を隠す程度の長さのパレオが付いていて絶妙なチラリズムを感じさせる。
上は首の後ろと背中、下は横に紐で結ぶタイプに見える。
ビキニ面積は以前着て貰った白ビキニより大きな面積になっていて、あの白ビキニの小ささ、エロさを思い出す、あれと比べれば無難に思えるけど、これも十分すぎるほどにセクシーだ。
それに加えて睦巳の身体そのものが素晴らしい。日本人離れしていて、胴が短く、足が長い、そしてくびれの位置が高い、そして肌は染み一つない綺麗な色白もちもち肌。
まるで理想のスタイルに加え、お尻はキュッと締まっていて、Gカップのおっぱいはとても素晴らしい。
この組み合わせにより究極至高の水着巨乳美少女が生まれた。
こんな美少女と、振りとは言え恋人役が出来るなんて俺は幸せ者に違いない。
──というような事を睦巳に伝えたら顔を真っ赤にして、褒めすぎだと怒られた、でも直ぐに、ありがとう嬉しい、と俺の裾を掴みながら言ってくる。
睦お前!俺のツボを分かっててやってるだろ!!!
そろそろ俺の我慢の限界が近付いて来ていて、ここらで一旦終わりにしないとヤバいと感じた。
睦巳に、そろそろ着替えてくる、先に行ってろ、と伝えたら、俺も付いて行きたいと言い出した。
ちなみに女子3人は既に俺たちを通り越してパラソルへ向かっていた。
仕方がないので男子更衣室の前で待って貰う事にした。
ナンパなどされてはたまらないので早々に着替えて、直ぐに睦巳と合流した。
幸いな事にナンパはされなかったようだ、良かった。だが油断は出来ない。
パラソルまで戻ると、既に6人は多少のぎこちなさは有りそうだが仲良く遊んでいて、これなら俺たちは要らないかもな、なんて思っていたら睦巳が2人で遊ぼうと誘ってきた。
2人で遊ぶ時間なんて取れないと思っていたからこれは有り難い。
大きめな2人乗りの浮き輪を膨らませて、それに睦巳を乗っけてある程度の距離まで運び、適当な位置で俺もそれに乗り、後ろから優しく抱いた。
睦巳も察してくれて、俺に寄り掛かり波に揺られながらもいつもの2人の時間だった。口づけはしなかったけど。
少しの時間をそうして過ごした後はどちらかがもう一人を乗せて引っ張ったり、2人で浮き輪に掴まりながら会話したりして、適当なところで皆の所へ戻った。
2人で海に来ても楽しめそうだ、悪くないなと思った。
今は3対3でビーチバレーをやっている、当然ガチじゃなくてお遊びで。
この種目だとリーダー格の子が一番人気だろう、なぜならおっぱいが睦巳の次に大きいから。
3人共に揺れるたびに其処に目が行く、こればっかりは仕方がない。俺は睦巳が居るから極力目が行かないように努力した。
女子3人は顔も可愛いと思う、多分だけど。
……どうも最近俺は睦巳を見すぎて基準がおかしくなってるかも知れない、以前なら可愛いと思ってたアイドルも今だとそう感じないようになってしまった。
だからと言って睦巳を見慣れてきたかというとそうではなくて、全く慣れる気配が無いし、どんどん磨きが掛かっていて、天井知らずのように感じる。
ある意味目の毒だ、睦巳しか目に入らないように感じる時がある、それ以外の女性は一切気にならないと感じる、そんなタイミングが。恋は盲目、あばたもエクボ、そういう話なら良いんだけど。
俺たち2人はパラソルの日陰でビーチバレーが終わるのを待っていた。
そして終わり、少しの休憩を挟んでお待ちかねのバーベキューが始まる事となった。
8人でのバーベキューは楽しく、今までより女子と男子の距離を詰めやすく話もしやすくなっていると感じる。
6人はこの期とばかりにある程度狙いを定めた相手に話しかけて親睦を深めようとしているようだった。
俺と睦巳の2人はお気楽に焼く係と配ったり片づけたりのサポート係となって上手くいくように動き回った。
どうやら飲み物が無くなったようで、俺も手を離せなくて仕方なく睦巳に飲み物の買い出しをお願いした。
少しして余裕が出てきて気付く、着替える時にナンパされてはたまらないと思ったのは俺のはずだ。
なんで睦巳を一人で行かせたのか、ミスに気付いて直ぐに駆け出した。
◇◆◇
海の家から少し離れた所の岩陰で僅かに見えた、居た!睦巳だ!
やっぱりというか何というか、人目につきにくい場所でナンパ男らしき同年代ぽいやつら2人に挟まれている。
ナンパ男が睦巳の腕と肩を掴んだのが見えた、まだ少し距離がある、急げ!
睦巳が抵抗しているような素振りが見える、だけど腕力では敵わないのだろう、振りほどけなさそうだ。
やっと距離を詰め、おい!おまえ!と声を掛ける。
ナンパ男達がこちらを見る、するとそこには見た事のある顔があった。
ナンパ男は睦巳の肩に手を回し、俺たちは友達同士だから邪魔すんなと言ってきた。
何言ってんだコイツと思ったけど、思い出した。
睦巳に聞いた話ではナンパ男はたしか中学で睦巳のクラスメイトだったはずだ、当時からチャラチャラしていて彼女が何人も居るという話でそういうヤツだった。
だけど睦巳は当時男で普通に話をしていたらしい、女が絡まなければ普通の奴だった、と。
──という事はナンパ男の記憶では女の睦巳と適度に仲が良かった、という事になる。
そりゃあ、ナンパ男から見れば当時そういう目で見ていない(実際は男だったからだけど)女が巨乳美少女になっていれば声も掛けるし仲が良ければ強気でいくだろう。
だけど今の睦巳は俺の大事な親友で恋人だ、渡すわけにはいかない!
睦巳は俺の女だと宣言し、直ぐに手を離すように言って近づいていった。
ナンパ男は睦巳に、そうなの睦巳ちゃん、などと気安く声を掛けていたけど、睦巳は即座に駿!助けて!と大きな声で呼んでくれた。
俺はもうナンパ男をぶん殴る寸前だった、だけどナンパ男は睦巳から手を離し、ゴメンゴメン!恋人が居るって知らなかったんだ、同中のよしみで許して、と言い出した。
流石にそうなると殴るわけにもいかず、ナンパ男たちは直ぐに離れていった、次のターゲットでも探しにいったのだろうか。
なんとか無事に睦巳を助け出す事が出来て良かった。見つかって本当に良かった。
睦巳を見ると震えていて、直ぐにでも抱いて安心させてやりたかった。
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