第10話 制覇
次の日にはミアも元気になったみたいで良かった。
「さて、二十層からかな?」
「そうですね、お手数かけます」
「いいよ、なんならヒナの成長ぶりでも見てみなよ」
「すっごいんだからね」
「はいはい」
二人でじゃれ合いながら中級ダンジョンを目指す。中級ダンジョンにつくと、とりあえずはゴールドスライム収集をしてカードをとる。
「金色のスライムなんて初めて見た」
「でしょ?」
「ずるい!ヒナも知ってたの?」
「うん、最初は大変だったよ」
遠い目をするヒナ。
まぁあのスライムの量だからな。
「さて、二十層に行こうか」
「「はい」」
二十一層はキラービーだ、ヒナが飛び回って倒していく。
「本当に強くなってる。ずるいなぁ」
「あ、これ使うか?俺が持っててもしょうがないから」
タクトのようなツエを渡すと、
「あぁ!なんで、ミアにも渡すんですか?浮気者!」
「使わないから渡しただけだろ?」
「使わせてもらいますね」
「ウォーターカッター」
高圧で水が噴射される。
「凄い使いやすい!ありがとうございます」
「いやいいよ、俺は使わないし」
水魔法使いのミアにはピッタリの水龍のタクトだし。
二人の快進撃は続いていき三十層まで来た。キメラはもう何回も戦ってるから余裕だと思ったら今回はレアなキメラだった。
「今回は俺がやる」
「えぇー!」
「レアなボスだから怪我されちゃ困るしな!」
「じゃあお手並み拝見します」
一閃、で終わった。レアなキメラのドロップは拳代の緑の宝石、魔石。宝箱は二人に開けてもらってカードが二枚とローブだった。
カードは土魔法と風魔法、ローブは魔導のローブで魔力を30%引き上げるらしい。
俺は合成で土木魔法と風雷魔法にしてミアに渡してやる。魔導のローブもミアだな。
「ずっるい!ミアばっかり!」
「んじゃこの宝石やるよ」
「え、いいの?」
「レアな宝石だろう?」
「たぶん」
ミアは真剣な顔して、
「いいの?私ばかりで?」
「いいよ、その代わり俺が欲しいやつの時はくれよ?」
「私の欲しい時もね!」
「うん!」
カードを破いて魔法を覚えると色々頭に入ってくる。ミアもいま少し戸惑ってるな。
さて、やっと三十層から下に行けるな。
三十一層、オークチーフだ。
オークを従えて大勢で来る。
「任せて『ライトニング』」
ミアが風雷魔法を使いこなし始めるとヒナはそこからシューティングスターで一撃必殺だ。
俺はちょこちょこと斬っている。
四十層までくるとプレッシャーを感じるが、扉を開けるとサイクロプスだった。
「サンダーランス」
目を狙いミアの風雷魔法が飛んでいく。目に当たったサイクロプスはあばれだすので足を斬って止めるとヒナが首を掻き切って倒す。宝箱からはブーツと小手が入っていた。
俺よりいい天翔のブーツと疾風の小手だ。
「これはヒナかな?」
「ほんと?いいの?」
「俺はブーツあるし小手もいらないかな」
「私も」
「なら私がもらうね!」
あと十層だけど大丈夫かな?
階層を下にいくごとにやはりモンスターも強くなっていく。
「あ、宝箱」
「本当だ」
「罠があるかもしれないから慎重にってレクト」
開けると針が飛んできたがそれを避ける。
「大丈夫だったよ、針が飛んできただけだった」
「ほんともうちょっと用心してよ」
「あははは」
「宝箱の中身はカードが一枚。転移魔法だって!俺もらってもいい?」
「「いいよー」」
「やった!」
二人も嬉しそうに見ている。
「なんだよ?」
「いや、久しぶりにレクトのものが出たなーって」
「私達ばっかりでちょっと悪いなーって思ってたのよ」
「別にいいのに、気にしなくて」
「「するの」」
五十層、ラストの層だ。
大きな扉で迫力があるな。
開けてみるとワイバーンだった。
「ライトニング」
「それ!」
「おりゃああ」
ライトニングで下に落ちたワイバーンに二人で斬り掛かったらすぐに終わってしまった。
「呆気なかったね」
「そりゃ、私たち強くなってるもん」
「これで中級は終わりか?」
宝箱からは槍とカード。カードはアイテムボックスだった。
「アイテムボックスだって!凄い!」
「あー、ミア使っていいよ」
「私達持ってるから」
「……は?初耳なんですけど、どう言うこと」
「私達はアイテムボックスをもっています」
「なんで黙ってたのよ!」
「レクトと一緒に取った」
「レクト?」
「いや、俺が持ってるのは知ってるんだろ?」
「うん」
「じゃーいってないヒナが悪いんじゃないかな?」
「う。裏切り者!言う暇がなかっただけだから!ね!ね!」
「分かった、これで私もアイテムボックス持ちね」
カードを破いてミアもアイテムボックス待ちになった。
そしてオーブに触り中級ダンジョンを制覇した。
「「「カンパーイ」」」
「中級ダンジョン制覇!」
「やっとだな」
「ほんとにレクトのおかげだよ!」
「そんなことないよ、二人が頑張ったからだよね」
「そんなことあるの」
「そうよ!アイテムボックスとか風雷魔法とか」
「色々助けてもらったし!」
中級ダンジョン結構長くかかったな。
「まぁ、そんなことより食べようか!」
「そうだね!」
「カンパーイ」
ギルドビルのレストラン街での食事も慣れて来たな。
「でね。うちは弱小クランなんだけど、みんな親父が拾って来た弱いメンバーなわけさ」
「へぇ。そんなクランなんだな」
「ほう、ほへへ」
「飲み込んでからしゃべりなさい」
「んくっ!だからレクトを入れようと思ったの」
「いまは思ってないけどね」
「なんで?」
「あはは。なんでだろ?レクトには自由でいて欲しいからかな?」
「それわかるー!」
「まぁ。気が向いたら紹介してよ。入るかはわからないけどね」
「「ほんと?!」」
「まぁね、でも、俺もちょっとやりたいことがあるからまだあとでね」
「分かった!」
「いつでも大丈夫だから」
俺ももっと強くなってあの暁も相手にしないといけないしな。
「「カンパーイ」」
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