3.あくまで親友として


──睦巳 View


なんとか激動の一日が終わりそうな時間、ベッドで横になって整理しよう。


駿だけは俺が男であった事を覚えていて、その他の人は全て元から女の子だと思っている、親でさえも。

まるで夢を見ているか魔法にでも掛けられている様に現実感が無い出来事だ。

タンスの中の衣類が女物になっていたり、写真も女の子になっているんだから、魔法です、って言ってもらったほうが納得出来る。

まあ明日に全て元通りになってくれたらそれが一番なんだけど。



寂しくて、悲しくて、自分の存在全てを否定されているように感じて絶望していた。

何処にも、自分の家でさえも居場所が無い、そんな風に感じていた。

だけど、駿は俺の男としての過去を覚えていてくれて、それだけで救われた、俺の心の拠り所、居場所になってくれた。


ハッキリ言うと、俺はもう駿無しでは生きられないとすら思える。駿と離れ離れになる事は俺の存在と否定と感じてしまうだろう。

だから、俺はずっと駿と一緒に居たい、今この瞬間だってそうだ。

許されるなら駿と一緒に寝たい、そこが俺の居場所だと感じる。


駿は頼ってくれとも、支えるとも言ってくれた。俺の最高の親友だ。

といっても頼るばかりじゃなくて俺も頼られる存在になりたい、俺も駿を支えたいと思う、そして俺にもっと甘えてもらいたい。

だがもう俺は男ではなく女の子だ、だから腕力や体格なんかの男らしい頼もしさは無い、じゃあ何があるか、幸いにして今の俺は自分で言うのもなんだが美少女でスタイルも良い。

だからもっと磨きをかけて、駿が甘えたくなるような、ずっと一緒に居たくなるような、人に自慢したくなるような女の子にならなければいけない。


何処に出しても恥ずかしくない、2人きりになると甘えさせてくれる、ずっと一緒に居たい、そんな風に思ってもらえたら嬉しい。


なんだかまるで俺が女の子として駿が好きみたいに見えるけどそうじゃ無い。

あくまで親友として、俺の居場所があいつなだけだから。

全く誰に言い訳をしているんだ俺は、でもここはしっかり線引をしておきたい。

あくまで親友、駿に好きな人ができたら素直に祝福してやりたい、だからだ。


そして俺は決めた、他人の前では"俺"と言わないようにする、どんなに美人でも"俺"なんて言う女の子は変わっていると思われる。

でも2人きりの時は今まで通り"俺"と言う事で今まで通りの親友という安心感と特別感を駿には感じて欲しいし、俺も今まで通りを感じたい。


駿にも俺に甘えて欲しいけど、いきなり甘えてくれと言ってもそれは中々難しいだろう、まずは俺が積極的にならなければいけないと思う。

駿が、これくらい甘えていいんだ、とそう思ってくれるようにしたい。まあ俺も積極的に甘えもするけど。


そういえば駿に甘えて膝枕して貰った時に感じた匂いはなんだか良い匂いというか、駿の匂いがした、すごく安心して、ずっとああしていたかった。

膝枕というと女の子がするイメージだったけど、駿にやって貰うのも良いな。またお願いしよう。


服装に関しては明日朝起きたらまず自分が持っている服を全部確認しなければ、そうして駿が好みそうな服があればそれを着て、買い物でもそういうのをもっと買おうと思う。

駿の女の子の好みはよく知っているから大丈夫だと思う。

それに明日は水着も買う予定だと和香さんは言っていたし、ちょっと際どいのも頑張って着てみるとしよう。

駿は気に入ってくれるだろうか。


んふふ、明日が楽しみだ。


======================================

気に入っていただけましたらレビューや応援をお願いします。

作者のモチベーションに繋がってとても嬉しいです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る