第2話 分別収集


 俺はまた初級ダンジョンに来ている。

「『収集』また来い!」

 青いスライムの中に金のスライムを探すがやはりいないか。

 スライムを倒してまたドロップ品のスライムゼリーと、小さな魔石をバックにつめる。

 これだけで生きていけるんじゃないか?

 一瞬そうおもってしまったが、保証も何も無いし、こんな所で死にたくはないな。

「よし。帰ろう」

 あ、どーせならステータスカードの書き換えもやって行くか。

 またギルドビルに来てスライム素材を売ると。ステータスカード書き換え機にステータスカードを入れて手のひらを置く。

 こうすることで能力が有る人は自分のレベルや能力を知ることができる。

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瀬古 礼玖人セコ レクト25歳

 レベル21

 力 E

 体 D

 速 E

 知 E

 魔 E

スキル 収集 分別new

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「は?」

 スキルが増えてる?『分別』ってスキルは何ができるんだろうか?それにレベルも上がりすぎじゃないかな?体力がDになってるし。

「はやくどけよ」

「は、はいすいません」

 後ろの人に小突かれ素早くどくと、そのまま自転車置き場までやってくる。

 分別して収集出来るのか?

「紙ごみ収集」

 自転車のカゴに紙ごみが集まった。

「いやいや、俺のカゴが一杯だよ」

 ゴミ箱を探して全て捨てようとするとなんと一万円札がクシャクシャで落ちていたようだ。こんなの届けてもしょうがないのでもらっておく。


 でも分別できるなら!

 三度目の初級ダンジョンにやってきた。

「『ゴールドスライム収集』来た!」

 二匹出てきたので斬ってしまうとケムリになってカードが残る。カードには火魔法とアイテムボックスが書いてあった!

「やった!やったぞ!」

 俺は夢みたいなこの幸運をダンジョンの中で噛み締めていた。

2

 今日からまた仕事だ。

「おはようございます」

「おう、レクト!もう大丈夫なのか?」

「はい!お世話になりました」

「おいおい、辞めちゃうのか?」

「はい!俺の能力が覚醒しました!」

「本当か!やったじゃないか!」

「はい!」

 松崎さんは喜んでくれてはしゃいでいる!

「それで、あの、松崎さんに渡したいものがあるんです!」

「なんだ改まって」

「これ!受け取ってください!」

 ゴールドスライムからでた火魔法のカードだ。

「お、おいこれって!火魔法のカードじゃないか!二百万はするぞ!」

 そう、カードがあればノーマルの人も能力者になれるのだ。

「これは受け取れないぞ!」

「いえ、俺が辞めたら能力者がいなくなります。このまえみたいなことになったら誰が助けるんですか?」

「でも、お前」

 俺は松崎さん達に生き残ってほしい。

「だからこれは松崎さん達が生き残るために使ってください!」

「おまえ。俺はそんなやわじゃないぞ!それにそんなものなくても逃げることくらいできる!だからそれはお前が使え!」

「でも、俺は」

「お前の気持ちは嬉しいが、おれはノーマルで十分なんだよ!それに助けに来てくれるんだろ?」

 俺が松崎さん達を助ける。

「はい!絶対助けます!」

「ならお前が使ってくれよ!」

「はい!でも今日までは仕事しますよ?」

「あははは、なんだよ、お別れの挨拶みたいになったじゃないか!」


 日給八千円。これがここの仕事だ。

『収集』してゴミを集めて捨てるのと拭き掃除だ。

「レクトさんの新しいスキルはなんなんですか?」

 バイトの子の新田さんが聞いてくる。

「えーと。『分別』なんだ」

「『収集』に『分別』ってゴミ収集じゃないですか」

「言わないで!俺も思ったから」

「でもそれが使えたんだろ?」

「はい!なんでも分別するんですよ」

「なんでも?」

「はい」

「『砂糖収集』」

 松崎さんの飲んでるコーヒーの砂糖を取ってみた。

「まずっ!おい!」

「あははは」

「なんてまた極端なスキルだな」

「はい!俺にピッタリですよ」

「かもな」


 仕事も終わり、松崎さん達に挨拶をして帰った。長く勤めていたからバイトでもやっぱり感慨深い。

「さぁ、明日から冒険者だ!」

 家に帰ってカードを使う。と言ってもカードを破けば良いだけなんだけどね。

 火魔法とアイテムボックスがスキルに入ったはずだ。

 剣をアイテムボックスに入れる。

「凄いなぁ、どうなってんだ?」

 まぁ、いいか、明日に備えて寝よう。


 次の日は朝から初級ダンジョンに来ていた。自転車もアイテムボックスに入れて、

「『ゴールドスライム収集』」

 三匹のゴールドスライムを斬ってカードを確認する。水魔法、風魔法、アイテムボックス。またアイテムボックスだ。

 二層に降りていきゴブリンを倒して行く。

 レベルのおかげですぐに倒せる。

 もしかして、『ゴールドゴブリン収集』は効かなかった。でもレアモンスターはいるのかもな?

 怖いけど、『ゴブリン収集』

「うおっ!うりゃぁぁ!」

 ゴブリンを斬っていると緑のゴブリンの中に黒いゴブリンを発見した。ちゃんと倒せて、他のゴブリンも散り散りに逃げたところでドロップ品を回収すると、一本だけ短剣が落ちていた。たぶんブラックゴブリンの短剣だろう。

『ブラックゴブリン収集』

 二匹きたので斬り倒すとやはり短剣を落とした。


 三層、スケルトンだ。

 今の俺には簡単な作業だな。

『スケルトンの核収集』小山になった核が目の前にあるが、金色の核があるな。

 壊していくが。金色の核がきになるなぁ。

『ドロップ品収集』

 剣ばかりだな、そのなかにちょっとだけ良さげな剣があったのでそれが金色の核のドロップだと思う。


 今の剣からちょっとだけ良さげな剣に交換して他のドロップ品はアイテムボックスに回収する。あとは奥にあるオーブに触れればダンジョン制覇だ。

 オーブに向かって歩いていると宝箱を発見した!慎重に開けるとブーツだった。

 これも鑑定しないといけないな。


 オーブに触れれば光が出てきて外に出る


 ようやく冒険者として動き出すことができたな!

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