面白かったです。
コンテストのレギュレーションに定められた文字数として、このような長い時間軸の上で変化していく心情を描くのは非常に難しいことだと思います。
ともすれば記録映画のように淡々と進めるしかないか、と思っていたので、このお話で確かに二人の心情が仔細かつ繊細に描かれていたことに脱帽しました。
動いていて、生きている。そして何より作品が象徴する時間軸の上で、一つ一つ運ばれていっている。
この時間の流れに乗った交流の発展がミソで、時間の流れはこれからも描かれていない範囲でつつがなく続くものです。
その始まりを感じさせる、物語としては閉じても二人の少女の心はまだトロッコに載せられて揺られていくのだと、そんな未来を感じさせる小説でした。
素晴らしかったです。