第24話 覚悟
近江勢との戦いはまだ続いています臥龍の陣なんて使わないで普通に鶴翼で戦えばよかったと密かに後悔しています。
京極側はそれなりに隙が出来るのですが六角側が上手く手当をしていて中々押し切れません、流石は六角高頼やりますね。
「うむ、どうしたものか」
「何がでございますか?」
「急ぐかのんびりするかを悩んでおる」
「どちらでも勝ち目はあるのでございますか」
「うむ、問題はないが、急ぐと戦死者が増えかねん」
「ではのんびりでいいのでは?」
「のんびりだと敵に増援が来る可能性がある、だからこそ悩んでいる」
「確かにその可能性はありますか」
「よし、決めた急ぎつつ味方の損耗を減らす」
「それができるなら最初からしたらよろしいんのでは?」
「運用が難しいのだ、小島勢と旗本を広く配置し三陣の日高勢の範囲を補助するのだ、その間に日高勢を大きく回して敵右翼の背面を突かせろ」
「殿の護衛が減りますが」
「他の旗物の配置を動かし我が護衛に当てる」
「それならば」
「ではいけ! 敵も無能ばかりではないぞ」
「むむ敵の配置が変わったか?」
「気が付きませんでしたが」
「なるほど京極を叩きにいったか、では徳寿丸はあそこか」
「殿?」
「儂についてこい一気に羽津勢を破って見せるわ」
この戦勝ったと蒲生貞秀が確信した瞬間でした
「何! 見破られただと、敵が突っ込んでくるぞ」
どうする、この体では大人の太刀受け止められないぞ、よし逃げるか
「智総」
「は、必ずお守りします」
「逃げるぞ」
「は?」
「景兼の元まで逃げる、そうすれば突撃してきた相手を包囲における」
「なるほど、そういう戦術ですか」
「はよういそげ」
「はは!」
一直線に逃げよったか確か七歳じゃったな、それが正解だろうて、そして今度は我らが敵中孤立してしまうと、小童がやりよるわ
「殿どうなされたので」
「旗本を動かしたことで本陣の位置を特定して突っ込んできた奴がいたので避難してきた」
「ご無事でなによりでございます」
「早く大きな体が欲しいものよ」
「殿」
「おお、石黒智総よくぞ私を連れて逃げてくれたぞ」
「先ほどの将は蒲生貞秀だそうです」
「さっきから手強い敵は対い鶴だったな蒲生貞秀だったということか」
「殿、日高殿の急襲が成功したようです」
「広胤は奇襲が得意じゃからな、これで敵右翼の京極勢はつぶれただろう秀元と棟員に総掛かりで攻めさせろ」
「蒲生はどうしますか?」
「突破されたのが屈辱だったのか孝吉が思いっきり仕掛けてられて後退しているな、それに釣られて六角高頼もひいているわ」
「殿それでは」
「全軍突撃だ! 掃討戦に移るぞ」
「此処までか、引くぞ!」
本人も将器に溢れ家臣も優秀か、これが隣接しているのか今後は厳しくなるな。
六角殿も見事な引きっぷりだが将器を見るに徳寿丸に劣っていると見るべきだろうな、京極は問題外だな、今後を考えれば羽津に付くべきだろうが最前線になってしまう為簡単には決めれないか。
ふう、結果だけ見れば大勝利だけど問題点がいくつかあったな、敵を甘く見る癖を治さないと今度は首を取られかねないし、私の防衛専門の親衛隊を四千人くらいの規模を作ろうかな、忠誠と武勇だけを求める部隊ね。それと指揮官
今は八徳衆がその役目を担っているけど、八徳衆は打撃部隊として使いたいのよね。帰ったら御坊にも相談してみるかな。
しかし蒲生は強かったね孝吉とも兵を使いながらでも互角に近い打ち合いしていたみたいだし、正直欲しいが蒲生は中央との繋がりが強すぎるから無理かな。
それに今のところ甲賀以外の近江に出るつもりはないからね、領土拡張より専守防衛が今のうちの目的。
よく見たら京極勢も多大な犠牲を出して撤退していた、これを続けて行けば室町の威信がどんどん落ちていくことになるね、取り敢えず待ってるみたいなので勝鬨をあげとくか、
「勝鬨をあげよ」
地面が揺れる勢いで上げられる勝どき、てか士気高いな。じゃあ長門の方も助けにいきますかね
「という訳で来ました」
「来援はありがたいですが、どういう訳で」
「高い士気を利用しないのは勿体ないかなって、でどんな感じだ?」
「殿の援軍を見て撤退に入りましたな」
「では追撃戦をやるぞ」
「お待ちを敵の殿の敵がこれまた強いのですよ」
「被害がでるか」
「ええ、そこまでして追う必要はないかとおもいまして」
「ここの指揮官は長門だ、その判断に従うとするか、一応上野城に数日滞在することとする」
「はは」
宗矩からの連絡では斯波義敏と織田敏定を討ち取ったとの話だ、一番戦果を挙げたのは宗矩っぽいね、斯波と織田が迂闊過ぎたともいえるが宗矩の戦才のなせる成果だ、五千石ほど加増するとするかな、てか斯波義敏の討ち死にって武衛騒動の再来になるんじゃないのかね。
そして六角が幕府についたことで鈎の陣は確実に起こらなくなるよね、義尚の寿命を確実に縮めたと思われる鈎の陣が起きないなら義尚が長寿になったりして、だが残念私が首を落とすので関係ありません。
取り敢えず筒井勢の完全撤退を確認したので津城に戻ることにしました。
「再び六角が動いたらすぐに連絡をよこすように」
「はは」
「では帰還するぞ」
そして伊賀上野から出発して二日で津城に到着、実は凄い近いのよね。
そうだ道の整備をしよう、思い立ったが吉日ということで朝倉忠盛を呼び出しました。
「志摩から長嶋までの軍道、津から伊賀上野までの軍道を作って欲しい」
「なるほど、領内の商業活性化の為にもなりそうですね」
「あと昔考案した馬車軌道というのを平行して作って欲しい」
「それはどういったもので?」
「木で作った二本一対の軌道と呼ばれる道を作り、その上を丁度はまる広さで作った車輪を作り馬で引くものだな、実際に作ってみた方がわかりやすいかもしれんか」
っということで見本を津で作ってみました
「これで志摩から長島まで人と物の移動が早くなるだろう」
「分かりました、早速取り掛かります」
「津から伊賀上野にも頼む」
「はい」
これで馬車軌道が完成したら物流が良くなって商業がより盛んになるね、ついでにさりげなく津で楽市楽座を行うことにした。
「楽市楽座か」
「座が儲けすぎていますゆえに」
「まあよかろう、確かに座は調子に乗りすぎるな」
「ところで御坊宗門を確かめて頂いていましたがどうなっていますか?」
「伊勢や伊賀志摩にはまだ一向宗も法華宗もあまり入ってきていないな」
「では早いうちに七衆を集めて法度追加をしましょう」
「そうだな、一向衆の勢いは危険だな、しかし完全に敵に回してしまうがいいのか?」
「今が味方という訳でもありませんし」
「確かにその通りだな」
七衆を集めて一向宗と法華宗の危険性を伝えた上で法度追加を求めたら簡単に可決しました、その時に聞いた話なのですが。
「将軍方から内応の工作がきている?」
「殿の首と引き換えに伊勢半国守護だと」
「伊勢一国じゃないところに私の首を軽く思われているようですね」
「長門、今度はこういう細かいことも報告をあげてくれ」
「確かにその通りですな、気遣いが足りず申し訳ない」
「うむ、連絡は密にしていこう」
「殿、無理をなさっていませんか?」
「というと?」
「儂は殿は攻勢の人だと思っております、にも拘らず無理に守勢に立っているのではないかと」
「実は私も無理をしている気がしていた」
「では」
「守勢は飽きた攻勢にでるぞ、歴史に残る攻勢とする陣触を出せ!」
「諸将らも領地に戻り兵を引き連れてまいれ!」
「はは!」
「宗矩と守房は居残りだ」
そして十日ほどで諸将が集まってきた。
「よく集まってくれた五万もの兵を集めれるものなんだな」
「羽津城だったら溢れているところでしたな」
「全くだ新城を作っておいてよかったわ」
一瞬の空白が起き緊張した瞬間が発生した、やむを得ず朝倉忠盛が緊張感を破って徳寿丸に聞いた
「此度の戦の目的はなんでしょうか?」
「上洛だ」
端的に答えたその言葉に軽くざわめくが徳寿丸が扇子で軽く畳を叩いただけで静寂が戻った。
再び意を切って朝倉忠盛が聞いた。
「上洛の目的は何でございましょう」
「大乱を引き起こした将軍を名乗るうつけ者の討伐、更には治天の君を名乗りながら大乱の最中に酒宴に参加し御台所の上臈に手を付ける愚か者を討つ、ついでに三種の神器を貰って来ようと思う」
「それはまずいのではないのですか」
「私は日ノ本を一度洗濯しないといけないと思っている、そのためには旧弊を打破し新しい政権を打ち立てる必要がある」
「その為には帝を討つと」
「帝自体はいてもいい、儀礼を司る存在がいた方が都合がよいこともある、が現帝は駄目だ認めるわけにはいかない」
「分かりました、この忠盛覚悟が決まりました」
「怖いなら留守番でもいいのだぞ」
「覚悟が決まった今は大丈夫です」
「ほかの物はどうじゃ、反対したいならしても構わんぞ」
「殿、なんじゃ御坊ご説教か?」
「いえ、花の御所にはそれなりに価値のあるものがあるはずですが、どうなさるのですか?」
「我々は賊ではない価値があろうが無かろうが全て焼く」
「ならばこれ以上は言うことはございません」
「長門」
「はは!」
「大筒を持っていくぞ、一気に音羽城と観音寺を落とすぞ、その後は京まで向かうだ最低でも大御所を名乗る義政と将軍義尚そして日野富子は殺すぞ、後は伊勢家を皆殺しにするその後は花の御所を灰燼にして治天の君を殺し三種の神器を奪う」
日本全体を敵にする覚悟を決めました、私対他という構図にすればそこまで日本が荒れないかと思うのですが考えが浅いですかね。
それと北条早雲にはここで退場してもらいます、怖いしね
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