姿かたちは変わっても、好きな人を愛する気持ちは本当に変わらないのかどうかという問いは、人類が古くより物語に書いてきたテーマだと思います。
ところが、本作は付き合っていた先輩が、実は別に好きな人(?)がいて、その子と学校から飛び降りて心中してしまった後に、亡くなったはずの先輩が会ったこともない幼馴染(?)に転生して、自分の家の中で再会するという、これまで見たこともないような、かなり異色の冒頭から物語は始まります。
外見は前世と全く異なる華奢な女の子になってしまっても、中身は前世と変わらないため、言葉や行動の節々から付き合っていた先輩だと認識できるような主人公に、先輩へ対する愛の深さを感じました。
また、ストーリーも次に何が起こるのか全くわからないような構成で、読んでいてとてもハラハラドキドキしました。特に最後は続きがかなり気になる終わり方をしており、すぐにでも続編が読みたくなるような作品でした。
(カクヨム公式自主企画「百合小説」/文=カクヨム運営スタッフY)