第9話 暁
中級を回りながらモンスターを倒していく。ヒナもなんとかなってるよな。
「ヒナ。これ使うか?」
「これかっこいい!どうしたの?」
「作った。シューティングスターって名前のやつだ」
「おぉ。追尾と回帰が付いてるじゃん!」
「使わないならいいけど」
「使う!」
ヒナはシューティングスターでモンスターを倒していく。
「これすっごい使いやすいし、強いよ!」
「まぁ、+5だしな」
「へぇ。えへへ」
満足そうで良かった。
十層、二十層、とクリアしていく。
「どう?強くなったでしょ?」
「あぁ、強くなってるよ」
「えへへ!」
嬉しそうだな。
「じゃあ三十層のボスも一人でやれるな?」
「えー、疲れるから一緒にやろうよ」
「俺なら一瞬だからな」
「ケッ!ケチんぼ」
口を尖らせて言うヒナ。
それを摘んでやる。
「ひぇ、はなひぇ」
三十層、キメラ、
「えい!」
ヒナが飛びかかっていく。
尻尾の蛇を切り裂いて、背中からアタックしている。時間はかかるが大丈夫だろう。
「倒せたじゃないか!」
「はあ、はあ、はあ、つかれた」
「ふはは、お楽しみの宝箱は俺が開けてやろうか?」
「はぁ、ぜったいだめ」
キメラのドロップ品の収集をしてやり、それをアイテムボックスにいれる。宝箱が出て来てヒナがヨタつきながらも宝箱を開ける。
中にはカードが二枚入っていた。
中身は短剣術と風魔法。
「きぃーー!」
「良かったじゃないか?」
「ダブルでダブりだよ!」
「風魔法のカードを二枚渡せよ」
「へ?はい」
「合成」
「ほらよ」
「へ?風雷魔法?なにこれ?」
ヒナは興奮してぴょんぴょん飛び跳ねている。
「昨日は合成を試していてできたカードだ」
「ならレクトも」
「あぁ、もってる」
「凄いよこれ!売ったらいくらになるかわからないよ?」
「売るのか?」
「売らないけどー」
とその場で破く。
「短剣術はうろうかな?たぶん本当にダブりでしょ?」
「わからないからまだもっとけば?金には困ってないだろ?」
「うん、そうする」
転移陣に乗って一層にいく。ギルドビルに行きドロップ品の換金を行うと半分にして俺とヒナで分ける。
「いいのかヒナ?」
「うん!だってレクトがいないといけないもん」
「ならいいけど」
テラスでお茶を頼みヒナはケーキも頼んでいる。
「あ、暁の連中だ」
「なんだそのアカツキって?」
「クランなんだけどデカくていま人気なのよ」
「へぇー」
先頭にいる威張ってるやつを鑑定してみるとレベル68だった。なかなかやるじゃないか。
「あのクランに私達も勧誘されたけど、行かなかったんだよね」
「なんで?」
「あいつら黒い噂が絶えないの、なんか毎月きまったノルマがあったり、そのせいで中は大変なことになって、とばっちりが他の冒険者にいってたりさ」
「ノルマはしょうがないんじゃないか?」
「私達も一応はノルマあるけどそこまでキツくないよ?」
「あぁ、けっこうなノルマがあるんだな」
「そう見たい。げっ!こっちにくる」
ヒナを見つけたらしく暁の面々がこっちに来ると、
「お前どけよ」
赤髪ツンツンの目つきの悪い奴がそう言う。
「は?初対面でそれはないだろ?」
「俺らは暁だぞ?それもチームAだぞ?」
「知らないなぁ?」
「おまえ舐めてんのか?」
「そっちこそ舐めすぎじゃないか?」
氷結魔法で足元を凍らせている。
「な、なんだこれ?」
「おまえこそ舐めすぎだ」
“ゴォオ”と火魔法で溶かしている。
「ふん!それで?喧嘩でも売ろうってのか?」
「いや、やめておく。だが覚えていろ」
「俺は忘れっぽいんだわ」
「なら心に刻んでいろ」
俺のカーボンの鎧に傷がつく。
「分かったそっちこそ覚えておけよ?」
相手の両肩のアーマーを粉砕する。
「くっ、わかった」
「あーあ。高かったのに傷がついちゃった」
「てか暁相手に凄かったね」
「あんな奴大したことないよ」
「そう言えちゃうのはレクトだからだよ」
「まーね、でもこれ買い換えようかな?」
「んじゃ防具屋行こうよ!」
防具屋で倍以上の値段の鎧を買うことになった。はぁ、気に入ってたのにな。
「似合う似合う!そのブーツとも相性ピッタリだよ!」
「そうか?ならこれでいいか」
と買ってしまった。
今日はそのまま解散して帰ることにする。
するとやっぱり暁の連中がやって来た!
「おい、舐めた口聞いてんじゃねえぞこら?」
あの赤い頭のやつはいないみたいだな。
「外での喧嘩は御法度じゃないのか?」
「だから近くのダンジョンに来な!」
「近くにダンジョンがあるのか!」
「あるから来いっていってるだろ!」
大人しくついていく。
「ここだ。暁のダンジョンだから叫んでも誰もこねぇぞ」
「へぇ。こんなところがあったんだな!」
「テメェ。ふざけてんジャブへぇ」
「お前らこそ覚悟できてるだろうな?」
暁の連中を倒してから少し離れたところでゴールドスライム収集をすると五匹も連れた!カードは風魔法二枚、火魔法、アイテムボックス 、重力魔法だった。
おお、、大量だったうえに重力魔法だって!さて、こいつらどうするかな?
まあ、ほっとけば気がつくだろうが装備を粉々にしとくか。
それからこのダンジョンを二層、三層と攻略していく。気付いたら三十層まできていた、中級ダンジョンかな?三十層のデュラハンも倒して宝箱から魔剣デュエルをゲットして、転移陣で帰る。
一層の奴らはいなくなっていた。ちゃんと帰ったみたいだな。
外に出てヒナは大丈夫かとメールすると『大丈夫だよー』と入って来たので要らぬ心配だったみたいだ。
久しぶりに松崎さんからメールが入っていたので支度して家を出る。
「ここ、ここ」
「松崎さん、久しぶりです」
「レクトこそ楽しんでるか?」
「そこそこですよ」
「さぁ、入ろう」
チェーン店の焼き鳥屋だ。
「「かんぱーい」」
松崎さんちょっと痩せたんじゃないかな?
「身体大丈夫ですか?」
「ちょっと疲れてるだけだよ」
「ならこれあげますよ!自作で悪いですけど」
ポーションを渡す。
「自作なのか?凄いなぁ。いただくよ!」
アンプルを折って飲み込むと、
「おぉ、痛みがなくなった!」
「どこか痛かったんですか?」
「腰がちょっとな」
「歳なんですから!二、三本持っていってください」
アイテムボックスから取り出して渡す。
「ありがとうよ!それより飲むぞ!」
「はい」
ベロンベロンの松崎さんをタクシーに乗せて家に帰らせる。俺はそのまま歩いて自宅まで帰った。
「お前ら何やってんだ!負けて帰ってくるなんて暁の恥晒しが!」
赤髪ツンツンの男が怒っている。
「サイさん、それがべらぼうに強くて本当に手も足も出なかったんです」
「お前がナンバーズにいられると思うなよ?」
「そ、そんな」
「あいつのことを調べろ!」
「はい!」
絶対許さねぇからな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます